Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

生放送ものの高解析度ぶり

2016-05-23 | 
楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」を三幕まで初日に生録音したものを流した。当日の演奏では二幕がやはり山で、そこが上出来だった。三幕も繰り返されるうちによくなっていくだろう。新聞にもヴァルターを歌ったヨーナス・カウフマンはもう一つのコンディションだったとあり、BRは三幕でのエーファの歌詞が全く聞き取れないほど悪かったとしていて、決して完成度は高くなかった。それでも逆にヴァルターのあとにザックスが歌って〆るような修正した劇的工夫がよく分かる上演だった。

新聞は、何より音楽的な「緊張と緩和、満ち引き」を芸術的にとても狭い通路の中から引き出していたと書く ― そのテムポとリズムの瞬時の切り替えが出来るからこそ、彼のフルトヴェングラーでさえ遣ろうと思っていてもなかなか出来ていなかったことを可能とするのが天才なのだ。そしてマルクス・アイへそしてヴォルフガンク・コッホを絶賛している。コッホの歌唱は生中継から感動を呼ぶものであったが、前者のベックメッサーに関してはその演出における役柄と共に実演に接してみないと何とも言えない。ヨーナス・カウフマンが話しているように、そのよく出来たテキストも読んでみないといけないかもしれない。昨今はテロップが出るので、オペラ観劇にはテキストを勉強していく必要が無くなって、ここ数年オペラのテキストを読みながら音楽を聞くということが全くなくなった。テキスト以上に楽譜を見ている方が内容が分かるからだが、楽譜に書いてある細かなテキストでは到底読めない。

トレーラーなどが新しくアップされている。初演した劇場での12回目の演出に関しては決して批判されるものでは無いようだが、実際の効果は体験してみなければこれも何とも言えない。7月のオペラファスティヴァルが中継されるようなので、アウグスト・エヴァーディング時代のオクト―バーフェスト擬きの演出との相違を確認できるだろう。

録音したものを比較実験のために編集無しでCDに収まる二幕を焼いてみた。デジタル技術的には、サムプリング周波数が4800kHz から4400kHz へと落ちることだけの相違である。

先ずは音場が狭くなり、音が固くなった感じで、丁度CDが市場に出回り始めたときのような鳴り方だ。当時はスーパーマッピング技術もハイビット録音も行われておらずPCM録音は不自然な感じがしたのはスタディオでもそれほど変わらなかったであろう。そのような相違が明らかだ。

そこで2015年のバイロイト祝祭での楽劇「ヴァルキューレ」の一幕の録音をCDとDACで比較してみる。明らかな違いは、音場の相違以外にもCDでは歌手の声が固くなってあまり音量を上げられない、嘗てからのオペラライヴ録音の問題点がDACの方では解消されている。ビット数に関しては16Bitのようだが、去年の録音からDACで聞いているものは明らかにハイレゾリュ―ション録音であることを確信した。

序にLPで古いアナログのバイロイトからの中継録音を鳴らす。フォノケーブル交換で殆どCDとの差異が無く、低弦などがどっしりと締って乾いた音でスピード感を持って流れて、全くアナログとデジタルの差が分からないようにハイレゾに近づいている。それでもDACに敵わない。せめてSACDがCDに代わって標準になってくれることを願う。



参照:
精霊降臨のハイビット処理 2016-05-20 | 暦
ネットでの記録を吟味する 2015-11-30 | 音
打ち消すコリオリの力 2016-05-04 | 雑感

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