やまがた好日抄

低く暮らし、高く想ふ(byワーズワース)! 
山形の魅力や、日々の関心事を勝手気まま?に…。

ハスキルのモーツァルト、を聴く

2006-05-14 | 音楽を


クララ・ハスキルのモーツァルトのピアノ協奏曲をまとめて聴く。


モーツァルト/ピアノ協奏曲第13番/指揮:ルドルフ・パウムガルトナー/
                       ルツェルン祝祭弦楽合奏団
       /ピアノ協奏曲第20番、24番/指揮:イゴリ・マルケヴィチ/
                         コンセール・ラムルー管弦楽団
       /ピアノ協奏曲第23番/指揮:パウル・ザッヒャー/ 
                      ヴィーン交響楽団
       /ピアノ協奏曲第27番/指揮:フェレンツ・フリッチャイ/
                      バイエルン国立管弦楽団  


共に、晩年の録音である。
1954年の23番から、1960年に事故で亡くなる直前の20番、24番まで、彼女の残された数少ないピアノ協奏曲。

そのどれもが、素晴しいモーツァルト!!
そのどれもが、至福の、宝のピアノ協奏曲の演奏!!

13番の、モーツァルト26歳の時のこの曲の何とニュアンスの豊かなことか!
以前から、この曲はハスキルの演奏が最愛のものでしたが、久しぶりに聴き直してその細やかな部分の演奏に改めて驚きました。
決して飛ぶやうな指使ひが聴こへる訳でもありません。
恣意的でも、忘我的でもなく、ゆったりと後期の協奏曲のやうに深みの増した演奏です。


20番と24番の演奏は、名演盤とされてゐるものです。
マルケヴィチの素晴しいバックに支へられて、共に短調ながら、ハスキルは深刻ぶった装ひもせず、穏やかで、彼女の息遣ひがそのままモーツァルトのそれにつながるやうな静謐な演奏を聴かせてくれます。
やはり、このあたりの演奏を聴くと、まう少し多くの録音を残して呉れてゐたら、とないものをねだってしまひます。


27番は、小生の好きなフリッチャイのバック!
フリッチャイの演奏が、決して、健康にも運気にも恵まれなかったハスキルのピアノを包みこむやうに進んでゆく。
モノラルの録音ながら、聴き始めると、この、モーツァルト死の年の協奏曲はハスキルのピアノで生きるためにその姿を残すやうにー。
オーケストラの全奏のあとの、何と自然で、けれど、多くのものを抱きかかへながらハスキルのピアノが始まることか!



ハスキルは、やはりその晩年に、グリュミオーと幾つかのヴァイオリン・ソナタを残してゐます。
そのどれもが、ことごとく素晴しいものです。
親子ほども違ふ彼らのデュオは、その写真をみると、如何にも幸福な姿に見えます。
小生は、はにかむやうにグリュミオーと並ぶハスキルの姿に、間違ひなく”恋”を感じるのですが、いつか、その話を書かうと思ってゐます。


とまれ、出羽の新緑の山々に、ハスキルの音が吸ひ込まれてゆきます!




(写真は、ジャケットより)