goo blog サービス終了のお知らせ 

Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

Be creative and innovative

2008-12-10 20:21:08 | Weblog
今日はぽかぽかしていい天気だった。
珍しく来客が2件。どちらのお話しもデータマイニングに関係があった。
本屋で以下の本を買う。

データマイニング入門
豊田 秀樹
東京図書

このアイテムの詳細を見る

カバーされているのは,ニューラルネット,決定木,SOM,アソシエーション・ルール,クラスタリングといった標準的なデータマイニング手法にとどまらず,ベイジアンネット,SVM,潜在意味解析といった新手法にまで及ぶ。特に最後のは全く知らなかっただけに,興味津々だ。R でここまでできてしまうと,高価なデータマイニングソフトにとっては脅威ではないだろうか。もっとも,数式アレルギーのユーザが相当多いのだとしたら,市場は維持できるのだろう。

さらっと眺めて感心するのは,例の取り方のうまさだ。適切な事例の提示が意外に難しいことは,自分で統計学の授業を担当することになって痛感した。よきテキストがあればその悩みはなくなる。ただし,それがあれば,凡庸な教師もいらなくなる。企業が膨大なデータを抱えるようになった今日,極論すれば,商・経営学部では統計学を飛ばして,マイニングを教えてもいいかもしれない(それを強く主張するほどの信念と勇気はないが…)。

夜,学内でLVJの社長エマニュエル・プラット氏の講演を聴く。いうまでもなくLVMHは,ルイヴィトンやヘネシーに始まり,クリスチャンディオールからタグホイヤーまで傘下に収める,高級ブランド市場の巨人である。市場が停滞するなか,同社を筆頭とする上位グループだけが伸びている。それにしても,かくも多くのブランドを抱えて,それを全体としてどのように経営するのだろうか。単にリスクヘッジのためのポートフォリオではないというが…。

予定を30分を過ぎて終わったので質疑応答はなし。最初遅れて会場に入ったとき,ほとんど満席状態で,しかも多くの学生たちがノートを取りながら聴いていたのに感心した(ぼくの授業とは大違いだ)。しかし,さすがに予定時間を過ぎると,席を立つ学生が目立ち始める。これからバイトがあるのか,それとも忘年会か…。そんな空気も気にすることなく熱くしゃべり続けるプラット氏を見て,これぞフランス人気質かと勝手な想像をする。

実際問題,LVMH はマーケティング・リサーチでよくやるように,ブランドを2次元図にマッピングしたりしているのだろうか? あれだけの数のブランドを2次元に圧縮できるとしたら,逆に各ブランドの価値とは何だろう? それとも,ブランドの固有の価値を認めるがゆえに,逆に財務的な管理に徹しきっているのだろうか? そんな単純な話ではないのだろう。LVMH のバリューの筆頭は Be creative and innovative だ。

さしあたり,これを読むべきだな…。

ブランド帝国LVMHを創った男 ベルナール・アルノー、語る
ベルナール・アルノー
日経BP社

このアイテムの詳細を見る