半年に及ぶイスラエルのガザ侵攻は、3万5千人以上のパレスチナ人虐殺を生み出しています。イスラエル政府は2023年10月7日以降のガザ侵攻作戦「Operation Iron Sword」はハマス掃討が目的であって、パレスチナ住民の殺戮は目的ではない、市民を守る努力はしている、と発表していますが、その根拠などは明確ではありません。2024年4月3日に+972というサイトでユバール・アブラハムというジャーナリストがAIと連動したイスラエルの標的選別、攻撃システムを明らかにし、既にCNNやガーディアンなど海外のメディアで大きく取り上げられました。前回の記事で、ガザではAI兵器が実験場として使われている事は紹介しましたが、作戦遂行のシステムとして既にAIがその中心になり、ヒトはAIの手足になっている事、ヒトが一つ一つ細かく攻撃の判断を下すCOIN(Counterinsurgency対反乱戦)ではなく、大量虐殺につながる通常戦法を何故イスラエルが採っているかの解明にもなっているので以下要約を示します。
イスラエルが作戦立案にAIを用いている事をとりあげたGuardianとCNNの記事
I. AIによる群衆からのテロ工作員の選別( Lavender system)
イスラエルは230万人分のガザ住民のSNSや携帯電話履歴などの情報を全て集めて(米国でもDIA、CIAなどが既に行っているという)ラベンダーという人工知能システムを用いて機械学習アルゴリズムによって選別し、ハマスとパレスチナ・イスラム聖戦(PIJ)の工作員37,000名を攻撃対象として割り出したと言います。選別には情報に基づいて各人を1から100のレベル評価を行い、攻撃対象とする閾値を設定して人数を割り出す方法が取られます。コンピューターのエラー率は10%と言われ、与えられた条件でも全くテロと関係がない無実の市民が10%(救急隊員やボランティアなど)殺害されるのですが、機械の限界だから「仕方ない」で済まされます。
全住民をコンピューターによって点数化し、工作員リスク評価を行い閾値を変えて攻撃目標数を定める
II. 攻撃目標の居場所特定(Where’s Daddy)
攻撃対象がどこにいるかは、Where’s Daddy「パパはどこ?」というシステムで特定されます。携帯の位置情報や顔認証などで追跡されますが、攻撃は主に移動中ではなく動かない「自宅」在中が狙われます。この際、家族や子供が犠牲になることは「全く問題ない」とされます。本人が既におらず、家族だけが犠牲になる場合も多数ありますが、これもシステム上問題ないとされます。攻撃対象となる人物の携帯が治療などで複数病院にあれば、病院をハマスが利用しているとして当然攻撃対象となるでしょう。既に本人の携帯ではない(ハマスは頻繁に携帯を変えると言われる)場合も多いでしょう。イスラエルが執拗に病院を攻撃する背景はここにありそうです。
巻き添えで亡くなった全ての人に家族があり、人生があり、未来があった事を絶対に無視してはいけない
III. 攻撃作戦作成システム(Habsora=Gospel福音 system)
攻撃目標が特定されると、イスラエル軍に爆撃命令が下されますが、具体的な作戦命令書は「福音」と呼ばれるコンピューターシステムで作成されます。一度の爆撃で一人を攻撃するのではなく、地域を特定し、複数の攻撃目標を定める「Broad Hunting」を行う攻撃命令を作成します。下級工作員には精密誘導弾など使用せずダム・ボム(無誘導爆弾)が使用され、一緒に殺される民間人の犠牲(Collateral damage)は15-20人までは許容されます。実際にヒトが命令実行に関与するのは攻撃対象が男性であることを確かめること程度で、それ以上の詳しい分析は人手がないので不可能(メクラ判)という事です。しかし家にいる家族はほとんど女性と子供です。民間人犠牲者の半数以上が女性と子供である理由はここにあります。
攻撃対象が上級工作員の場合は、民間人の犠牲は100-300人まで許容されます。ハマスのガザ中央旅団司令官アイマン・ノファルを暗殺するため、軍は 10月17日、ノファルの不正確な特定に基づいて、アル・ブレイジ難民キャンプへの空爆で約300人の民間人の巻き添え犠牲を承認したとされます。
大物殺害を伝えるイスラエルの報道(日本語訳) 精密爆撃ではなく広範な大量破壊を行います
自動AIを用いたガザ市民虐殺のメカニズムをまとめると以下の様になります。
IV. データ階層社会における無用者階級の扱われ方
イスラエル国防相はパレスチナ住民を動物と公に断言
2018年12月のブログでイスラエルの歴史学者(世界経済フォーラム御用達)ユバル・ノア・ハラリ氏の提唱するデータ階層社会、つまりごく一部のエリートがロボットやコンピュータを支配し、遺伝子工学を使って自らを超人類「ホモ・デウス」に高める一方で、残る殆どの人達はAIよりも能力が劣る無用者被支配階級として生きて行く社会概念を紹介しました。空想の産物と思われた概念も既にイスラエルでは現実としてガザのhuman animalとされるパレスチナの人達に当てはめられているのです。私は「ふざけるな!」と思っていますが、異を唱えない人は既にこの概念を受け入れ、自分はエリート側(ユダヤ人以外は無用者階級なのですが)と勘違いしていると言えます。
イスラエルの異常さ、特にシオニズムの悪魔性、感情を持たないAIに人間が命令され、多くの人の運命がAIの自動計算で既に決められてしまっている現実。強力な資金力を持つAIPACというシオニズム極右集団に支配された米国政治、そこにネギを背負って満面の笑みで訪問する我が国の首相。何も感じないなら、あなたは阿呆だ。
米国AIPACのホームページから