日々 是 変化ナリ ~ DAYS OF STRUGGLE ~
このプラットフォーム上で思いついた企画を実行、仮説・検証を行う場。基本ロジック=整理・ソートすることで面白さが増大・拡大
 





ソーシャル系で活躍中の、斉藤 徹氏が著者。

キモは324ページ。
創業200年以上の老舗経営5586社のうち、3156社が日本で、556%をも締める(韓国の銀行調査だそう)
アジアでは中国5社、韓国2社?で圧倒し、いかに世界で日本には個性的な企業が多く強いことを示す。
そしてその強さの理由として、老舗経営が掲げる思想を挙げている。
例えば、近江商人の理念である「売り手良し、買い手良し、世間良し」(3方よし)
あるいは、日本資本主義の父、渋沢栄一の「私利を追わず公益を図る」などの発想を提示する。
そしてこの発想こそが、ソーシャルメディアが普及しつつある世の中でより重要になる、と説いている。


実はこの本で、老舗企業として例示されている企業に「大企業」は少ない。
その点で批判される側に大企業は位置しているが、そういう視点で刺さったところを以下、メモ。

20世紀型の工業社会においては、官僚機構とマニュアルによる科学的管理法が有効だった。
しかしそれは機械化、コンピュータ化で減少の一途をたどり、高度な知的労働であるヒューリスティック型業務が増加してきた。
(中略)
アルゴリズム業務は精神的疲弊を招くのに対して、ヒューリスティック型業務は楽しさを感じる仕事になりやすい。
これは、古くからマネジメントの基本であった「仕事は楽しくない」「社員は仕事をしたがらない」という性悪説を覆し、
仕事の認識やマネジメントの質的変換を示唆するものだ。
また心理学者テレサ・アマビルの調査を通じて、アルゴリズム業務には報酬と罰が有効だが、ヒューリスティック型業務には
むしろマイナスに作用することが高いことが明らかになってきた。
つまり、創造的な業務においては、知的好奇心や感心からもたらされる「内発的動機づけ」をベースにすることが望ましいということがわかってきたのだ。
(中略)
創造的な業務が多い先進国のオフィスにおいて、組織が短期的な成果にばかり注目し、他人の行動をコントロールしようとすることは、逆効果になる可能性が高い。
心理学者はこれを「報酬の隠されたコスト」と呼ぶ(P 118~119)

「大企業」ほど、この20年の間に報酬型査定を取り込んできたと考えている。
が、この「報酬の隠されたコスト」が日本の大企業をダメにしている一因かも、と思う。
本来あるべき創造性が欠如した結果、現在の状況が生まれているのではないか?
(これは自分に今のテーマのひとつなので...)

おなじみのマズローの要求5段階や、上記のような引用をもとに本は論旨を進めていくが、最後に辿り着くのは「7つの習慣」のコヴィー氏「インサイドアウト」。
いかにも、な感じな引用という印象だった。


もうひとつ刺さったところをメモ。

悪い結果だけでなく、良い結果をもたらす要因もリスク対象である。
JIS 31000では、「メリットを逸脱する要因」もリスクと捉える。
企業が正しくソーシャルメディアを運用すれば、生活者の企業理解を深め、社員との対話を通じて親近感をもってもらうことが可能だ。
運用しなければ、このような企業の評判を高める機会を失うことになる(P 118~119)

大企業ほど「ソーシャルメディアの社員の使用」について、悪い結果を恐れるあまりに「負」のドライブをかけてしまうきらいがあるのではと危惧している。
これも常に「闘い」を強いられる局面だという認識。


以上のように刺激的な読書だったのだけれどこの本、気になる点もある。
その指摘を最後に。

この本、文体が異様に固く、まるで翻訳本を読むようで読みづらい。
著者の講演を聞いたことがあるが、わかりやすかった印象を持ったのだけれど、本になるとなぜこうなるんだろう。
ロジック構築のベースとなる、マズローやインサイドアウトなどの理論が海外からのものだからだろうか?
著者がなにか無理に背伸びしているような読後感が残ってしまう。

また借り物で持ってきた理論、日本企業の特質、そしてソーシャル・メディアとの間の接着具合がやや弱いように感じた。
特に「ソーシャル・メディア」の部分の記述が薄めで「実践」「活用」をもっと具体的に記述しないと、コンセプト倒れになってしまうきらいが。
そこに期待して読者は購入すると思うので....



コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )



« iPhone を使い... 「ブログでサ... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。


 
編集 編集