ウォルフレン氏の3回目になりますが、肝心の内容を紹介していません。前回までは過去のおさらいでしたので、今日からが始まりです。
前置きが長くなったついでに、書名に関する私の提案を述べます。『世界が日本を認める日』と氏は付けていますが、私なら次のいずれかにします。
『日本が再び独立する日』 『日本が再度普通の国となる日』
氏が応援する気持ちは有り難いとしても、世界に認められるより、以前のような独立国となり、国を守る軍を持つ「普通の国」になりたいと私は願っています。
昭和天皇は私たちに、こんな言葉を残しておられます。
「国が独立するには、国を守る軍隊が必要である。」
陛下は、独走する軍を嫌悪されましたが、国防のための軍は否定されていません。
戦後74年間の米国従属期間に、私たち日本人が学んだことがあるとすれば、軍を持つことの重要性と危険性ではなかったかと思います。
国を守る軍は、運用次第で国を滅亡させる組織にもなると私は考えています。
あと少しで読み終えますが、息子たちに伝えておきたいことがあります。多くの点で氏に同意していますが、私が氏と異なった意見を持っていることを、本書の内容紹介に入る前に、整理しておきます。
〈 ウォルフレン氏の考え 〉
・ アメリカは、世界を武力で支配しようとする危険な国である。
・ 特に共和党政権にいるネオコンは力の信奉者たちで、米国が世界一だと考えている。
・ 中国とロシアは、アメリカに比べれば、平和的な国である。
・ 日本は米国への従属をやめ、むしろ中・ロとの協力関係を持つべきである。
・ 日本は、EUにもっと接近し、協力関係を持つべきである。
〈 私の考え 〉
・ アメリカは、常に世界一の大国であり続けることを目指している。
・ アメリカ以外の強国の存在する地域の安定を、常に乱す政策をとる。
・ 世界の安定と平和を目指すのでなく、不安定化する政策を取る。
・ 世界の海を支配するため、他国に強力な海軍を作らせない政策を取る。
・ 海軍を強化しようとする国に対しては、周辺国との紛争を生じさせる政策を取る。
戦後の日本人は「平和憲法」をもたらしたアメリカを、自由、平等、人権尊重の国として好感を抱いています。反日左翼の学者、政治家、マスコミが中心となり、こうした世論が作られ多くの国民が信じています。
しかし「温故知新」の読書が私に教えたのは、別のアメリカの姿でした。
私は氏と違い、中国とロシアもアメリカと同様の国と思っています。アメリカと縁を切るのが、正しい選択と考えません。全体主義の社会主義国を選ぶくらいなら、私は民主主義国との協力を選びます。今まで正論を述べてきた氏が、なぜこのような提案をしてくるのか疑問が生じてきます。
この本の出版は今から14年前の平成17年、小泉・ブッシュ ( ジュニア ) 政権の時です。あれから中国もロシアも、韓国・北朝鮮も、大きく変化しています。EUも氏が語るように、欧州の希望の共同体であり続けるのかどうか、微妙になっています。
「ねこ庭」のブログはいつも通り、惑いつつ躊躇いつつ、進めて行くしかなさそうです。
息子たちに言います。親の権威を振りかざし説教したのは昔の話です。今は普通の人間同士として、一緒に考えてもらいたい。