1. 『日清戦争』 工学院大学教授 松下芳雄
2. 『日露戦争』 東京大学教授 下村冨士夫
3. 『第一次世界大戦』 早稲田大学教授 洞富雄
4. 『満州事変』 武蔵大学教授 島田俊彦
5. 『中国との戦い』 評論家 今井武夫
6. 『太平洋戦争(上)』 早稲田大学助教授 大畑篤四郎
7. 『太平洋戦争(下) 』 早稲田大学助教授 大畑篤四郎
遅々とした進み具合ですが、〈 3. 『第一次世界大戦』〉が終わり、本日から〈 4. 『満州事変』〉を手にします。
改めて言うまでもありませんが、7冊とも、昭和41年の出版です。私が大学4年生、大学紛争で大荒れの時の本です。卒業試験が実施不可能となり、レポート提出で採点されると言う異常事態でした。一番激しかった、東大安田講堂の攻防戦は、それから3年後です。
戦前の日本を敵視する、反日左翼思想が学生たちを支配し、ジグザクデモをする彼らの姿と掛け声が、今も耳に残っています。52年前の話になりますが、日本の社会は、少しは良くなっているのでしょうか。I T技術が進歩し、ネットが普及し、生活様式と環境が大きく変わりました。情報の分野では、世界が一瞬でつながり、なんでも居ながらにして知ることができます。
しかし人間の精神は、I T技術の変化と異なり、学生時代と比較し、それほど大きな前進をしていないように思えます。米ソ対立の冷戦が消え、自民党氏と社会党が政界を二分していた時代も、昔話となりました。
しかし資本主義とマルクシズムは、形を変え、名称を変えながら、依然として日本を不安定にしています。情報が溢れていますが、誰の言うことが正しいのか、相変わらず判然とせず、自分の目と頭で確かめるしか方法がありません。
だから私は、世間の出来事を横目に、「温故知新」の読書を続けます。何度も読書予定を確認するのは、周囲の雑音に気持を乱されないためです。毎日届けられる千葉日報の記事と、騒々しいテレビの番組が、心の平安を邪魔します。
便利な世の中になり、いくら情報が増えても、私たちの心の世界はあまり変わりません。ネットの世界の情報も、玉石混交ですし、全てはこんなものなんだろうと、やや達観しつつあります。新しい本を手にするときは、何時も前置きが長くなります。子供たちに遺していると言う意識があるから、そうなるのでしょうか。自分の若い頃を思えば、子供は子供、親は親ですから、彼らは何も喜ばないはずなのに、同じことを繰り返しています。日本の社会をいう前に、私自身が何も前進していません。
巻末に書かれた、著者の略歴を紹介します。
「明治41年、東京生まれ、東京大学文学部卒」「現在武蔵大学教授、専攻・現代日中関係史」
読書のおかげで、学者とか教授などという職業の人々への信頼が、無くなりました。簡単に騙されなくなったことを思えば、前進とも言えますが、尊敬の念を失ったことは、精神の退化ではないかという気がします。先生を尊敬できないのですから、「学徒」としては失格です。と、読書の秋の愉しさとは程遠い心境です。
「動乱のアジア大陸」・・第一章の表題がこれですから、無理もありません。( 書評は、次回からとなります。)