Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

2014年の自分の研究を振り返る

2014-12-31 16:36:42 | Weblog
例年、年末には、仕事がたいして進まなかったことへの反省、という名の言い訳ばかりしてきたが・・・

2014年の自分の仕事で、自分にとって大きな出来事だったのは、拙著を出版したことだろう。筑波大学で5年、明治大学で5年教えてきたことの集大成として、自分的バイアスの強い教科書を執筆した。こんな企画を引き受けていただいた、同文舘出版の角田さんには頭を下げるのみである。

マーケティングは進化する -クリエイティブなMaket+ingの発想-
水野誠
同文舘出版

この本、amazon ではまだ書評がなく、星もつかない状態である。たとえ匿名の評者にけなされたとしても、社会的認知が得られるなら、そのほうがいいのかな・・・。しかし、青山学院大学の久保田進彦先生には、日経広告研究所報の書評で取り上げていただいた。ありがたいことです。

また、構造計画研究所の服部社長には、出版記念の講演会を催していただいた。また、この本も含む「自著を語るセッション」をソーシャルメディア研究ワークショップで企画いただいた池田謙一先生、筑波大学大学院での集中講義にお呼びいただいた秋山英三先生にも感謝したい。

この本の執筆にはかなり時間と労力を投入したが、時間が経つにつれて、単なる誤植以外にも、書き直したい部分がいろいろ出てくる。『マーケティングは進化する』もまた進化する、ということであってほしい。もちろん、今後は、研究書やそれに近い本を書くことも目指したい。

論文としては、かなり以前に取り組んだ「装備の充実は消費者選好を高めるか?―乗用車をめぐる知覚ポジショニング、技術装備、購買態度の関係分析―」がようやく『赤門マネジメント・レビュー』に掲載された。自分より若い共著者の皆様を長く待たせることになり申し訳ない限り。

とまあ、具体的な成果物について語ることができるのはここまで。そろそろ論文執筆ステージに向かわなくてなならない研究として、Twitter 上のインフルエンサー研究がある。共著者の一人、阿部誠先生に時間をかけて分析してもらったが、その後自分のところで止まったままに(汗)。

昨年スタートした経済政策・政治に関する世論調査(代表:畑農鋭矢先生)では、予備調査の分析を経て、年末の総選挙中にパネル調査の1回目を実施した。吉田秀雄記念事業財団から助成を受けているプロ野球ファン調査(分担者:石田大典先生)では、パネル調査を2回行った。

後者に関連して、統計関連学会連合大会で「スポーツビジネスの計量分析」という特別セッションを企画した。発表者の三浦麻子、戸石七生、稲水伸行、石田大典、坂平文博、討論者の星野崇宏の各先生に感謝。これは単なるセッションで終わらせたくない、と考えている。

科学技術振興機構から受託している金融サービスの研究プロジェクト(代表:戸谷圭子先生)では、顧客調査と顧客収益データ、従業員データ、顧客間取引データなどを用いたエージェントベース・モデルを試作、今年は主に海外の学会・ワークショップで発表してきた。

他にも、今年、何とかデータを入手することで始めることができたプロジェクトがいくつかある。また、過去に行き詰まった研究を新たな形で復活させる謀議も進行中だ。ということで、そろそろ来年の研究計画について(夢を)語るべきなのだが、それは年明けに。