まず冒頭、当ブログでのアカデミー賞候補検討時の発言を撤回したい。
<去年の激戦とは全く違う次元の戦い…
<2年連続の獲得でいいのか?!のイニャリトゥ。
<ところが戦いを挑む他作群に迫力がほとんどない?
<期待した「スポットライト」には「大統領の陰謀」級の迫力はなさそう…
ところが物語が始まってみると...
最初は1人の聖職者のスキャンダルの追求から立ち上がる記者たち。
ところが掘りだしてみると その実態は根深いもので、実は「ボストンだけで」性的虐待の加害者神父が13人も居るらしい、となる。
そして更に掘り続けると、その調査の中で浮かび上がったその数は、「ボストンだけで」何と90人!
ボストンだけで90人なワケだから、全米では….
大統領とその側近のスキャンダルの方が、逆にちっぽけに見えてくる!(笑)
マイケル・キートンが後半、出身大学の重鎮たちを説得するシーンが面白い。
出席した重鎮たちが所属していた運動クラブを一通り聞いた後、こう語る。
「○○ホッケー部に所属していた同期の友達は今かなりの成功者だが、監督だった某聖職者から被害を受けていた。
彼にヒアリングした際、成功者の彼はこの件になった途端に涙が止まらなくなった。
それだけのトラウマを抱え続けて生きてきたんだ。
同様に運動クラブにいた我々は、単に 運がいいだけ に過ぎない」
そこで敢えてはっきり言わせてもらおう。
聖職者・監督などの立場を利用し セクハラ・パワハラを働くことは、断じて許されないこと。
一旦そんな事を引き起こした犯人はその職を追われるまで、厳しい追求を受け続ける運命にある。
さらにいけないのは、それを隠蔽してしまうこと。
そうすることで、被害を容認する側になり、被害がさらに拡大してしまう。
事実に対峙する勇気を失ってはいけない。
ということをクッキリと思い起こさせる光を放っている点で、今作のアカデミー作品賞・脚本賞の獲得を祝したいと思う!
4月15日から公開。