HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

イエロー / イエロー

2007-10-22 18:32:44 | 日本のロック・ポップス
75年に発表されたイエローの1stにして唯一のスタジオ録音盤。
同年12月に発表された2枚目はライブ盤である。

このバンドこそ今聴かれるべきバンドではないだろうか。
過去のCDはすぐに廃盤になり、それから15年たっても再発されない
というのは、どうしたことだろう。

当時のバンドと趣が違うのが、ブルーズやニュー・ロックを下敷きにせず、
ダニー・ハザウェイの「ゲットー」をカバーするように、ニュー・ソウルの
持つうねりやダイナミズムをバンドに持ち込んだことだ。
同じくカバーというか、最早オリジナルといっても過言でないのだが
「ツァラトゥストラはかく語りき」を「宇宙」というタイトルで演奏している
のだが、この曲は題材こそクラシックだが同時期のマイルス・デイビスが
とったアプローチをより解りやすくロックのフォーマットに
落としこんでいる。

ボーカルはひたすら粘っこく、パーカッションとキーボードがつくる
緩やかなうねり、時折からむフルートといった本来脇役にまわりそうな
パートが重要な位置を占め、バンドの個性となっている。
「教えてください」の作詞は荒木和作。2000年になってやっとCD化
された荒木和作&やまだあきらの、「和作」は傑作だったが、
こういう仕事もしていたのだ。

アルバム最後を飾るのは泉谷しげるの「国旗はためく下に」。
ここでのアレンジのベースはピンク・フロイドのようであるが、
ピンク・フロイドというバンドは日本のロック・シーンのあちこちに
本当に影響を与えているのだなということも改めて認識した。
高度成長期にあって、ひたすら黙々と働くことへの自戒が込められた
この曲を聴くたびに、考えさせられる。

それにしても。
これだけの演奏能力を持ったイエローと、ラスト・ショーをバック・バンドに
従えることの出来た、あるいは彼らを選んだ泉谷しげるの慧眼には
驚くばかりである。当然このあと「ライブ泉谷~王様たちの夜」を
聴くことになるのだが、これも廃盤なんだよなぁ~。
コメント (4)
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