パンダ イン・マイ・ライフ

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音楽と本、そしてちょっとグルメなナチュラルエッセイ

黒い迷宮

2015-10-04 | book
2015年4月に刊行された「黒い迷宮」,イギリスタイムズ紙のアジア編集長・東京支社長のリチャード・パリ―が,2000年7月に,日本で起きた六本木のホステス,元英国航空の客室乗務員,21歳のルーシー・ブラックマンの殺人事件を追ったルポルタージュだ。

日本に来て59日,21歳のルーシー・ブラックマンが疾走し,翌年2月に犯人が捕まり,2007年に地裁判決,08年に高裁,2010年12月に最高裁で確定。10年にもわたる事件の経過。

ルーシーの生い立ち,就職,そして来日事情。ルーシーの両親のこと。ホステスという日本の風俗,警察,家族などさまざまな考証。多くの女性と関係を持った犯人の生い立ち,出自の歴史。外国の家族の混乱と苦悩,そこに群がる人々。マスコミ,警察,政治。裁判。いろんな視点からこの事件を,多岐にわたる取材で構成する。ある意味,文化論とまでいえる。

特異で稀に見る犯罪としか言いようがないが,偶然,その人と出会い,巻き込まれた若き外国人女性。そして,その犯人のすごさ。しかし,今でも猟奇的な殺人事件は起きている。

「15年目の真実」と副題はあるが,原題のpeople Who Eat Darkness,つまり,闇を食う人々がふさわしいと思う。事件に巻き込まれ,嫌がおうにも混乱の渦に投げ込まれる人々。それは突然に,しかも残酷だ。

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