マーケティング学者の最高峰、といえばフィリップ・コトラーだろう。彼は経済学で学位を取得している。Wikipedia によると、シカゴとMITでミルトン・フリードマン、ポール・サミュエルソン、ロバート・ソローに学んだという(直接指導を受けたのか、講義に出た程度なのか・・・)。
マーケティングが科学化するに当たり、経済学の影響が大きかったことは間違いない。そして、最近の米国のマーケティング・サイエンスでは、ミクロ計量経済学、ゲーム理論、(新しい)産業組織論がそれぞれ中心を形成している(一方で心理学の影響も重要ではある)。
しかし、日本のマーケティング・サイエンス学会での発表を聴いている限りでは、そんな感じはあまりしない。一方、日本でも経済学者たちの仕事を見ると、マーケティングと関心がダブる領域で、さまざまな研究が行われていることに気づく。そのことを示す二冊の文献が、最近刊行された。
まずは日経BPから出版された『新しい経済の教科書』の最新版である。メインで取り上げているのは、アベノミクス等々のいかにも経済学的な話題だが、若手の経済学者の寄稿では、マーケティングと深く関わるテーマが取り上げられている。代表的なものを挙げると・・・
山田知明:失業したら、パラサイトシングルも悪くない
米国「ブーメラン世代」の消費行動とリスク
遊喜一洋:日本人に必要なのは、「分析力」と「職人技」
サービス産業の生産性向上が賃金増の鍵
西田充邦:ゲーム理論で読み解くコンビニの立地戦略
データ推計で他社の行動を予測する
もう一つが一橋ビジネスレビューの最新号である。ビジネス・エコノミクスが特集されているが、ここでも、マーケティングの研究者にとって興味をひかれる話題がずらりと並んでいる。
安田洋祐:マーケットデザインの理論とビジネスへの実践
花園誠:抱き合わせ販売
中島大輔:行動経済学と産業組織論
ナイーブな消費者と市場
米国がそうだから、とか、経済学は高度そうに見えるから、という理由でマーケティング・サイエンスの「経済学化」を推し進めるべきだというのは、もちろん愚かである。一方で、過去に経験した経済学への反発から、最新の経済学をすべて無視してしまうのも、もったいない話である。
マーケティングと経済学の対象領域は重複しており、交流があるのは当然である。もちろん、これまではほぼ一方的に経済学が影響を与えてきた。逆の影響はほとんどなかった、といっていいだろう。しかし、双方の境界領域での研究が進むと、いずれそういったことも起きるかもしれない。
マーケティングが科学化するに当たり、経済学の影響が大きかったことは間違いない。そして、最近の米国のマーケティング・サイエンスでは、ミクロ計量経済学、ゲーム理論、(新しい)産業組織論がそれぞれ中心を形成している(一方で心理学の影響も重要ではある)。
しかし、日本のマーケティング・サイエンス学会での発表を聴いている限りでは、そんな感じはあまりしない。一方、日本でも経済学者たちの仕事を見ると、マーケティングと関心がダブる領域で、さまざまな研究が行われていることに気づく。そのことを示す二冊の文献が、最近刊行された。
まずは日経BPから出版された『新しい経済の教科書』の最新版である。メインで取り上げているのは、アベノミクス等々のいかにも経済学的な話題だが、若手の経済学者の寄稿では、マーケティングと深く関わるテーマが取り上げられている。代表的なものを挙げると・・・
山田知明:失業したら、パラサイトシングルも悪くない
米国「ブーメラン世代」の消費行動とリスク
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サービス産業の生産性向上が賃金増の鍵
西田充邦:ゲーム理論で読み解くコンビニの立地戦略
データ推計で他社の行動を予測する
![]() | 新しい経済の教科書2013-2014年版 (日経BPムック 日経ビジネス) |
日経BP社 |
もう一つが一橋ビジネスレビューの最新号である。ビジネス・エコノミクスが特集されているが、ここでも、マーケティングの研究者にとって興味をひかれる話題がずらりと並んでいる。
安田洋祐:マーケットデザインの理論とビジネスへの実践
花園誠:抱き合わせ販売
中島大輔:行動経済学と産業組織論
ナイーブな消費者と市場
![]() | 一橋ビジネスレビュー 2013年SUM.61巻1号: 特集 市場と組織をデザインする ビジネス・エコノミクスの新潮流 |
東洋経済新報社 |
米国がそうだから、とか、経済学は高度そうに見えるから、という理由でマーケティング・サイエンスの「経済学化」を推し進めるべきだというのは、もちろん愚かである。一方で、過去に経験した経済学への反発から、最新の経済学をすべて無視してしまうのも、もったいない話である。
マーケティングと経済学の対象領域は重複しており、交流があるのは当然である。もちろん、これまではほぼ一方的に経済学が影響を与えてきた。逆の影響はほとんどなかった、といっていいだろう。しかし、双方の境界領域での研究が進むと、いずれそういったことも起きるかもしれない。