パンダ イン・マイ・ライフ

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音楽と本、そしてちょっとグルメなナチュラルエッセイ

篤姫と危機管理 「生麦事件」  吉村 昭 2

2008-03-02 | 吉村 昭
朝、コンビ二散歩。麦畑に雲雀(ひばり)。さえずりが春の訪れを告げる。
明日は3月3日。五節句でいう、上巳(じょうし/じょうみ)。桃の節句である。
5つは他に、1月7日の人日(じんじつ)、七草。5月5日の端午(たんご)、菖蒲の節句。7月7日の七夕(しちせき/たなばた)、たなばた、星祭り、竹・笹。9月9日の重陽(ちょうよう)、菊の節句という。

桃の節句といえば女の子の健やかな成長を願う日。今年の大河ドラマ「篤姫」が好調という。
幕末の薩摩藩を描くのであるから、島津斉彬や久光、西郷隆盛、大久保利通、小松帯刀などが登場している。
この藩政に大きな影響を与えたのが、生麦事件であろう。
幕末の横浜の生麦で起きた薩摩藩士によるイギリス人殺傷事件をもとにしたのが吉村昭の「生麦事件」。平成8年から平成10年までの3年にも及ぶ連載を経て、平成10年(1998)刊行。

これを契機に薩英戦争へ。さらには長州が起こした外国との下関戦争。これらの事件を通し、外国の脅威を身をもって知った薩摩と長州は攘夷から倒幕へと突き進むことになる。
このときの幹部の対応こそ、まさに危機管理の組織論と重なる。
ビジョンに基づく普段の危機管理の大切さ、トップへの情報提供や藩内のコンセンサス形成過程、対外交渉の妙などが、氏らしい史実に基づく淡々な描写で真に迫る。
150年近く前のこととはいえ、何か身につまされる。
コメント
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