HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

YEAH ! HEAVY AND A BOX OF THE BASEMENT TAPES

2014-11-07 20:55:53 | ROCK

         

ボブ・ディランのブートレグ・シリーズ第11集は、67年にザ・バンドと共に
録音され、その一部が75年に2枚組LPでリリースされた「THE BASEMET TAPES」の
完全収録を謳った6枚組CDとして登場した。

こればっかり書いている気がする(笑)が、「地下室」を最初に聴いた時は全く
馴染めなかった。もともとディランを聴きだしたのが、ロック5年生(笑)くらいの
20歳過ぎという遅さもあったが、それでも徐々に歩みを進めてはいた。

60年代のアルバムを数枚聴いて、わかったようなフリをしながら「もっと格好いい
盤はないか」と遅い歩みで先に進むうちに70年代のアルバム「欲望」やライブ盤の
「激しい雨」を聴いてやっと格好よさが解り、ザ・バンド絡みの「偉大なる復活」も
気に入った私が次に手にしたのが「地下室」であった。

ザ・バンド絡みということで意味もなく期待したというのもあったが、あまりに簡素で
貧弱なように思えた録音に抵抗があり、曲の良さに気づく或いはその領域に踏み込む前に
2度ほど聴いて棚に仕舞い込んでしまったのだ。

それから更に時が流れ、最初の失業時にあまりに多くの時間を持て余し(笑)「今まで
ろくに聴いてこなかった盤をじっくりと聴こう」なんて極めて非生産的なことを思った
私は再び「地下室」を聴いて驚いた。

「あれ、バーズやサンダークラップ・ニューマンで聴いたことがある曲が入っている
じゃないか。」本末転倒も甚だしいが、カバー曲を先に意識して改めてオリジナルを
再体験した時の「音」が体に馴染む様は、以前の比ではなく何度も繰り返して聴くように
なり、しまいにはオフィシャル盤には収録されていない正真正銘のブートレグにも
手を出すようになった。(08年8月の当ブログ参照。)

オフィシャル2枚組「地下室」の謎を突き詰めていくと、様々なことがわかる。
例えば、監修を手掛けたロビー・ロバートスンがオーバー・ダビングを施した曲が
あることや、ザ・バンド単独演奏の曲はベースメント・テープスの録音時の演奏では
ないこと等々・・・。

元々の録音に否定的だった御大の言葉に耳を貸さず(笑)熱心に演奏を記録したのは
ガース・ハドスンであった。今回の発掘はインフォメーションによると、ディランの
自宅から新たに発見されたテープをガースを中心として世に送り送り出すべくトリート
メントを施したとのこと。ロビーでなくガースが発掘プロジェクトに参加したことに
大きな意味があると思う。

昔の録音に声や楽器を足さず、ありのままを最良の形で伝えるという、当たり前だが
何の思い上がりも自己顕示欲もない作業の尊さが、見事に6枚のCD全138曲に
刻まれている。(当然だが、ザ・バンドのみの演奏は外されている。)そりゃ個人的に
好き嫌いのはっきり別れる曲もあるが、記録としてあるものを全部出すというのは、
世界中のディラン・ファンが望む形であるのは間違いないだろう。ザ・バンドの5人の
メンバーの中で存命なのはロビーとガースの二人だけ。ガースが生きていていることに
これほど感謝したことは今までなかった。

ここから先は阿呆な戯言なのだが、まさかブートレグ・シリーズの第11集は
本当は噂されるように「血の轍」セッションが予定されていたのだけど、ガースの
余命の関係で「地下室」のリリースが早まった、なんてことはないよね。
ああ、くだらない勘ぐりをしてしまった。

もう、今年の当ブログ認定ロック大賞(笑)発掘部門の1位はこれで確定である。

さて。先に書いた時間を持て余した失業時に、私はもう1枚のアルバムを「再発見」し、
以降、そのバンドのぬかるみの世界から抜け出せずにいる。あくせくした時間ではなく
ゆっくりとのんびりした時間に生きるというのも、いいものだ。

ちなみに「再発見」した盤の名前は71年にリリースされたライブ盤でタイトルは
「GRATEFUL DEAD」。バンドの名前も勿論、グレイトフル・デッドという。

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする