日々 是 変化ナリ ~ DAYS OF STRUGGLE ~
このプラットフォーム上で思いついた企画を実行、仮説・検証を行う場。基本ロジック=整理・ソートすることで面白さが増大・拡大
 






作者はジャーナリスト。
このため、表題のようなタイトルになる。
しかも在仏なので、日本から出ない視点で、エコノミストがうすうす?理解していても、言葉にできないだろう事実を語る。

一言にいうと...
EU危機は、実体経済など眼中にない(!)「市場」と投機筋により「仕組まれた危機」であること。
それが可能なのは、実体経済の市場とは別に、その20倍以上に肥大した金融市場が存在しているから。
この「市場」が「社会」から独立してお金をかかえていることが、危機の本質だとしている。
非常にクリアな説明でわかりやすい。


この本の白眉は、第7章「危機の本質」
もし自分が高校教師だったとしたら、この本を授業の課題図書とし、この章を徹底的に読み込むような授業をするだろう。
と、いうくらい、今の世界経済の実態を、わかりやすく解説しているのだ!
いくつか以下引用させていただく。

<金融工学がいくら美しくても、真実を語っていても、儲からなければ何の意味もありません。
<「市場」は、自己責任を強調しますが、じつは非常に無責任です。
<バスの運転手が無茶な運転をしたら、責任を問われます。だけどファンドマネージャーが運用に失敗したからといって、責任は問われません。
<「市場」の住人はとてもエゴイストです。自分が儲かるかどうかだけが大事なのです(中略)
<投資する時間はどんどん短くなってきます(中略)コンマ以下の話で「市場」は条件反射のように決まった反応をします。

<銀行は、もはや実態経済に資金注入することには興味はありません。
<なぜなら、ヘッジファンドやレバレッジ効果のある活動の方が儲けがずっと魅力的だからです。

<ありあまるお金は、「市場」を回って、誰かが得すれば、誰かが損するゼロサム・ゲームで、次から次へと勝者と敗者をつくります。
<敗者は穴埋めをするために「社会」からお金を持ってこなければなりません。
<いっぽう、勝者に対する課税は少なく、さらにタックスへイブンに逃げ込まれてしまうことも稀ではありません。

<「市場」の住人は、みんな同じ価値観、同じ世界観、同じ利害をもっているのですから、自然に同じ方向に行きます。
<それはものすごいパワーで「社会」を襲います。
<「市場」が「社会」から独立して、莫大なお金を抱えてしまったことこそが、危機の本質なのです。


さらに最後の第8章、日本の危機にも警鐘を鳴らす。
現在アベノミクスも化けの皮が剥がれつつあるかも?な今、この警告は重く響く。

<財政赤字よりも、これを口実に攻撃を仕掛けられることこそ、来るべき本当の危機なのです。

そうならないことを切に祈る。

【追記】①
本日の日経新聞朝刊にちょうど関連記事が(21面)
ー円相場惑わす新要因ー
・ヘッジファンドの裾野拡大
・高頻度取引(HFT)の台頭
・FX取り引きのシステムトレード
  と、ズバリ同じような内容!

【追記】②
しかも、NHKクローズアップ現代でも...


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