HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

人に歴史あり

2007-10-27 21:20:10 | DAY BY DAY
不勉強を棚に上げての物言いだが、このCDが出るまで
ヴァシュティ・バニヤンのデビュー曲が、ミック・ジャガーと
キース・リチャーズの手によるものとは知らなかった。
人に歴史ありとはよく言われるが、私にも歴史(笑)がある。
レコード購入の取るに足らない歴史ですけど。

私が所持するストーンズの「メタモフォーシス」は1975年に発売された
当時の日本盤。ここに件の曲「SOME THINGS JUST STICK IN YOUR MIND」は
収録されている。1984年に私はこの盤を中古盤で入手する。
そこに添付されたライナーには、その盤に関することは一切書いていなくて
デビューから当時までのバンドの歴史に触れることに終始する。
今でこそ読んだり読まなかったりだが、当時は熱心にライナーを読んで
いたので、いくら時代が時代とはいえ酷いなあと思ったものだ。
このアルバムはアウトテイクや、他のアーティストに提供した曲を
ストーンズが演奏したものを集めた盤であることを知っていただけに
余計にデータがないことを不満に思った。

ストーンズのブートレグの中でもスタジオ録音を集めたものには
この曲が含まれるブツは幾つかあったが、誰のための曲だったかは判らず
「ストーンズっぽくない曲だなあ」といつものように聞き流す毎日。

ヴァシュティ・バニヤンのことを知ったのは1990年に「ブリティッシュ・
ロック集成」という本で「JUST ANOTHER DIAMOND DAY」が紹介されて
いるのを読んでである。どうせ一生聴けないと思っていたのが、CD化され
今や気の利いた人なら誰でも知っている盤にまで昇格した。
まさかのセカンド・アルバムまでリリースされるとは、私は行かなかったが
日本にまで演奏しに来るとは誰が思ったろう。

1998年に出たレコ・コレ増刊「STONED」で、「メタモフォーシス」の項で
件の曲は『デッカの女性歌手、ヴァシュティ』のためのデモということが
書いてあるが、気が付かなかった。
売り出した当初は「ヴァシュティ・バニヤン」ではなく「ヴァシュティ」
だったということを知らなかったためである。
今回の蔵出し&発掘録音集の発売でようやく聴く事ができたのだが、
いかにもフィル・スペクターを意識した、当時のアンドリュー・オールダムの
プロダクションで、当然ストーンズのバージョンより可愛らしく処理が
されている。

ストーンズ者なので、「SOME THING・・・」のことを長々と書いたが
本当の聴き所はそこにはない。私はニック・ドレイクの「ブライター・
レイター」擁護論者でもあるので、ポップなアレンジは否定しないが
この2枚組にあってはディスク2に収録された、ヴァシュティが一人で録音した
ダビングなしの1964年録音の12曲の瑞々しさこそ熱心に聴かれ語られる
べきかもしれない。

日本の「歌姫」とやらは一体何をやっているのだろう?。
時にプロデューサーという人は無能でジャマなこともある。
そんなことを考えさせられるCDでもある。
コメント (2)
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