Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

エコと呼ばれる遺伝子工学食品

2010-01-16 | アウトドーア・環境
これも一つの政治である。一昨日高級紙FAZのマイン版に載っていただろう記事は、エコワインで総称されるエコ農業への弾みがつかないヘッセン州のラインガウ地域での状況を詳しく伝えている。

最大の問題は黴除けである事は既にここでも何度か取り上げたが、その成果が2008年産のワインに顕著に表れたかもしれない。もしくはそれを実施するためには人件費をはじめとする膨大な投資が必要だと言うことで、ラインハルトハウゼン醸造所に続いて州立の醸造所がホッホハイムやマリアネンアウ島でそれを試みたと言うが既に退散したようである。

ヘッセンでは耕地面積にして2.3%、ラインラントプファルツでは5.5%がエコ農業でワインを栽培しているようだ。エコ農業への関心は高い反面将来性があるのは寧ろビオデュナミによるワイン造りだと言われる。土壌を汚染する言われる胴の使用が肝心であり、ヘクターあたり六キロまで使用が許される胴に様々な調合を混ぜる「うどんこ病」と戦うか、もしくはあまり興味をもたれないリースリング以外のこの病気に強い葡萄を植えるしかないらしい。さもなければある日一年分の収穫は御破算となるのである。

寧ろ土壌を汚染するよりも、必要ならばエコ農業家に化学薬品を推奨する専門家もいる。そこでは、廉い化学薬品を使い土壌を護る事で、最終的に小さな投資でそこそこの価格のワインを醸造販売できる市場競争力を重視する。

もちろんそうした葡萄の生育の条件に適当な気候も挙げられていて、スペイン産のエコワインが2,44ユーロしかしないのに対して、ドイツのエコ赤ワインは一瓶3,99ユーロもすると言うのである。要するにスーパーマーケットでのワインとして市場競争力は皆無となる。

それでも販売しようと思えば直売りとなって、ご近所酸向けの特製エコワインとなる。つまり、大規模のブドウ栽培ではこうしたエコワインというのはなかなか商機がないということである。

その意味からもそもそもエコワインの集まり自体が、高級ワイン醸造所でもなく大量生産していた醸造所でもない小さなワイン農家が中心となって発展して来た訳だが、現実にはそれなりの条件を満たす醸造所はそれほど多くない事になる。ハルガルテンのワイン農家ヨゼフ・クライズが苦情するように「顧客はケミカル除虫剤を使わずには無理だと分かっていない」と、伝統的な手法で窒素肥料やその他を極力押さえる方向で十分な成果を挙げてきたと主張する。

バイオ・ダイナミックな考え方は一種の迷信であるが、エコ農業というものよりも現実的なのだ。少なくともピノノワールやリースリング栽培においてはエコ農業には限界があり、遺伝子工学などで品種改良しない限りその限界は既に分かっている。要するに、欧州では遺伝子組み換えによる農産品は禁止されているが、そこ以外ではエコ農産品というのはバイオ商品に近づくというパラドックスが成立しそうである。なるほどエコ食料品は高い筈である。
コメント
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