Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

W+K はなぜクリエイティブであり得るのか?

2008-11-17 23:15:31 | Weblog
MBF で W+K の Adams 氏の話を聞く。同社はいうまでもなく,Nike とともに歩み,いまや独立系としては世界最大になったクリエイティブ・エージェンシーだ。彼らのアプローチは,クライアントが意識していない「ブランドの真実」を,トップから現場までのインタビュー等を通じて徹底的に考え抜き,それをベースにクリエイティブなキャンペーンを考えることだという。そこから,KUMON の CI やサッポロビール 「I Love Beer」キャンペーンが生まれた。なるほど… しかし,そうしたアプローチ自体は,他のエージェンシーも行ってきたのではなかろうか?

W+K が傑出したクリエイティブ・ワークを生み出してきたことは,上述のような方法論だけでは語り尽くせない,さらなる何かのせいだと思う。それは,優秀なクリエイターを集め,そのスキルを高め,最高の成果を上げるように環境整備と動機づけを行ったからだよ… と誰かが説明してくれたとしても,それだけでは十分わかった気になれない。他社だって同じ努力をしているし,時には成功もしている。それなのに,なぜある企業がより優れた人材を採用し,育成し,刺激できるのか? そこにこそ,W+K 自体が意識していない「真実」があるかもしれない。

奇しくも,今月号の DHBR では,IDEO や Pixar が取り上げられている。いうまでもなく「クリエイティブ」であることを希求するビジネスパーソンにとって,いま最もベンチマークしたい企業であろう。執筆しているのは,それぞれの企業の経営者だ。だから,両社の企業戦略がうかがえるメリットがあるとともに,内部から見えない何かを見逃している可能性もある。W+K がクライアントにそうしているように,「何も知らない」外部から見た研究も必要だ。

Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 2008年 12月号 [雑誌]

ダイヤモンド社

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