当ブログが考える、アメリカ vs 中国 の構造は大きく3つ(AIは前提)
1. モバイルテクノロジーの闘いフェーズ(5G以降、具体的にいうと ファーウェイ、etc…)
2. モビリティにおけるデータ戦争フェーズ(クルマの未来、具体的にいうと 滴滴、etc…)
3. 金融デジタル化フェーズ(決済手段、具体的にいうと テンセント、アリババ、etc…→貨幣次元の競争まで至る?)
2本のNHK特集をベースにまとめられた一冊は、この3分野とも取り込んでいて感心。
その番組は、
・アメリカ vs 中国 未来の覇権が始まった 2019.1.19 NHK総合
・アメリカ vs 中国 情報・金融・ハイテク覇権に挑む中国 2019.4.7 BS-1
当ブログ、実は両方とも録画キープ。
いつも感心するのがNHKスペシャルの潤沢な予算。
民放では到底できない密着取材・世界各地での取材に毎度、舌を巻く。
それだけに、番組の内容にプラスαし新書化したこの本の内容は充実!
章立ては以下のよう。
序章 潜入!自動運転開発最前線
第1章 躍進する中国―AIを制するものが世界を制す
第2章 反撃のアメリカ―激化する技術と情報をめぐる攻防戦
第3章 次世代通信「5G」攻防戦―アメリカは何を恐れたか?ファーウェイ事件の真相
第4章 ブロックチェーンがすべてを変える―新しい金融秩序が生まれる日
第5章 「一帯一路」に集結する新興国―世界はどうなる?激化する「新冷戦」
終章 米中対立の間で迫られる日本の選択
あえて言えばこういう本の特徴として、番組を離れざるえない結論部分、最終章が弱めなのは仕方ないか(笑)
アメリカ vs 中国、この国と国の威信をかけた闘いは、
自由な企業精神 vs 国家戦略(共産主義国家の)
ともいえ、
また国家戦略側から言い換えてみると、
・潤沢な資金、経験値のある人材を集めれば超えられる?、かの実験?!?
ともいえ、興味は尽きない。
最後に象徴的な一箇所を以下。
元民間企業CEOによる、中国の技術移転10の手口(汗)
1.サイバー攻撃(非合法)
2.産業スパイ(非合法)
3.強制的な合弁会社の設立(合法)
4.アメリカ企業の買収(合法)
5.アメリカのスタートアップ企業への投資(合法)
6.アメリカの大学・研究機関で学ぶ中学人留学生(合法)
7.アメリカの法律事務所や投資銀行などの専門知識の活用(合法)
8.オープンソース情報の活用(合法)
9.アメリカで働く研究者・専門家を中国に招待・リクルート(合法)
10.アメリカに中国企業の研修センターを設立
元民間企業CEO が問題視しているのは、合法とされている3~10。
ここをトランプが攻撃しまくってるわけだ!
という、上記のような議論を湧かせる点で、今年有数に面白い本だと断言したい。