HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

DUPE

2014-11-21 22:41:20 | JAZZ

掲載写真は日野皓正クインテットが69年にリリースしたアルバム「ハイノロジー」。
当時の日本のジャズ・シーンにおいては、かなりのセールスを記録した盤であり、
有名ジャズ雑誌における、とある賞も受賞している。

大抵の場合、このアルバムは冒頭の『LIKE MILES』に言及されることが多いように
思う。他の長尺の収録曲に比べ日野元彦のドラムスがロック的なビートを刻み、そこに
皓正の切れ味鋭いトランペットと鈴木宏昌の流れるよなエレピが組み合わさることで
マイルスのような音になるところが、面白く捉えられたのだろう。
実際、今聴いても単純に格好いい曲、アレンジである。

さて、何故私がこの盤をとりあげるほど気に入っているかというと、まあそれは
ジャケットがクールであるというのも理由の一つだが、ロック者にとってはある意味
重要曲である『DUPE』が収録されているからである。

ジャズに疎くても日本のロックに少し足を突っ込むと、フラワー・トラヴェリン・バンドに
行き当たる人もいるだろう。そのFTBのデビュー・シングル『クラッシュ』のB面が
『ドゥープ』であった。シタールを効果的に使ったアレンジで、ロビー和田による
歌詞がついている。そこには「HINOLOGIC ECSTACY」という言葉があるのだが、
これは日野のアルバム・タイトル「HI-NOLOGY」と何か関連があるのだろうか。

それはともかく、日野が作曲した『DUPE』の作者バージョンを聴くことができる、
というのが私の最大の関心事であったのは間違いない。FTBのカバーは70年5月の
リリースなので、当然ながら曲が登場したのはこちらが先である。

「ハイノロジー」収録の『DUPE』のフリガナは『デュープ』となっている。
で、このオリジナルの出来が滅茶苦茶恰好良くて当時の日野クインテットが冴えて
いたのがよくわかる。じわじわと迫りくるドラムスに、単純なフレーズであるが
まさに地を這うような低音を響かせるベース、トランペットとサックスのユニゾンで
吹かれるメイン・テーマの後に続くソロがまた熱い。それでいて曲調は日本や欧米の
ポピュラー音楽の音階を逸脱しようとしたかのような感じなのが驚きで、この1曲に
詰め込まれた情報量の多さには眩暈がする。

日本独自の音世界をロックのフォーマットで表現しようとしたFTBがこの曲に
目をつけたのは正に慧眼である。私が所持するCDは00年にリリースされた盤で
ボーナス・トラックが2曲付いている。悪くはないのだが『DUPE』の後に
流れてくると「蛇足だな。」と思ってしまうのが罪なところ。

さて。ここはひとつ気持ちを切り替えて、今更ながら「白昼の襲撃」のCDも入手
するかな。録音の面子は同じなのだから。

コメント
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