Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

ソクラテスの演説を Ustream で!

2010-04-12 23:30:43 | Weblog
中央公論5月号で特集された「お葬式」入門・・・のほうじゃなくて「学力なんていらない!?」が面白い。特に茂木健一郎氏と東浩紀氏の対談「分数も年号も覚える必要はありません」はラディカルで刺激的。そのメッセージは,次の茂木氏のことばに集約される:
・・・インターネットが知的インフラとして整ったことは、私たちの「知」に対する態度を大きく変更させたと思うんです。
だから、分数の計算はできなくてもいいし,年号を覚える必要はない。そんなレベルの知性は何の価値もない。茂木氏はそうではなく,ブレークスルーを起こし得る突出した知性を生み出す教育が必要だと述べる。つまり、底上げではなく,トップを引き上げることだ。そういうと格差を広げる教育だと非難されかねないが,東氏はそれは格差じゃなく「多様性」と捉えるべきだという。

また,東浩紀氏は以下のように述べる。
先日「朝まで生テレビ!」で,僕や元ライブドア社長の堀江貴文さんがウィニーとか YouTube の話をしたら、司会の田原総一朗さんから、「面白い話だけどオタク的だからもっと分かるように説明して」と言われました。でも僕に言わせれば、小沢一郎の献金問題のほうがよほどオタク的な話題です。あれは象徴的でした。今起こっているのは、何が社会的なのか、何がオタクっぽいかの境界そのものの変動です。
中央公論のライバル誌(といってもはるかに部数が多い)文藝春秋の今月号は「たちあがれ日本」結党宣言と「愛子さま不登校」問題が目玉。確かにこれは,ある種のオタクといえるかもしれない。お二人の対談はその後,大学論や Twitter 論に向かう。最後あたりで,ソクラテスが話すのを Usream で中継したらという話になる。そこに,これからの教育のあり方が示唆されている。面白い!

中央公論 2010年 05月号 [雑誌]

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もちろん面白くない現実もある。同じ特集にある山田昌弘氏の「学歴を費用対効果で格付けする」では,高等教育への支出はいまや投資ではなく投機になったという。つまり,医学部や看護学部のような一部の例外を除くと,進学してみたものの期待したような就職上のメリットが得られないというリスクが増大していると。これは,茂木-東対談で議論されている非常に知的な世界とは別の現実である。

その意味で,それは格差に見える。しかし,格差を多様化に転換し,序列のない知性のあり方をそれぞれの持ち場で探るしかない。その最大の障害は,何らかの序列に捕われている教員のマインドセットではないだろうか。マーケティングという傍流の学問の研究者こそ,そうした桎梏から自由であるべきだが,果たして・・・。

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