「ねこ庭」を訪問される方から、自民党が発信している、「まなびと夜間塾」の動画を紹介されました。塩田氏が講師として、出演しているということで、ネットで検索しますと、次のように説明がありました。
「【まなびとプロジェクト】とは、自民党の中央政治大学院が、」「従来から開催してきた、会員制勉強会【まなびとスコラ】を、」「【憲法に学ぶ『この国のかたち』」】と題して行う、新講座の勉強会です。」「併せて、インターネット配信をすることで、憲法改正への理解をさらに深めます。」
学院長は元防衛大臣の中谷元氏で、議員や評論家や作家が講師として招かれています。実は、第1 回目の中谷学院長の講義を、私は聞いていました。氏の「憲法講話」の粗雑さとレベルの低さに、こんな動画の配信で、果たして国民の理解が得られるのかと失望し、以後は聞いていませんでした。
残念ながら塩田氏の講義も、似た印象を受けました。歴史の資料を丹念に調べ、検討しても、扱う人間の器量次第で、さまざまな受け止め方になるのだと、氏が教えてくれました。器量の差がどこから生じるのか、よく分かりませんが、狭い了見の人間は狭い理解しかできないようです。
捻ねた人間は捻くれた解釈をし、心根の卑しい者はそれなりの理解をし、理解の限界があるような気がします。自分のことは分りませんので、息子や「ねこ庭」を訪ねられる方々にお任せすることにし、その上で述べますと、氏の著作は、資料をもとにした大作ですが、器量を反映したそれなりの内容しかないようです。
具体的に述べるとスペースが足りませんので、結論だけにしますと、氏は昭和天皇と近衛文麿公を、次のように描いています。
〈 昭和天皇 〉
・ 陛下は、憲法改正に踏み込み、新憲法の中に天皇制を明記することにより、事態を乗り切ることが賢明な方策と考えておられた。
・ 陛下は、憲法改正を近衛公に任せるしかないと考えておられた。
・ 一方で陛下は、政府の憲法改正の成り行きについて、並々ならぬ関心を寄せられていた。
・ 陛下は、海外で言われているような狂信的な独裁者ではないと、叫びたい気持ちを抑えておられた。
〈 近衛文麿公 〉
・ マッカーサー元帥との会談で、憲法改正を任せられたと誤解し、有頂天になっていた。
・ 近衛公は木戸内大臣のもとで、政府と無関係に憲法改正作業を進めることに、得意満面であった。
・ 本来なら戦争責任を追求されるべき人物が、「マッカーサーからのお墨付きを得た」と誤解し、憲法改正作業の先頭に立った。
膨大な資料の中から何を選ぶのかは、著者の自由です。「温故知新の読書」から、私が教わった昭和天皇と近衛公は、氏の描く姿とは異なっています。同じ歴史の事実を調べ、検討しても、取り扱う人間の器量次第で、さまざまな受け止め方がされる、と言ったのはこのことです。
GHQによる処刑を恐れ、逮捕を心配されるという姿で、氏は陛下を描写し、身の程知らずな愚かな人間として、近衛公を語っています。これは全て私の知識と経験を裏切る、浅ましい塩田論でしかありません。私も他人から見ればそうなのでしょうが、氏もまた、自分の器量に合わせた理解しかできていないようです。タイトルにつけた「理解の限界」とは、このことを指しています。
果たしてこれが、「改憲」に賭けている政党がお金出してまで頼んだ「学者」なのか?と思います。
しかも講演中、「天皇」「天皇」と連呼しているのも気になります。
実際Youtubeの動画にも、「『天皇制』と連呼してたのが気になったし、『天皇制』は制度ではない」と指摘するコメントがありました。
「改憲」を最大のテーマに掲げていた安倍氏が、無念の降板をしてから1年になろうとしています。
菅総理に交代してから、「改憲」は「後退」に近い「停滞」しているような気がします。
加えて塩田氏のような人物を講師に呼んでいるようでは、自民党の「本気度」が疑われます。
高市早苗前総務相が総裁選出馬に前向きのようですが、彼女は「改憲」にも前向きなのでしょうか。
また総理が変わるとなると、「改憲」も含め先行きどうなるのでしょうか…。
貴方も、この動画を見ておられましたか。お粗末な講義で、呆れてしまいました。
彼らが招いた講師の中には、御厨貴、田原総一朗、保阪正康が氏いて、驚きました。彼らはむしろ現行憲法擁護論者で、反日左翼の意見を述べます。
どうやら「自主憲法制定」の意味も、現在の自民党議員には理解されていないようです。がむしゃらな右の議員も困った者ですが、左系の自民党議員たちのやることには、眉を顰めたくなります。勉強すべきは、国民というより、彼ら自身だと思います。
こんな政治の状況を、どうすれば正しくできるのかと、「温故知新」の読書に学んでおります。
大事なのは、「諦めないこと」。継続は力なりです。これからもよろしく、お願いいたします。