ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

05/12/28 『ジキル&ハイド』千穐楽、鹿賀丈史一門でもう一度!

2005-12-29 02:29:02 | 観劇
鹿賀丈史が日本初演してからずっと大事にしている『ジキル&ハイド』の再再演の千穐楽を前から2列目センターブロック通路脇席で観る。鹿賀丈史ファンの私はもちろん三演ともしっかりおっかけている。再演の時の感想は下記の記事でちょっと書いている。
9/18にチケットを入手した時の記事はこちら
あらすじを書く余裕がないので、とても気に入ったこやまさんの記事をご紹介させていただく。写真は東宝のHPより以前の舞台の鹿賀ハイドの写真。
こやまさんの「持続する夢」の記事はこちら
離れた席に座る娘がチケットをコートに入れて預けてしまい、席番がわからず取り出しに行ったために開演してしまい冒頭5分間をモニターで見学となり、母は劇場の職員さんの前でも地団太を踏む。こうでもしないと悔しさがおさまらない。

「嘘の仮面」の場面から着席。『レ・ミゼラブル』のキャストが一新される前の懐かしい面々が揃っていてものすごく高いレベルのコーラス。もうそれだけで胸がいっぱいになってしまう。石川禅がイチオシの場面と言っているのは然りである。

ヘンリー・ジキルの親友ジョン・アターソン役は石川禅が初役。鹿賀バルジャンの時のマリウスだし、その後色々な舞台で共演しているし、息がぴったりだ。再演まではサイモンという恋敵役を憎憎しく演じていのだが、その経験も経た上でのジョン役はまさにナイスキャスティング。病院の理事会に人体実験を否決されて落胆しているヘンリーに気分転換を促そうと掛け合いで歌う時の歌唱力のすばらしさ。今までのキャストではこうはいかない。スラムのパブに連れていってのハメはずしぶりも眉尻を下げきってお茶目で可愛い。
石川禅が再演までつとめていたサイモン役は同じくマリウスをやっていた宮川浩がつとめているが『ジキル』への初参加の嬉しさが伝わってくるようだった。『回転木馬』や『蜘蛛女のキス』の主演での彼を観ている私としても嬉しい限り。サイモンはヘンリーの恋敵なので体格的にも大柄な宮川浩は石川禅よりもぴったり。再演までは集客力を意識してジョンに段田安則→池田成志をキャスティングしていたと推測しているが、これで鹿賀丈史一門が揃ってのベストキャストになったと思う。

レミゼOBの林アキラ、大須賀ひでき、石山毅、小関明久...。彼らが殺される理事をやったり、「嘘の仮面」のリプライズの数々の場面で街の人たちのそれぞれの扮装(上品な街、スラムなど3つ位の別の街での)で出てきたりするとここでも出てると嬉しくなる。女性理事で殺される荒井洸子も『回転木馬』でのソロが見事だったお方。レミゼ新キャストからも阿部よしつぐが新聞売りに抜擢されていて綺麗な声とハンサム顔で頑張っていて◎。
理事会の議論の歌も舞台で久しぶりに聞くとかなり聞きごたえがあるのにハイライト盤CDではカットされているので残念。ものすごくレベルが高いと今日も唸る。

知念里奈の降板で急遽エマ役にキャスティングされた鈴木蘭々。『キレイ』でミュージカルとしては全く歌声がききとれず危惧していたが、なんと...彼女だけピンマイクが口元まで伸ばされていたのだ(他の方は鬘の際までで固定)。彼女の致命的な声量のなさがこれで上手くカバーされていた。とっても可愛いし演技も自然でいいし透明でキレイな声だし、この役はいいとこのお嬢さんのフワッとした役柄なのでとても彼女にぴったりだと思った。ヘンリーと歌う「ありのままの」ではあまりの可愛さにこれなら鹿賀ヘンリーも惚れるよなと思わせたし、マルシアと歌う「その目に」もなんとかクリアして許容範囲に。危惧された最後の台詞「ゆっくりおやすみなさい」も許容範囲だと思った。エマの続投OKを出そう。
エマの父親役の浜畑謙吉は今回も温かい人柄が滲み出て嬉しい。(隣の隣のお席に夫人の上村香子さんが座っていた。あとで真聖さんに教えてもらったんだけど(^^ゞとてもお綺麗な方だった)。
ルーシー役のマルシア。再演まではとても綺麗でパワフルでせつなさを身体いっぱいで表現しているという印象で圧倒されていたのだけれど、今回初めて可愛い~って思ったのは何故だろう。公演途中で足の怪我をされたときいていたが危なげなく演じてくれた。
ジキル&ハイドの鹿賀丈史。ハイドを演じている時の方が楽しそうで魅力たっぷりで惚れているが、いつものマルシアとの「罪な遊戯」のデュエットは官能的な場面として『オペラ座の怪人』の「ポイント・オブ・ノー・リターン」と双璧だと思っていて、今回も観ているだけでドキドキものだった。さらに今日はルーシーを殺す前の場面に釘付けになってしまった。「おまえとアイツとの関係は俺をひどく傷つける」とか恋人が求めるもの全て(「友情」「純情」「貞操感」)を求めるとか言って、あげく刺し殺してしまうのだが...ハイドは肉体を支配したルーシーが心をヘンリーに向けているのが許せないという激しい嫉妬の末のことなのだ。

親友の前で変身してみせて真実を明かし、その助けも借りてなんとか迎えた結婚式当日。ハイドを薬で押さえ込んでいたのに宿敵サイモンの姿を見るとハイドが出てきてしまう。「なんとか今日だけはジキルのままで」とのたうつ鹿賀さんの目からはもう涙が。ハイドになってしまってサイモンを殺し、エマに襲いかかりジョンのピストルで撃たれる。そこでヘンリーが出てきて親友にとどめを撃ってくれるように懇願する。懇願の声はヘンリーの声とハイドの声であることがずっと不思議だったのだが、今回、ハタと合点がいった。ふたりとももう助からないと自覚して早くこの相克から逃れたいと願ったのだ。鹿賀さん、涙と鼻水でもうぐしゃぐしゃのお顔になっていた。

エマとルーシーにナイスキャストも得てこの複雑な恋愛模様の味わいも深くなったように思う。

最後のカーテンコールのものすごさ。通常のエンディングでもうスタンディングが始まっていて5回くらいあったかな。途中でマルシアは鹿賀さんに横から抱きついて泣いてるし、きっと怪我もあって勤め上げて感無量なんだろうなとか思って見ていた。奥のオーケストラメンバーも前に出てきてくれるし、指揮者の塩田さんと鹿賀さんも抱き合ってるし、盛り上がりに盛り上がった。そしていつもは鹿賀さん千穐楽でも何もしゃべってくれないのだけど、今日はしゃべりそうになり、観客はしっかり読み取って静寂。そして以下のようなお言葉を...
初演から3回目の今回の公演、新しいキャストも迎えて一ヶ月で33公演、毎回毎回のお客様に精一杯の舞台をとつとめてきた。今日までどうなるかと思ってきたけれど...「もう一回ぐらいやろうかな」と言ってくれた時は、ガッツポーズをやっているキャストもいたし、客席はもう大フィーバー。もちろん私も「いいぞ、いいぞ」と掛け声。その後のカーテンコールでも「鹿賀さん、最高!」としっかり掛け声。
大興奮状態で千穐楽観劇は終わったのだった。

この作品は内容も暗くて重いし、キャストもアダルトだし、本当に玄人好みなのだろうなと思う。そういったところでなかなかチケット完売というふうにはならないだろうけれど、そういう作品も大事にしていってもらいたいものだ。
今回のようなカンパニーが組めれば、息もぴったりレベルの高い舞台が期待できる。4演目もやはりかけつけなければなるまいと心に決めたのだった。

終演後、初めて真聖さんとミニオフ会。娘も一緒だったがいろいろと盛り上がる。またよろしくお願いしますm(_ _)m