1969.11.24.コペンハーゲン
ビル・エヴァンス
エディ・ゴメス
マーティ・モレル
「”ワルツ・フォー・デビー”ライブ!」と邦題がついてゐたアルバムです
(かなり、ひどい邦題ですがー)。
この年の11月、ビル・エヴァンスはスカンジナビア・ツアーを行ひ、どこでも大きな拍手で迎へられてゐたやうです。
エヴァンスのピアノは、相変はらず破綻がなく、アルバム一枚はあっといふ間に聞き終へてしまふ。
その中で、トリオに参加して2年目のエディ・ゴメスのベースが際立ってゐる。
とても力強く、そして、憬れの先輩に対して、けれどしっかりと自分の主張を出してゐる。
それかあらぬか、エヴァンスのピアノも、彼にまとはり付いてしまった”伝説”を消し去るかのやうに、強く荒々しい。
後半の数曲が、さういふ意味でとてもいい。
考へれば、ビル・エヴァンスは、紆余曲折がありながらも、1980年の壮絶なラスト・ライブの直後の死まで、数多の演奏をし、数多の録音を残してゐる。
間違ひなく、1961年の一連のライブ録音は非の打ちどころもないベスト・パフォーマンスではあっただらうけれど、確かにスコット・ラファロは死んでしまっただらうけれど、ビル・エヴァンスは生きながらへてゐた。
生きながらへる為に、この端正なアルバムジャケットの写真とは裏腹に、
麻薬も続けただらうし、メンバーの作曲を許さなかったといふこともあったのかもしれない。
けれど、残されたものは、そんなあがきをさほど感じさせない、軽快でセンシティブな演奏ばかりである。
ある意味、そのことは彼にとって、不幸なことであったのかもしれないがー。
(写真は、ジャケットから)