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Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

模範的オルツヴァイン

2008-02-08 | ワイン
今週購入の2007年産のワインをじっくり賞味する。ブュルクリン・ヴォルフ醸造所のルッパーツベルク産のリースリングである。

戦後の民主化されたドイツワインの指導的立場にあったことは、断わるまでもないが、バイオダイナミックスを信奉するA・クリストマン醸造所のシュテファン・クリストマンが、後継としてVDPの会長の座についた事から、再びドイツワインの模範を期待される立場となったドイツ最大手の個人醸造所である。

上のワインについて触れる前に、それが属する先ずはVDPのカテゴリーを説明しておく。ルッパーツベルクというの名が示す通り、これはオルツヴァイン(ORTSWEIN)と呼ばれるカテゴリーである。

その規定は、所謂グーツワインとは変わらなく、VDP推薦の伝統的で名産の葡萄種が少なくとも八割方を占めている地域が限定され、一ヘクタール当たり最高75ヘクトリッター以下の収穫率に切り詰められなければいけない。

つまり、ルッパーツベルクを命名するということはリースリングヴァインでなければいけないのである。そしてその地所から出来上がる葡萄の特徴は、ここでも度々繰り返している。

さて上のワインの特徴は、何よりも丸みのある酸と優しい旨味である。アルコール度が12.5に至っているとは誰も思わないであろう。それにグランクリュ地所ライタープファードの特徴である青林檎系の香りと味が清々しさを与えつつ甘みを醸し出して、尚且つグランクリュのホーヘブルクやガイスビュール特有の味の濃くがある。

特にライタープファードは、十年以上を懸ける土地の浄化中であって、その地所からはグランクリュワインの醸造は自己規制されていることを考えれば、この瓶の中身に含まれている質の高さが想像出来るだろう。

アルコール度とその糖化からしてシュペートレーゼ級であるのは間違いないが、それ以上に凝縮度が高く驚いた。ドイツワインはこの方向に進むのかと少しショックを覚えた。

更に、今後は一切のリッターヴァインやセカンドラべル等の大量消費ワインを断念して、ラインナップはグーツヴァインから始まりオルツヴァイン、そして名地所の名を戴いたラーゲンヴァイン(LAGENWEIN)と並びグローセスゲヴァックス(GROSSES GEWAECHS)で頂点を築くカテゴリーに沿って商品が供給される。

そのように聞いて、何だ昔と同じではないかと思い出す者は、かなりリースリング愛飲年数が長い。以前の辛口や半辛口や甘口がなくなってスッキリしたのは更に昔に遡るだろう。

その分、極甘のトロッケンベーレンアウスレーゼなどは、2007年産も楽しみであるが、甘い辛いの判断以上に内容量の凝縮度こそがそのワインの価値を決めることになる。

上のワインに関して言うと、その酸の丸さがその量感を感じさせないので、化学的データを見ないとなんとも判断しかねる。しかし、小売価格の9.3ユーロはお買い得品に違いない。最終判断は醸造責任者にインタヴューしてからにしたい。


写真は、ルッパーツベルクの町を背景にした小さな丘の上のホーヘブルク周辺。

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