Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

デュトワ指揮N響バルトーク「青ひげ公の城」他 批評 後編(No.1958)

2011-12-18 15:07:04 | 批評

ドイツ音楽と近接ハンガリー音楽に「最高の結果」を産んだ デュトワ指揮N響


  N響が「創立85周年」記念に選んだのが、マーラー「千人」だった。通常の「3日の練習+GP」ではなく、入念に稽古を重ねた演奏だった。「A定期の日程が(昔の木金から)現状の土日に移動」してからは、

N響定期は 練習3日→ A定期 → 1日休み → 3日練習 → C定期 → 1日休み → 2日練習 → B定期 が基本パターン


になっている。N響コンサートカレンダー で確認してほしい。発表されている全ての定期がこのパターンである。他のオケは、練習を前倒しにパズルのように組み込むオケもあるのだが、N響は基本的に「定期に向けて総力戦」だ。ご覧頂いておわかりのように、「B定期は練習日程が1日少ない」ので緻密な練習は難しい。「創立85周年記念」の次に「緻密に演奏したいメインプログラム」はバルトークの作品であっても「オーケストラのための協奏曲」ではなく、オペラ「青ひげ公の城」であった。


「青ひげ公の城」は「変な曲」である。新国立劇場中劇場でも上演された(飯守泰次郎指揮)のだが、やはり満足できる演奏にはならなかった。飯守泰次郎の指揮や解釈の問題ではないのだ。

バルトーク「青ひげ公の城」は『オルガン=パイプオルガン指定』があり、相当に活躍する!


のが原因。オペラハウスにパイプオルガンが常設されている劇場はヨーロッパは多いのだろうか? 今回配布されたプログラムノート(太田峰夫)には何も「オルガン問題」が記載されていなかったが、太田峰夫 は「青ひげ公の城」をナマで聴いたことあるのだろうか???


 マーラー「千人」の時の反省が デュトワ または N響(両者かも知れない)にあり、配置が大巾に改善された。

  1. パイプオルガン奏者を 舞台上手 に置き


  2. パイプオルガンのパイプの下(通常はオルガン奏者の位置)に金管バンダ8名を配置



 バンダの人員は「千人=7名」「青ひげ公の城=8名」だから「千人」でもこの配置は出来た(爆
S席の定期会員の座席の真後ろから「フォルティシモの嵐が降り注ぐ」ことは無くなった。まず最初に

青ひげ公 = バリント・ザボ と ユディット = アンドレア・メラース がNHKホールの広さを感じさせない充実した声!


の素晴らしさに感謝する。2人とも同役での評価が極めて高く、デュトワ + N響 がこの公演を任せるに指名しただけの価値がある。冒頭、青ひげ公の朗読でオペラは開始されるが、ザボ の声が物語をグイグイと引っ張る。

デュトワ指揮N響は、バルトークの「不気味な側面」を描き出した緻密な演奏


 デュトワは「バルトークが望む箇所ならば、声楽に覆い被さるようにオーケストラを畳み掛ける」のが印象的。声楽陣の声のダイナミクスの巾があるからこそ実現可能なのだが、N響がこれほど「鳴った」のは、この12月のデュトワ指揮 が久しぶりである。
 パイプオルガンとバンダ金管の扱いも前週より「近い」距離なので、一体感あり。日本のオペラハウスでは聴くことが不可能な名演であった。


 前半の ブラームス:ヴァイオリン協奏曲について。ヴァイオリン リサ・バティアシュヴィリ は、丁寧な演奏で好感が持てる。「美しい音」の範囲で音を扱いながらダイナミクスの巾も充分広い。デュトワ は丁寧にきちんと細かな点まで合わせて「ブラームスの魅力」をオーケストラから引き出していた。これで

全ヴァイオリン協奏曲中、最大の規模の協奏曲 = ブラームス協奏曲 の「スケール感」が出れば最高!


だったのだが、バティアシュヴィリ は「響きの戻り」が無いことを気にした様子。NHKホールは「響きの戻り」がほとんど無いからなあ。まだ32才と若いので、経験を積めば さらにスケール感を描けるようになるだろう。好きなタイプのヴァイオリニストなので、CD購入して聴いてみることにした。
 第2楽章の有名な オーボエソロ は

茂木大輔 が吹いたが見事。カーテンコールで 2度立たせていただけの出来


であった。


デュトワが指揮するとN響が輝く


 来シーズン以降、1プログラムでも多く振って欲しい。「芸術監督」の地位を用意して迎え入れてほしい次第である。


 最後に1言だけ。

1番トランペットに関山が吹いていなければ、「音楽が壊れない」


 N響は真剣に考えてほしい。
 

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