まず冒頭から度肝を抜かれる。
4人の命を救うために、腎臓移植を離れ技で実現したマッチメイキングが紹介される。
そう、この本のテーマは、マッチメイキングなのだ。
<マッチングプロセスは、正式なものであれ、自然発生的に生まれたものであれ、
<時間とともに進化してきたものがある。だが特に最では、デザイン(設計)されたものもある。
<マーケットデザインの新しい経済学は、マッチメイキングや市場一般に科学的手法を持ち込
<もうとする試みである。
そして様々なマッチングが次々と登場する。
恋愛(!)、人気企業への就職、有名大学への進学 etc …
マッチメイキングとは「お金」では買えない、互いが互いを選ぶ最良の「組み合わせ」を追求する旅なのだ(笑)
判事助手市場にまつわる 試み 及び 失敗 の項でこんなフレーズが。
<市場の失敗の根本的原因には対処しないまま、対処療法的デザインを少しずつ変更するだけ
<では、まるでうまくいかない
面白い!
だけでなく、章のタイトルだけでさえ、心掴まれてしまう。
たとえば、
第2部
挫かれた欲求―市場はいかにして失敗するか
第3部
市場をよりスマートにし、より厚みをもたせ、より速くするためのデザインの発明
第6部
厚みのある市場がすばやく機能しなくてはならないわけ
この6章では当然のように、マッチメイキングビジネスの雄、UBER 及び Airbnb が登場。
スマホの普及が、上記2社の普及を成立させたという主張はもっともなもの。
より厚みのある市場があり早く大きく混雑の少ない市場に変え、結果として数十億ドル規模の事業を築くことができたのだ!
そして結論部分ではハイエクのこのフレーズをはじめ、痺れるフレーズが次々と。
マーケットデザインをめぐる政治論争から得られる教訓として、
「市場がどのように運営され、統制されるべきかを理解するには、ここの市場が
どのようなルールを必要としているかを理解しなければならない」
良いデザインは、動く標的のようなもの
マーケットデザインも静的なものではなく、既存の慣行や他の市場とつながるために、少しずつ変化しながら発展していくことが多い
結論:今年有数に面白い読書。今後の市場を創り上げるだろうヒントがここにある!