HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

あがた森魚 / 乙女の儚夢

2007-10-07 21:39:20 | 日本のロック・ポップス
初めて電気ブランを飲んだのは24,5歳の時、今はおそらく
無いであろう京都のとあるバーというか居酒屋というか、そんな所だった。
記憶は随分と曖昧だが、店の雰囲気と併せて「これが大正ロマンか」などと
阿呆のような軽い気分が頭をよぎったことは覚えている。

あがた森魚はしばらく聴かず嫌いが続いた。
昔は「ああ、赤色エレジーの女々しい人ね。」で片付けたものだ。
しかしながら改めて聴きなおすと、どんどん惹きこまれていく。
今回取り上げる「乙女の儚夢」は72年のセカンド。
フェヤポート・コンベンションの「フルハウス」が唯一冊の参考書であるとの
告白もあるが、それはこのアルバムの魅力の一片に過ぎないことに
気がつくのに、それほど時間がかからなかったのは、こちらの
基礎体力が増強されているからか?。

日本でしか有り得ない文化や虚構が時間軸を超えてこれほど
美しく保存されているアルバムは他に無いかもしれない。
当たり前だが、私が体験することの出来なかった出来事や時代が
あたかもかつて私も体験したかのような錯覚を感じさせる。
アメリカのフォークではなく、大英帝国のそれに近似値を
見出したことも、私の気分に合ったというのは当たっている。

早川義夫との接点や共通項が記されることが多いが、この普遍性は
むしろ遠藤賢司と比べるのが正しいような気がするが如何だろう。
よくよく聴けば、春から冬まで一年通しての「じれったい男女の物語」の
ようにも思えてくる。コンセプト・アルバムというのは大袈裟だが
そう呼んでみたい気もする。

何度もCD化されているアルバムだが、今回の再発はオリジナル・アナログを
再現する変形ジャケットであるうえに、12ページからなるブックレットも
初めて再現された。こういう再発こそ購入の意義、買い替えの意義があると
いうものだ。

持ち物は大切にしませう。
コメント (2)
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RINGO STARR / PHOTOGRAPH

2007-10-07 09:27:04 | ROCK
ふと、相方に言われる。
「ビートルズでリンゴのことは2番目に好きでしょ。」
ドキッ・・・・。
「みんな好きだよ、何言ってるんだよ。バンド解散後にメンバー全員が
チャートの1位になったのはビートルズだけなんだから。」と、
訳のわからないことを言ってお茶を濁す私。
誰が一番好きだなんて、そのときの気分で違うんだから。

リンゴ・スターのアルバムを何枚所持しているかを数えたら
オール・スター・バンドを除けば12枚あった。これは全て持っていることを
意味しないが、まあ大勢に影響は無い。
そんな私のリンゴ・コレクションに加わった13枚目がこのベスト盤。
目的は限定版に付いているDVDである。

20分ほどしか収録時間がないのだが、6曲のプロモと「GOODNIGHT VIENNA」
発売時のTVスポットが収録されている。ビートルズやメンバーのソロの
ビデオがTVで放送されるとき、リンゴはほとんど無視に近い状態だったので
70年代のプロモが正規商品として手に入るのはとても嬉しい。
「明日への誓い」は昔LDやビデオで発売された「ロック映像年鑑」で
見ることが出来たが、その他のビデオをフルレングスで見るのは
初めてである。

「BACK OFF BOOGALOO」は、いきなり「BACK TO MONO」バッジの大写しから
始まる、フランケンシュタインと戯れるたわいの無いビデオ。
「YOU'RE SIXTEEN」の映像は切り絵をコマ撮りで動かす楽しい出来。
私の一番の目当ては「ONLY YOU」であった。
昔、地上波で放送されていた頃のMTVでビートルズ特集があったのだが
本編に入る前の予告のようなもので、ビートルズやメンバーのビデオの断片を
繋ぎ合わせた映像が流れた。そこに「GOODNIGHT VIENNA」のジャケットと
同じ服装のリンゴの動く映像があった。
「おお~」と思った私は本編に期待したが、本編ではもう何十回と見飽きた
映像しか流れず(いろいろ規制があったろうが)がっかりしたものだ。

しかし、やっとその時の映像であろう「ONLY YOU」を見ることが出来た。
他の70年代のビデオに比べると保存状態も良いようである。
ブーツィー・コリンズも欲しがるであろうサングラス(掲載写真参照)を
着用しハンドマイクで唄うリンゴの凛々しさよ。(笑)
傍らには同じくサングラス着用でくわえ煙草もふてぶてしいニルスンもいる。
この1曲のDVDのために買う価値があるというものだ。
TVスポットの出来がまた素晴らしく、レコードの発売予告と言うよりも
映画の予告を見ているような感じさえする。
掲載写真左にあるようなU.F.O.に乗り込み、キャピトル社屋上に着陸するという
馬鹿馬鹿しくも楽しいスポットである。

リンゴ・スターのアルバムを聴いて楽しくならない人なんているのだろうか。
別に斬新なことをやるわけではなく、時代とリンクすることもないのだが
たまに取り出して聴けば幸福な気分になる。
さあ、次はサーの集大成DVDだ。




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