rakitarouのきままな日常

人間様の虐待で小猫の時に隻眼になったrakitarouの名を借りて政治・医療・歴史その他人間界のもやもやを語ります。

警察が取り扱った遺体がなぜ増えたか?医師からの視点

2024-04-03 14:35:05 | 社会

共同通信は2月26日に、2023年に警察が取り扱った遺体数の集計を警察庁のまとめとして報道しました。図によると、扱った遺体数は2022年から2万人以上増加しており、23年は22年よりも2,561体多い198,664体だったということです。

 

I.  超過死亡と共に増加する異常死体数

 

2022年からの爆増は、日本の総死亡数の爆増、超過死亡の増加と比例していることが分かります。つまり、増加した死亡者の約10%は異常死体として扱われた人達であるということです。この警察が扱う死亡の内訳は23年の場合、犯罪による死亡が明らかな遺体が354体、犯罪による死亡の疑いがある変死体が1万9415体、病死などの可能性がある「その他」の遺体が17万8895体だった。司法解剖を実施したのは1万99体、と報道されていて、事件性のない「その他」が圧倒的に多いのです。医師として救急患者を扱っていると、交通事故、刃物による自傷、縊頚、薬物中毒による死亡など明らかに警察を呼んで検死が必要な場合もありますが、24時間以内に医療機関を受診していないが、何等かの病気で亡くなったと思われる場合や高齢者の入浴中の溺死と思われるものなど、事件性はないものの死亡診断書ではなく検案書の記載が必要で警察への届け出を要する場合も多く経験します。これが「その他」に相当します。

異常死体の増加と年間死者数の増加は比例していることが明らか。(右は厚労省の人口動態速報からのまとめ)

 

II.  心肺停止状態で搬送される患者が増加している

 

私は病院で亡くなる患者さんの死亡診断を「医療の質」の面から検証する委員を10年行ってきましたが、数年前までは一月に20~30件ほどであった死亡診断が、この2-3年は週10件を超える事が多く「多死の時代」を実感してきました。年齢的には80台以降の高齢者がやはり多いのですが、病院で長く入院した後に亡くなる人よりも心肺停止で救急搬送されて死亡診断され、死亡時CT(Autopsy Imaging)や血液検査で死因を特定する例が増加しています。また入院して数日から2週間以内になくなる進行癌(初診時からの「いきなり進行癌」と言っている)も増加していて、これは60代以降に多い印象があります。若い人に多いはずの急性骨髄性白血病が高齢者に見られる事(リンパ腫は以前から比較的高齢者に多い)も特徴で、血液系のガン増加が危惧されます。

厚労省の「がん死亡統計」から増加したがんと減少したがんの表(死亡数なので罹患数は別と思われます)

 

長年亡くなった方の検査値やCT画像を見ていると、死因を特定する検査の見かたも心得て来ます。種々の状況から亡くなる直前のその人の生活がどうであったかなども分かります。引き籠りでnegrect状態であった中年男性や精神疾患で社会から長期断絶していた女性など通常の生活では見られないような亡くなり方をすることもあり、社会のありようを考えさせることもあります。いつか個人情報に配慮した上で本にまとめようかとも思っています。

 

III.  やはり免疫状態の異常が起こっている印象

 

異常死体の中で増加しているのは、検査や画像に「死に至る異常」が見つからない、或いは異常はあるが「普通これでは死なない」程度の肺炎などで亡くなっている例が増加していること。そして1-2週前までは普通に生活していたのに、数日で状態が悪くなり、検査すると治療しようのない進行癌が見つかる「いきなり進行癌」患者が増加している事です。これらは小児で感染症が異常に流行していることと相まって社会全体が「免疫状態の異常が起こっている」という印象です。この1-2年で社会全体に免疫状態の異常を来す原因は一つしかありませんが、これはいままで散々説明してきたのでここでは言及しません。

 

IV.  サプリは年数人の関連死疑いで大騒ぎ?

 

小林製薬の紅麹(こうじ)原料を含む機能性表示食品による健康被害を巡って、厚生労働省は3月29日、腎疾患の原因と推定される成分が「プベルル酸」の可能性があると同社が報告したと発表しました。プベルル酸は抗菌作用がある物質だそうですが、腎毒性の機序については明らかにされていません。問題は腎機能が廃絶しても「透析」すれば死亡することはないのに、腎毒性のために死者が出ている事です。死因特定をしてきた立場からは、「肝腎症候群」といって腎機能、肝機能がともに悪くなると死に至る事がありますし、敗血症などで多臓器不全に至ると腎機能を補っても死亡する事が多いです。明らかな腎毒性物質であれば、接種した人全てに腎機能障害が出ているはずですが、一部の人に出ているとすれば、その物質に対するアレルギー反応による腎炎や肺臓炎などで自己免疫的な機序で重い臓器障害が出た可能性があります。腎障害の所見が間質性腎炎であったという報告もあり、アレルギーの関連が示唆されます。しかし数人の関連死でこれだけワイドショーなどで毎日大騒ぎすると、2000人以上の関連死が推定されている「アレ」を問題にせざるを得なくなる、「赤いニシン」で注意を逸らす目的なのに「藪蛇を叩く」ことになりませんかね。超過死亡や異常死の増加は「サプリが原因でない」ことだけは明らかなのですが。

問題の大きさを考えると叩きすぎ、騒ぎすぎの感がある。藪に隠れた本命は別にあるでしょ?

コメント (2)
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