HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

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追憶のブートレグ61・ACT47 / BRIAN ENO

2008-11-30 18:12:00 | ROCK
熱心なブライアン・イーノのファンではない。ロキシー・ミュージック時代や
ソロになってから最初の何枚かのアルバムは所持しているが、仙人になって
からのものはほとんど聴いていない。
ボウイ様やトーキング・ヘッズのアルバム・プロデューサーとして
認知しているというのも、なんだか過去の話過ぎて笑われそうだ。
先日、フリップ&イーノ名義の「NO PUSSYFOOTING」が2枚組仕様で
再発されたが、そこには従来のアルバムに加えて「REVERSED」バージョンや
「HALF SPEED」バージョンなるものが収録されている。
リミックスという行為が一般的に当たり前の今では、特に驚きべき事では
ないのかも知れないが、それでは元の音に対してあんまりなんじゃないかとの
思いが強く、私には理解できないのと共に、なんだか「どうでもいいや」
という気持ちが強くなった。
もっとも「NO PUSSYFOOTING」は73年のアルバムで、イーノが環境音楽の
ようなアルバムを出すのはもっとずっと後なんだけど。

今から3年位前にウィンキーズの記事を書いた。その時に「イーノが
ウィンキーズをバックに演奏したブートレグがあるようで、それを聴きたい」
と書いたのだが、先日入手したブートレグでその思いが叶った。
イーノの編集盤の中に、イーノ&ウィンキーズのBBC録音が収録されて
いるものがあるのだが、それも入手困難な今となっては重宝するブートレグだ。

2枚のディスクで構成され、各ディスクの後半に時間の穴埋めではないが
BBCでの録音が収録されている。放送をエア・チェックしたのであろうから
その部分の音質はそれなりに良い。ディスク1に74年2月のイーノ&
ウィンキーズの演奏が収録されている。ブートレグを聴きなれた方にも
少々厳しい音質の会場録音なのだが、内容の貴重さが音質を補って余りある。
これがストーンズやクラプトンの音源なら見向きもされないような
音質ではあるが。(笑)

イーノの「HERE COME THE WARM JETS」収録曲が次々と地味なのか派手なのか
わからないアレンジで淡々と演奏されるのだが、バックがウィンキーズだと
思うと熱心に聴いてしまう。なんとなくグラム・ロックの残り香を漂わせつつ
粘っこい演奏は後にパブ・ロック・フィールドで括られる活動をするバンドに
相応しい。面白いのはカバー曲の選び方だ。
V.U.の「WHAT'S GOES ON」は別に不思議ではない。ザ・フーのファンは
ここで演奏される風変わりな「I'M A BOY」に耳を奪われるだろう。
後のパンク・バンドがカバーしたら、こんな節回しで歌うんじゃないかという
メロディーと発声は、74年当時は奇異な目で見られたかもしれない。
いや待てよ、この年はテレヴィションとの録音があるんだった。
何にせよ初めて聴いた時はその崩したメロディーが頭から離れずに困った。(笑)
忘れてはならないのがリトル・ウィリー・ジョンの「FEVER」。
一般的なイメージで言うと、イーノからは遠い位置にあるような楽曲だが
こういった曲を取り上げるセンスの良さにも驚かされる。
ディスクの2枚目にはニコとジョン・ケイルと3人で行なった演奏が
収録されているが、同年の「悪魔の申し子たち」をケヴィン・エアーズ抜きで
収録したようなもので、イーノの存在もさほど重要に感じられない。

それにしても、やっと聴けたという思いが未だに強い。
「追憶のブートレグ」は過去のブートレグに対する思いを記してきたもので、
今回のものは趣が変わるわけだが、ずっと聴きたかった音源であったことで
私にはこの先も記憶に残る1枚という訳で「61選」に取り上げた次第である。

コメント
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