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美術館とは?

2012-11-23 22:13:39 | インポート
美術館の壁に雑巾をかける。
そんな展覧会がある。
渋谷区立松濤美術館だ。
何なのかと言うと、古美術商坂田さんの集めたものを展示した展覧会で、坂田さんのお店は目白にあるという。
言っておくが、普通の雑巾だ。
そこから、問いが生まれる。
美術館とは、つねに高尚な展示品を並べる場所なのかと。
おじいちゃんの封筒、も壁に懸かっていた。
毎日封筒を作るおじいちゃん、一般の人だ、それが、捨てられなかったお孫さんが、坂田さんのお店に持ち込んだら、坂田さんはああこれはいい、買いましょう、と、封筒を買ったそうだ。
坂田さんとだけ言っているが、実は自分の略歴を語らない方だそうだ。
美術館には勿論、展覧会図録にも、坂田さんが、どこの大学を出たとか、どこに勤めたとか、書かれていない。
ただ、千葉にas it isという美術館も作ったということは、書いてあった。as it isとは、あるがままということだ。
あるがままの生と生活を大切にする、それに尽きるのだろう。あるがままの生活の中から、雑巾を大切におもい、おじいちゃんの封筒を大切におもう心が出てくる。雑巾にも封筒にもなもなき人の歴史がある。
そう言うことなのだろう。
勿論坂田さんは雑巾ばかり集めている訳ではない。
白洲正子さん旧蔵のものもあったし、海外の作品もよく集め、特に、中世はロマネスク時代を好むという。
スーパーフラットの概念で知られる村上隆さん所蔵のものもあり、雑巾類ならなんでもの、下手物の類いではないことは、明記しておかねばならない。
しかしこんな展覧会をやる松濤美術館にはとても感心する。
この日は、午後のコンサートとして、フォルテピアノを用いたコンサートも開かれた。
初めは渋谷区民限定ということだったが、人が集まらないため、急遽、Twitterで、誰でも招待することになり、僕も聴いてきたわけだ。
今の黒い馴染みのあるピアノが出回ったのは100年あまりで、ベートーヴェンもモーツアルトも、美術館講堂のような、狭い場所で、フォルテピアノで、演奏していたのだという。
松濤美術館は、渋谷駅にも近く、公立の美術館としては、恵まれた環境にある。
それが、何時も300円で、展覧会をみせてくれるのだから、こう言う美術館が増えることを望むばかりだ。


6 コメント

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雑巾を美術館に展示する、というと赤瀬川原平の超... (瀧野信一)
2012-11-25 05:06:48
雑巾を美術館に展示する、というと赤瀬川原平の超芸術トマソンを連想します。
街のなかのおかしなものを美術として捉えていました。
そういうものを見ると、頭が柔らかくなるような気がしますね。
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そうですね。 (oki)
2012-11-26 22:20:05
そうですね。
展示はすべて坂田さんがやられたようです。
坂田さんのなかに現代美術を意識したところがあるかもしれません。
実際、展示プランでは、現代美術作品も並べるという案があったそうで。
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おはようございます (i\いわた)
2012-11-29 08:44:39
おはようございます
白洲さん、とても愛読しています。  かくれ里に感銘をうけ、
吉野へ小旅行もいたしました。
子供が小学校へ行っていたときは青山二郎や小林秀雄によって自分を励まして、西洋信仰小学校に抵抗しておりました。
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衒いがなくていいですね、 (青梗菜)
2012-12-01 14:52:27
衒いがなくていいですね、
300円もうれしい。

美術館の壁に雑巾を掛けるのは、
絵画に額縁がつけられるのと同じで、
雑巾に作品としての意味づけを与えましたが、
とってつけたような小難しい意図が介在するなら僕はうっとうしくなるけど、
はい、雑巾ね、みたいな感じなら、お気楽でうれしくなります。
道具性を失って、芸術作品になり下がったのは、
雑巾としては残念ですが。
道具は、使い捨てられるときにその道具性が顕われますから。

旧ミニも、70年代のヤマハのアンプも、
僕は一級の芸術作品だと思うのですけど、
それらは美術館に展示するために作られたわけではなく、
道具にとって、展示されることは本質的ではありません。
鳴らしてなんぼ、走ってなんぼの道具です。
…なんてことを考えるのは、頭が固い証拠でしょうか。
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こんばんは。白洲さんといえば、町田の武相荘ー漢... (oki)
2012-12-02 22:47:36
こんばんは。白洲さんといえば、町田の武相荘ー漢字これでいいのか?ですね。行かれたことあられますか?
しかし、白洲さん所蔵品は一点しか出てません。この坂田さんはあくまで無名の人の所蔵が好きなようです。
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青梗菜さんこんばんは。 (oki)
2012-12-03 22:12:20
青梗菜さんこんばんは。
雑巾、ただの雑巾、何の意味付けなく展示している。
好きだな~、こういうセンス、それを許容する美術館また良い。
おっしゃるように、ここは何時も300円、次回はシャガール。
まあ雑巾や封筒に意思があるとして、自分を展示してほしいのかはわかりませんがね。
松濤美術館は、気取ったとこがない、ほら観せてやるぞ、みたいな。
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