ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

誠意

2011-04-06 23:53:36 | 徒然の記

 高濃度の放射能汚染水の、保管場所を確保するため、東電が、低濃度の汚染水一万一千トンを海へ流した。

 近隣の漁業組合へ、事前に説明すること無く実行したという。原発事故の責任を感じているとする、東電の経営陣が、果たして本気で責任感を有しているのかと、疑いたくなる行為である。

 たとえ反対されると分かっていても、前もって漁業生活者に説明を尽くすのが、東電側の誠意というものでないのか。緊急措置だから説明不要というのなら、この期に及んでも、国民に対する東電の傲慢な体質は、変わらないという証か。

 しかし問題は、それだけでなかった。隣の韓国から、大量の汚染水を海へ投棄するのなら、事前に一報あってしかるべきでないかと、クレームがついた。これに対する松本外務大臣の答えは、「国内法で適法に処理しているから問題なし」というものだ。東電に劣らない、傲慢な回答ではないか。国際社会が原発事故に注視している中で、これが果たして当事国から隣国への回答かと、恥ずかしくなる。

 何の誠意も無いどころか、韓国からの反感や怒りを買うような、愚かな答えだ。日本政府として、誠意があるのなら、ひと言詫びて当然と言う気がする私が、間違っているのだろうか。門外漢の自分には理解できないが、分かっていても謝らないというのが、外交の鉄則なのだろうか。

 先の餃子事件で、中国は日本にひと言も詫びを言わず、日本国内で農薬が混入されたのでないかと、理由のない横車を押し通し、日本人の気持ちを逆なでした。言いようの無い怒りにかられ、中国という国を軽蔑せずにおれなくなった、あの時の記憶が、私には未だ新しい。松本大臣の今回の談話は、私にそんな印象を強く残した。韓国の国民は、誰もきっと不快な思いをし、改めて日本を嫌いになったことだろう。東電は国民に対し、政府は韓国に対し、揃いも揃って、なんという不遜な対応をするのだろうか。

 いったい、こうした事柄を決定しているのは誰なのだろう。実務に精通した官僚の助言を得て、大臣たちが決定するのか。それとも、官僚から提案されても、政治主導だと無視し、誠意のない回答を、発信しているのか。事実が明らかにされることは永遠にないが、本当のことが知りたくてならない。

 東電の誠意の無さも無念だが、政府の不誠実さには、私も当事者となる。中国に多様な考えの国民がいても、餃子事件の時は、中国人全般が嫌悪の対象となったように、今回は韓国人から、日本国民全体が、嫌われることになるのだろうからだ。

 自民党だとしても、似たような対応だったのかもしれないが、民主党政権になって以来、どうも外交はお粗末と言うか、情けないというのか、そんな気がしてならない。

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