Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

「『熱狂』は共創される」寄稿

2017-01-17 14:25:08 | Weblog
富士通総合研究所から発行されている機関誌『ER』2月号に、拙稿が掲載された。「『熱狂』は共創される」というタイトルで、カープ女子ブームを論じている。昨年出版された『プロ野球「熱狂」の経営科学』をベースにしているが、ささやかながら新たな議論もしている。



この号は「共存・共在の論点」というテーマのもと、以下のような寄稿を集めている。一括ダウンロードできるので、ご関心のあるものがあれば、ぜひここをクリックしていただきたい。

清水 博「共存在の場を支える〈いのち〉の与贈循環」
ミルタ・ガレシック、ワンディ・ブルイン・ドゥ・ブルイン「集合知を頼りに、より精緻に選挙結果をデザインする」
ジェフリー・クリッチマー「人を幸せにするロボットをつくる」
若林 直樹「企業組織はエコシステムと共進化している」
坂本 尚志「共同体と他者」
田島 知之「人はなぜ他者に与えるのか」
出村 嘉史「まちを共有する主体について」
水野 誠「『熱狂』は共創される」
江間 有沙 「人間と人工知能の共存を共有し共創する」
上田 遼 「災害に対するレジリエント社会の共創に向けて」
生田 孝史 「企業と社会との共創」

●amazonへのリンク
プロ野球「熱狂」の経営科学: ファン心理とスポーツビジネス
水野誠、三浦麻子、稲水伸行
東京大学出版会

ポスト民主主義は国民クイズ

2017-01-17 02:46:53 | Weblog
近未来の日本では議会制民主主義が廃止され、政府が「国民クイズ」を実施、その様子がテレビで中継されている。クイズの出場者のうち最後まで勝ち抜いた者の願いだけが叶えられる。国家財政が破綻し、全国民に社会福祉を提供できないが、国民クイズのおかげで国民の不満は爆発しない。

ごくわずかな参加者しかクイズに勝ち残ることができないが、実力と運で決まるので、ある意味でフェアであり、機会平等ともいえる。大多数の国民は、クイズに敗れて転落していく人々の姿をテレビでショーとして楽しんでいる。費用をかけずに国民の満足を充足させる仕組みというわけだ。

なお、民主主義が廃止されたのは政党間の対立で意思決定が遅れ、非効率だから、とされている。この漫画がモーニングに連載されていた 1993 年は細川内閣の頃だ。しかし現在は衆参で与党が3分の2以上を占め、状況は異なる。それはそれで、議会制が無効化した時代といえるかもしれない。

[まとめ買い] 国民クイズ
杉元伶一, 加藤伸吉
講談社