待ちに待ったピーター・ガブリエル時代のジェネシスの、
「創成期」を除くスタジオ盤5枚をSACDとDVD仕様で収録した
箱で、今までと同様に単体でも発売されるがボックスのみボーナス・ディスクが
付くので購入となったわけである。
本当の目当てはDVDに収録された映像にある。2007年に行なわれた
リイシューに関するインタビューはせめて英語の字幕でもあればいいのだが
それすら無いのでつらいところである。この部分を楽しめないのは勿体無い
のはわかっているが、リモコンを動かす手はさっさと70年代の映像を
選択する。(笑)
今回収録された映像は、ジェネシスのファンなら大概見たことがあるだろう。
何年か前に「FILM ARCHIVE」と銘打ったブートDVDーRが2種出回ったが
それを持っているだけで、「ほぼ過去に見たライヴ映像」と言うことが
できるのだが、さすがにブートレグのクオリティとはわけがちがう。
昔のテレビ放送をそのままDVDにしているような感じで、
画像補正とかされていないのだが、それでもブートレグよりはましだ。
「FILM ARCHIVE」を買った時は「こんな綺麗な状態で映像が残っているんだ」と
思ったのは一体何だったのだろう。(笑)
74年の「THE MELODY SHOW」はブートレグにあったタイム・カウンターが無い
だけで嬉しい。音声が一部不具合なところもあるが大きな障害ではない。
73年の「BATACLAN」や72年の「BELGUIM」での映像はとてもいい状態で
収録されていてブートレグの出る幕は無い。「月影の騎士」のDVDに
収録された73年の「SHEPPERTON STUDIOS」こそ私が初めて見た動くジェネシス
である。プログレに距離をとっていた学生時代に、「見聞を広げるか」くらいの
気持ちで、サークル仲間から画質の悪いブートビデオを借りて見たのだが、
当時は何がいいのかさっぱりわからなかったことを思い出した。
今でもよくわからないのだけど、楽しんでいるのは事実だ。
73年と74年の両方で「I KNOW WHAT I LIKE」を演奏していて、
ガブリエルの動きが細かい演出を含めてほとんど同じなのが笑える。
スティーヴ・ハケットの目立ったり目立たなかったりの両極端なギターも
面白い。余り声高に言ったことはないのだが、フィル・コリンズの
ドラムスの上手さも映像だとよくわかる。
ボーナス・ディスクにはシングル曲とレアなデモやライブが収録されている。
アルバム未収録曲の中では、ファンに人気があるという「TWILIGHT
ALEHOUSE」の出来が素晴らしい。私はこのディスクで初めて聴いたのだが
こんな曲がアルバム未収録とは、この当時のジェネシスの創作能力の
高さを思い知る次第。ちなみにマニア垂涎の日本盤シングルもあり、
「これが幸福さ」のB面で「たそがれの酒場」という邦題がついている。
デモ・レコーディングに関して、サウンドはいいがボーカルは酷いものだという
ガブリエルのコメントが興味深い。
相変わらずボーナス・ディスクに関しては一度取り出すと、収納がかったるい。
酔っ払っていると取り扱いが雑になり、収納する紙のトレイが破れたりする
ので(お、俺か)気をつけましょう。