友人から勧められて、ある映画を観ました。
リスボン物語。ヴィム・ヴェンダース監督による1995年の作品です。
主人公は、ドイツで活動する音楽技師。ポルトガル・リスボンにまで撮影に行った親友の映画監督から、仕事の手助けを求める便りが送られてきました。すぐには向かえなかったのですが、その間に親友は音信不通になってしまいます。主人公は彼を捜すべく、ひとり機材を車に積み込んで、遥か西のリスボンへ向かいます。西へ、西へ。ポルトガルに入る直前、彼の車は故障してしまいます。文明の利器を奪われたかのような象徴的なシーン。そうして未だ見ぬ西の世界へ主人公は入っていきます。その街、リスボンで彼が見たものとは・・・。
ちょうど一年ほど前、僕がポルトガルを旅したときも、なにか特別の思い入れがありました。このブログでも旅行記を書きましたが、具体的に見たいものがあったわけではなく、ノスタルジーとして語られるその街の雰囲気に身をおいてみたかったのでした。この映画はそのときの気分を思い起こさせてくれました。映画というのは、具体的な映像を通して、何か別のことを暗示したりメッセージを残したり・・・。そうあるべきものだと僕は思っています。なにか失われたものの「気配」が満ちているリスボンという街は、巨匠ヴェンダースにもいろいろな想いをもたらしたでしょう。しかしポルトガルを舞台にした映画はこれまでほとんど見たことがないし、ポルトガルの映画作家も知りません。画家も知らないし、文筆家も詩人ペソアぐらいしか知りません。表現し難い街なのでしょうか。
年末年始にかけていろいろな映画が上映されますが、今、僕が観たいのは「ペルセポリス」。モノトーン基調のアニメーションだそうですが、独自の画風、時代性をはらんだストーリー、型にはまらない演出などと評されています。インターネットで紹介を見ると「オシャレ映画」なんていうコメント!がつけられちゃっていますが、ともかく、観てみよう。
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