第二次大戦においてゲームチェンジャーにはならなかったものの、次世代の兵器体系の基準となったナチスドイツの革新兵器の二つを作りました。パルスジェットで自動飛行するV1は後の巡航ミサイルに、成層圏にロフテッド軌道で打ち上げられて迎撃不可能な状態で落下爆発するV2は弾道ミサイルの原型になったことは言うまでもありません。
博物館に展示された発射台上のV1とV2 V2は黒白の実験用の塗装
両者の特徴と違いを表にまとめました。それぞれ基本的な戦術思想の違いが明らかですが、V1は無人航空機爆弾として空軍が、V2はロケット砲弾として陸軍が担当しました。敗戦近いナチスドイツにとってどちらが有益であったかは判定し難い所ですが、コストパフォーマンスはV1が圧倒的で、パルスジェットという容易な作りのエンジンはyou tubeの「でんじろう先生の簡単な実験」で再現できるほどです。
構造はV1の方が単純だがよく考えられていると思う。
Vはvergeltungswaffe(報復兵器)の略で、宣伝相ゲッペルスが対英報復を目的に命名したとされます。同じく負けつつあったロシア戦線に使うつもりはなかった様で、実際にロンドンなどの英国都市部以外は、アントワープなどの欧州都市部には使われましたが、広大なロシア戦線には戦術として命中精度の点で使い物にならない物でした。敵にとってはどちらも厄介な兵器ですが、V1は迎撃可能なだけに高速戦闘機や対空砲火で応戦せねばならず、V2が爆弾量が全重量の10%以下であるのに比してV1は全重量の40%が爆弾という極めて効率の良いペイロードを実現している点、そしてパルスジェットの特徴的な爆音が鳴り響くとどこに落ちてくるか分らないという心理的効果を含めて「報復効果」はV1の方があった様に思われます。V1は撃墜しても地上で爆発するのでたまりません。第二次大戦末期は、連合軍も無差別爆撃をしており、この報復兵器も軍、民間を問わず無差別殺戮兵器でしかありません。戦術的には破綻した兵器と言えます。V1に対して、現在の自爆ドローンの様な無線操縦であれば妨害電波で操縦不能にしたり、逆転させて敵に向かわせる事も可能かもしれませんが、高圧空気とジャイロを用いたプリセット自動操縦であり、小型モーターなどは一切使用していなかったため、銃撃の他、飛行中の翼を叩き落とすなどする他飛行を止める手段がなかったと言われます。
V1飛行姿勢のものしか作れないので他社のスタンドを流用
モデルはV1V2共に部品点数も少なく、作るのは簡単でしたが、意外と塗装が面倒でV1は下面ライトブルーに上面はダークグリーンとグレーグリーンの迷彩、スライドマークは他の模型で余っていた物を、実機を参考にして付けてみました。機首先端のプロペラは自作です。
V2はグレーグリーン、ミドルストーン、FS17875(白)を一応マスキングしてから筆塗りしたのですが、スプレーの方が良かっただろうと思います。墨入れはペン型のガンダムマーカーの様な物を使ったのですが、筒状の物には描きにくく、どうも手書き感満載になってしまいました。大きさ比較のためにハーフトラックと並べてみました。
V1の方が小型で報復兵器としてのコスパは良かったようだ。