Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

クリエイティブなカオスへ

2007-09-01 22:14:22 | Weblog
消費において,生活においてクリエイティブであることが重要になる。それに対応して,製品開発,マーケティング,そしてマネジメントにおいて,クリエイティビティが死命を制するようになる。その典型がエンタテイメント産業だが,クルマのようなものづくりでも,あるいはサービスビジネスも例外ではない。

クリエイティブなものへの消費者選好は,とりわけ複雑で不安定だ。事前の知識がそのまま選好として顕示されるのではなく,消費の行為のなかで,おかれた環境のなかで,あるいは長い人生のなかで,選好が形成される。したがって,消費の行為自体がある種のクリエイションともいえる。では,そのメカニズムをどう捉えるのか。既存の分析ツールをやりくりしつつ,(次の世代での?)革命を準備しよう。

・・・いま周囲で起きている,研究上の動きを総合すると,このようなストーリーになる(だいぶ無理はあるが・・・)。当面,集計データを用いた非補償型の分析を進める。そして早い時期に「CD」そして「映画」データの分析へ・・・いずれも期せずしてエンタテイメント領域に属する。もちろん,他にも重要な仕事はあり,おそらくカオスの秋を迎えるだろう。その後,年末には,カオスからどんな秩序が創出されているだろうか・・・。

美しい鳥の足

2007-09-01 02:12:51 | Weblog
世界陸上。日本はいまだメダルなし。今夜の男子4×100mリレー決勝に期待がかかる。個人プレイでは,世界の頂点には届かないが,リレーというチームプレイでは世界に伍する戦いができる・・・まさに日本を象徴するような・・・といいたいところだが,安易な一般化は禁物である。

昨日の午後,ITや経済学を専攻する同僚たちとの打ち合わせで,日本企業にクリエイティブなイノベーションが可能かどうかが議論になった。そこで感じたのは,ある時点の限られた観察から,つい過度に一般化してしまう危険だ。命題を一般化する前に,果たして反証はないか血眼になって探る必要がある。反証が出てくると自己の命題が崩壊するのではなく,より高い次元に発展させられると捉えるべきだ。

それはともかく,今回の世界陸上で心を奪われたのは,女子200m走の優勝者,アリソン・フェリックスだ。女性ながら筋骨隆々たる他の選手のなかにあって,腕も足もきわめて細身の彼女が,ぶっちぎりの走りを見せる。いったい,どこからそんなパワーが出るのか・・・他の選手たちの筋肉はもしかすると過剰であり,早く走るために最も効率的に設計された身体がこれなのか・・・。それはあまりに美しい。

アリソン・フェリックスはバスケを始めた頃,足が細いため「鳥の足」だとからかわれたという。彼女はその足でも早く走れることを示すため,陸上競技を始めた。そして鳥の足のまま,世界の頂点に立った・・・。この話,アディダスのサイトで知った。なかなか素敵なサイトである。それはともかく,アリソンは一種のイノベータかもしれない。通説・俗説をひっくり返し,嘲笑するものを見返そうという野心。それを開花させる環境が社会にあるかどうか・・・待て待て,一般化はまだ早いよ。