嗚呼、オーベルジュへの道

長野県佐久市にあるホテル「おいまつえん」CEO兼こづかいさん(爆)の日常

987ボクスタードライビングマニュアル ミニカーで検証する911カブリオレとボクスターの性格づけ

2021-05-05 12:33:35 | 987ボクスター・ドライビングマニュアル

さて、ボクスターの第2世代、987と997と呼ばれる何世代目かの911シリーズのスタイリング比較を思いついたので、書いてみましょう。と申しますのも、先日長野市で開かれた、ノスタルジックカーショーにAさんと出向いた折に997カブリオレのミニカーを買ってスタイリング考察に凝っているからw。

どうです、こちらはボクスターの手持ちのミニカー。10年前の納車の直後、お祝いにと静岡のお友達から手渡されて以降、家宝として扱っているものです(爆)。この個体は実車との比較でも、細部まで非常によく再現されていて感心するばかり。

厳密には2009からの後期型で、細部も別物ですが、デスク上に常駐させていた関係で、度重なるももちゃんのしっぽ攻撃で、落下すること数回。シートやミラーなどが破損してしまいますた(家宝ぢゃねえのかよw)。が、ボディシェイプは変わっていません。

プレクサスで、ケース、本体ともに定期的にミガキを入れておりますので、現物と大差ないツヤを誇りますw。

長野で買ったのは

一見、非常によく似ていますけれど、こちらは997カブリオレ。後期型のカレラ4Sです。997にはとかく問題が多く、特に前期型ではエンジンの換装に至る重大トラブルが複数あった関係でチョイスが非常に難しいと言われております。

唯一、この後期型ではそれらが払拭されて、なんとか手を出せるか、という印象ですけれど、値落ちが鈍いままの状態が続き、ここへきて在庫が枯渇してまいりますたw。カブリオレに至っては、マトモなのわマーケットに数台しかない有り様で、入手はほぼ絶望的です。

ミニカーのほうは、クルマ関連イヴェントにはつきもののマーケットでw、定価44000円のところ2000円で売られていました(うっそ〜!)。迷いを吹っ切るためにw、買ってみました(迷ってんのかよ)。

2台の比較で、もっとも違いが大きいのが開口部。ボクスターの2シーターミドシップに対して911は4シーターリアエンジン。その違いがリアエンド周りの造形に反映されています。

この開口面積の差は単純にボディ剛性の差となっているはず。この世代のボクスターと911でも、フロントフェンダーは共通パーツでして、運転席からチラ見できるフェンダーの峰は全く同じ眺めです。つまり、600万円のボクスターでも、2600万円のGT2RSでも同じw。

ボクスターのバリューぶりを感じるひとときです(爆)。他にも共通パーツが至るところにあり、ローン中の911オーナーはボクスターに乗ると落胆すること必至ですから要注意w。

これ、実際に997のオーナーから聞いた話なんですけれど、ディーラーに整備に出すと代車がボクスターの場合が多く、それに乗ってみるとこっちの方が楽しいぢゃないか、といって営業さんと盛り上がるのだそうですが、営業さん曰く、みなさんそうおっしゃるんですよ、とのこと。ううむw。

先代の986、996 には見られなかった、コークボトルシェイプが上の画像から窺い知れますが、これ、フェンダーを膨らませたのでは

なく、ドア周りを絞って得たものだそうです。抑揚があってカッコいいですね。このあとの981、991世代ではまた違う造形処理となってしまうので、この曲線美はレアです。萌えポイント?w

ロンドンのセルフリッジズという、デパートの前に路駐していた997カブリオレ。と言いたいところですが、これはレア中のレア!なんと全世界で356台のみ生産の997のサヨナラバージョン。

スピードスター殿下なのでした(のけぞる)。

殿下のノーマルとの違いは、幌の低さとサイズ。上から押しつぶしたかのようなシェイプで独特の存在感ですが、このシェイプをAピラーを短くして、寝かせることで得ています。この角度からだと、幌の後端がノーマルのカブリオレとの比較でかなり前に移動されています。

つまり、ずいぶん小型化されたホロが装備されているのです。2シーター化したこともあり、凝った造形のカウルも特別製。2シーターリアエンジンロードスターをムリヤリ作り上げているのです。

そう、特別モデルということで、ノーマルの911のルーフラインをなぞる必要がなくなった。途方もない凝りようなんですが、奇しくもボクスターに似ちゃってるわけねw。

ボクスターぢゃダメなんですかっ、とレンホーにつっこまれることでしょう(再爆)。

発売時に2500万円だったものが、現在では5000万円ほどに値上がりしておりますが、なにあくまでも窓が小さいだけの997カブですw。それにしてもさすがロンドン。こんなのが路上にはゴロゴロいます。ボクスターなんか、いてもスパイダーより、だもんw。

これ、私が93年から8年間乗った964カレラ2カブリオレ。走行2万キロほどの中古車を買いました。ミッションは5MT。ナローな感じがたまりまっしぇん。まだデジカメ以前のお話でして、少ない写真ご容赦。これに9万キロほど乗って、91年のカレラ4クーペに乗り換えたのです。964とのおつきあいは12年、

15万キロにも及びました(汗)。

特徴的なリアウインドウの形状をご覧ください。ジッパーで開閉するようになっていて、寒い時にそのまま折り畳むとプラスティック製のウインドウにミゴトに亀裂が入る仕組み(爆)。ユーノスロードスター(当時)のリアウインドウも同じ様式でした。

人生最初のポルシェにカブリオレ、それも5MTのそれを選んだ私ですが、申すまでもなく、オープンエアーとスポーツドライビングの両立を求めた結果です。

911の完成形はもちろんクーペですが、元来がヒネクレものの私は、カブリオレの異形なところに惹かれたのです。新車ですと乗り出し1400程度だった964カブリオレですが、中古市場ではクーペと同等かむしろお安く手に入る、というのも効きました。

バリュー感もあったし、いろいろ楽しめそうだし、というわけで理想的に映ったわけです。

流麗な911クーペのデザイン上のハイライトと言ってよい美しいルーフを切り飛ばして、ミョーな布地を張り合わせて作った幌を張ったカブリオレは開けても閉めても、どこかまとまりを欠いています。

でも、そこはかとない「道具感」が見えていて、当時の私には非常に好ましかったのです。機能性というか、そういうものが見た瞬間に理解できるな、と感じたわけ。この幌は、993、996、997とそれぞれ進化を遂げてスマートなものへと進化してゆきました。

いずれも911クーペのルーフラインの再現を金属、樹脂の骨組みと布地の貼り合わせで実現しています。

ボクスターの幌も同様ですが、こちらは911カブリオレのノウハウが生かされて、最初からある程度の完成度があり、年次改良でおこなわれた細部のブラッシュアップがすごかったです。最新型では、手元スイッチのみでロックですら自動化するところまで進化しています。

987ボクスターからは50kmhまでで走行中に幌の開閉が可能となり、夢のように思えるのですが、実は幌がより大型の911でこれを繰り返しますと、各部分に風圧からくる無理がかかり、制御メカニズムに余計な負担がかかる、というのは自明ですw。

この開閉作業はボクスターでも走行中に可能ですが、911ではより大型の幌を動かすことになり、走行中に開け閉めするのはハデで印象的な一方、リスクもでかい。フクザツなリンクや途方もない数のモーターを動員する幌の開閉は、緊急時以外にはあまりやりたくないアクションです。

Aピラーが語るクルマのキャラクターはこの997でも如実に顕れています。対ボクスター比で、Aピラーの角度が立ち気味で、若干ですが長いのに気がつきます。もちろんクーペボディの屋根切り飛ばしの痕跡です。

実車でもわかるのでしょうけれど、ボクスターと並べてみて比較、というのはミニカーでないと、なかなか難しいはず。

このあたりのピラーの立ち加減にクラシックな意匠を感じるわけで、これに比べるとAピラーが短めで明らかに寝かされているボクスターの印象は、モダンでスポーティーだ、ということになります。良し悪しではなく、そういう印象だということです。

このAピラーの立ち方と長さはクルマの性格づけに密接に関係があって、スタイリング上、非常に多くを語っていると思います。私の場合、クルマの性格判断にはこの角度が効いている場合が多いです。大抵間違っていますがw。

実際には、開口部後端までの寸法で、ピラーの角度は自ずと風洞実験で決まるのでしょう、形状は機能にしたがう、のですw。

この2台では屋根閉めが原則のカブリオレと屋根開きが前提のロードスターの違いなのだ、といえばスッキリします。考えれば当たり前のことなんですがね(汗)。

なんですが、911で屋根を開けて走りますと、これがまたたまらん。空冷エンジンの雄叫びが頭上から吹き込む風にのってミリ単位のレスポンスでもって聴こえてくるのは、この世の悦楽か、と思うくらいです(まじ)。911カブの場合では排気音よりもエンジン音が勝ります。ただし、これ964での記憶。

ボクスターではエンジンの開口部が事実上、存在しない関係で、聴こえ方がだいぶ違い、水冷ということもありますけれど、また異質なものです。どちらかといえば排気音がまさっています。それもイイ音っ!!

これには2004年のポルシェ社の社長の交代が関係していて、新社長のもとでは排気音を強調せよ、とのお達しのもと、スポーツエキゾーストのオプション設定もこの頃から。エンジン音は水冷化もあって抑え気味となっているのです。

ですから、これ想像ですけれど、997カブでも走行時には排気音がまさっているのかもしれません。ちなみに、初代ボクスターと996の時代まではエンジン音が勝っていたと記憶しています。

ちなみにこの社長は非常に大柄だったことから、ボクスターではシートの取り付け位置が2cm低められているというのも、有名な話です。まさに鶴の一声でカイゼンされたのでしょうw。

ボクスターでは、乗ったら「かならず」屋根を開けますが、911カブでは「気が向いたら」開けるという大きな違いがあるので、特別感マシマシ。そこへあの音がくるんですから、タマランチ会長(ひさびさ)。

たまたま出会った個体が911の30周年記念の特別色、ダイアモンドブルーに塗られていたのは偶然ですが、この色といい、エンジン音といい、言うことなしの理想形。

もうね、一生のったる、といって張り切っていたのですが、ご存知のとおり、964シリーズというのは歴代各モデルが未完成なので有名な911シリーズの中でもピカイチの未完成さを誇ります(ほんとう)。

ご愛用のみなさまにはまことに申し訳ないのですが、私個人の印象にすぎませんので、あまり気にしないでおいてください。が、12年15万キロ、それもトクイチオートでの入念な整備を続けた上での印象ですから、念のため。

カレラ4から始まったシリーズの派生でカレラ2の初年度、つまり90年式は、ババ(ジョーカー)もよいところで、ヘッドからのオイル漏れに始まり、さまざまな箇所からパンドラの箱のようにトラブルが出まくり、まるで当時のイタリア車のようでした(イタリア車オーナーの皆様ごめんなさい)。

ダメなところには、こっそり後から「対策品」という名のちょっと「ましな」パーツが追加されており、欠陥品だったので直しました、とはけして公言していない。こっそり改良されるわけです。

数ヶ月のあいだ知らんぷりを決め込んでおいて、次の年次改良でガラリとカイゼンされたものが「新型」バージョンアップ版として評価されて、やはり911はいいぜ、なんてのがシロートジャーナリスト様達の記事になってるだけ。

オーナーの使い方ではなく、クルマ自体が未完成だった、と言わざるを得ないトラブルばかりで、まことにザンネンなシリーズが964の実体です。これ、日本で使う場合には、という但し書きがある程度必要ですが、使ってみて事実そうだったのですから仕方ない。

詳細はまた別の機会に譲るとして、とにかくタイヘンなおクルマです。

冷静になって考えてみますと、大排気量のエンジンをリアエンドに置いた時点でそもそもがムリ。そこを貫くためにいろんなことを我慢しながら乗るのが空冷911の世界だったと私は考えています。

エンジン周りの異常な高温からくる補機類の寿命の短さも特徴的でした。リアサスペンションにエンジンの熱の影響が入って、ダンパー抜けちゃう、って、こんなクルマこれしかないっす(爆)。

この辺りはキリがありませんから、みんカラで苦労している人の話でも読んでください(爆)。

ですがさすがにそこは911。雰囲気とスタイルだけはサイコー。フィールも音もフラット6ならではのスムーズネスでもって、どのような速度でも楽しい!今でもよいと思いますが、クルマの総合的な内容はお粗末そのものです。

至るところに弱点を抱えた、ガラスのようなモデルが3.6リットルになってからの空冷911です。どうです、イヤでしょうw?993だって、本質はおんなじ。若干モダナイスされたボディとリアサスなどに騙されてはなりません。どうりで短命だったわけです。

油圧ラッシュアジャスターの採用で、2万キロに一度必要であると言われていた「タペット調整」の儀式が不要となり、メンテナンスフリーに近づいた、といって当時は大いばりでしたけれど、タペット調整不要ということは、リフトアップしてアンダーカバーを外しての点検が基本、行われなくなる、という意味。

熱的にキビシー点は変わっていませんから、使用環境によっては993の状態は、964よりもさらにタイヘンだと思われます。端的に申しますと、問題が起きるまで放っておかれる、という意味です。

ポルシェはこの「難あり」なフラット6を一刻も早く水冷化したくて仕方がなかったはず。初代ボクスターや996のリリースはさぞかし急がれたことでしょう。残業とかしたんぢゃねw。

89年リリースの964カレラ4に始まり、93年の最終型まで。5年間の生産の中で完成されていったのだ、と考えれば腹も立ちませんが、カネがもちません、とそんなところ(涙)。

911が未完成である、と申しましたのは、日本の路上で使うのには、という但し書きつき。個人的な意見ですが、911に関しては、水冷、空冷、ともにシリーズが終わって数年経ってみないと評価ができないと思います。993、996、997しかり、991しかり。

ボクスターもまた同様ですが、初代からここまで、不思議と大ハズレというのは聞こえてきません。

現行でもまだ4世代目ですから、当たり前かもしれませんけれど、じつは911との間にレキゼンとあった「超えてはならない壁」にはばまれた結果、比較的控えめな排気量とパワーの水冷エンジンでのスタートとなったことが一番効いているのではないでしょうか?

このあたりにはきっちりモデルごとに階級を守らせるヨーロッパのメーカーの伝統が垣間見えます。エスのリリースにしても、動力性能的に歯がゆいほどの足枷をされていて、気の毒なくらいw。でも、それがモデルの歴史の中では明らかにプラスに作用していたのです。

で、ボクスターが空前のヒットとなるなか、986では時間をたっぷりかけたイヤーモデルごとの慎重なスープアップを図って、モデルを進化、熟成させていったわけで、この986→987への軌跡はまさにポルシェらしい進化である、と思いたいですw。

というわけで、ボクスターの名車ぶりにほだされて、いつまで経っても911に戻れないこの私(笑ってやってください)。でも、別に戻る理由もないわ、と考えております。

そりゃ911はポルシェ乗りの王道にして正統ですが、実際にはもろにセレブの持ち物。空冷時代には適度に値落ちもあって入手しやすかったのを勘違いして庶民が手にできたのですが(私のことです)、5000kmで終わるリアタイアの寿命をみればわかる通り、誰にでも所有できるようなシロモノでもございません。

それもこれも、ボクスターの完成度の高さに接して思うことです。もれなく屋根開きがついてくるうえに、あのボディ剛性。一番デカいのは値オチの激しさでしょうか(やっぱし)。さらにここへきてスパイダーの展開や、981以降、ポルシェ入門編とはいいがたい内容の向上が見られて眩しいくらいです。

GTSの追加や、スパイダー4.0の展開などを見ていると、どうやら911とは違う方向へと歩み出しているのがつよく感じられて、電動化を前に最後の徒花を咲かせているのでわないか、と想像されるわけです。

この辺りはシリーズ終了後に評価が出ることでしょう。

ガレージにこのような2台を並べるのは、マニヤの夢というものですが、この組み合わせでも実は困る(爆)。それでもどちらにも決めかねる魅力的なラインナップですのう、と日夜この2台を並べて鑑賞しております(好きなんですねぇ〜)。

ちなみに私の987。ボトムエンドのトルクの増強がいちぢるしく、一般路上での使い勝手が非常に気持ちの良い仕上がりとなっております。電気とアブラのハーモニーであるというウワサ。

いまや底値を打ってビミョーに値上がり中の987ですけれど、そんなにいいのなら、今のうちに買ってみようか、とお悩みのそこのあなた、個体は日ごとに減ってきており、市場に出てくるのは明らかに減少傾向。

動くなら今ですぜw。

 


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