1997.11.
ブルーノート東京でのライブ録音。
ミシェル・ペトルチアーニのピアノ。
スティーブ・ガッドのドラムス、アンソニー・ジャクソンのベース。
何と美しいピアノの音なのだらう。
久しぶりに、音楽を聴いて、鳥肌がたった。
このアルバムに出会へたことの歓びを感じる。
きっと、勿論、ピアノ自体の音色ではなく、ペトルチアーニ自身が持つ、生命力の美しさの表れなのだらう、と思ふ。
”ピアノの化身”とまで云はれたといふ(やはり天才なのだらうー)このペトルチアーニの演奏の美しさの前では、彼の肉体的なハンディは、ものの見事に霧散する(骨の奇病の為、彼の身長は1m足らず、20年の命と宣告されながら、このライブの1年余りの後、肺炎のため37歳で死去する)。
やはり、欧州のピアニストなのだからか、とても音楽の趣味がいい。
粘りが少なく、でも、芯の強い音。
特に、アルバム前半の早めのテンポの演奏が素晴しい!
スティーブ・ガッドのサポートが抜群で、それに呼応しながら、ペトルチアーニの沸くやうに美しい即興が止めどもなくでてくる。
それも、いたづらに客受けを狙ったやうなそれではなく、計算された美しさに裏づけされたもので、理知的な造形の見事さにあふれてゐる。
BGMのやうな演奏や、ルーティンワークのやうな演奏がある中で、この演奏は、この人の演奏は、一種、音楽と向かひ合ふことの、”凄み”を感じさせる演奏、です。
(写真は、ジャケットから)