Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

グルダは真実のみを語るのか?(No.1852)

2011-05-07 13:39:12 | 作曲家兼ピアニスト・グルダ(1930-2000)

グルダが「モーツァルトピアノソナタ全集」録音を急いだワケ



  1. グールドが「モーツァルト全集」を完成してしまった 1974.11.09録音完了


  2. ブレンデルが「モーツァルトソナタ集1枚目」を開始した(1975.05録音)上、「モーツァルト協奏曲5枚目」録音済み(1975.12)



 グールドのソナタ全集はとんでもない演奏揃いである。K.331第1楽章のテンポ設定の異常さが最も有名だが、どのフレーズをとっても「モーツァルトらしさ」が無い。さらに

グールドはライナーノートに「後期モーツァルトは、ウェーバーやフンメルの方向に向かって行って失敗した」と明記


 こんなシロモノがドイツ語盤も含め世界リリースされちゃったのである。(私高本が最初に入手したのはドイツプレスLPだった)「後期協奏曲」で理想の名盤を収録したばかりのグルダの怒り様は並みでは無かったことだろう。グールドは「コンサート引退」直後から「モーツァルトソナタ全集」を録音開始しており、「バッハに次ぐ大プロジェクトだった」のである。
 「狂ったグールド」がカナダで暴論を吐きながら狂演しただけで頭に来ている時に、

「ウィーンで周回遅れで走っていた」ブレンデル(「グルダの真実」記載)がいつの間にかロンドンに引っ越してフィリップスから協奏曲全曲録音で、グルダよりもリリース枚数が多くなってしまった


ことも頭を抱えた。マリナー指揮ロンドンの室内管弦楽団が伴奏だったが、メジャーレーベルから次々出てくる様はかつて同じフィリップスからリリースされた「ヘブラー盤」とは全く違った手応えだった。しかも

ブレンデルは「モーツァルト + ベートーヴェン + シューベルト の3点セット」全集を信じられない速度でリリース中


していた。グルダには「マリナークラスの指揮者で、しかもヴィヴァルディ辺りを弾くのに最適な室内オケとの共演盤」と言うのは耐えられないことであったが、かと言ってブレンデルが確実な足取りで録音を続けているのも脅威であった。

GULDA, BRENDEL, GOULD



  1. GULDA 1930 born, 1947 DECCA debu recording, 2000 died


  2. BRENDEL 1931 born, 1952 Everest debu recording, 2008 farewel


  3. GOULD 1932 born, 1955 CBS debu recording, 1982 died



 グルダ は誰がどう見ても「世代のトップ」を走っていたハズだった。作曲やジャズ演奏に時間を食っていたので、レパートリーはそれほどは広くは無いが、「バッハ、モーツァルト、ベートーヴェン」では間違い無くトップ、のハズだった。「エベレスト」なんてレーベルは誰も記憶していないのでは無いだろうか?(爆
 ブレンデルは、 Everest - SPA - Vox - Vanguard - Philips とレーベルを渡り歩いた。DECCA と録音したのは、「歌伴奏」の1枚(ヴェヒターのシューマン「詩人の恋」)だけでグルダとは「格が違う」と思っていたのに、ヒタヒタと来てしまった。


「グルダのモーツァルト」は2タイプあり、『楽譜通り』タイプと『装飾音満杯』タイプ


 過去に2曲だけ録音していたが、K.310 は楽譜通り、K.545 は装飾音満杯であった。協奏曲では、K.467,K.595 は1回目は装飾音満杯で、2回目は楽譜通りであった。グルダは才能豊かなのでどちらでもOKだった。だからこそ悩んだ。
 "the GUDA MOZART tapes II"(DG 4777152) のパウル・グルダの解説を読むと、どうも 1975-1982 に「グルダ モーツァルトソナタ全集」は録音されたようだ。 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 新国立劇場オペラ「バラの騎... | トップ | グルダは真実のみを語るのか... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

作曲家兼ピアニスト・グルダ(1930-2000)」カテゴリの最新記事