だらだら日記goo編

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狂ひて描かん

2009-12-11 23:53:00 | インポート
画家の言葉である。
わずか22歳で夭折した画家、高村光太郎は「火だるま槐多」と呼び、草野心平は「アンドロメダ的燃焼体」とよんだ。
そのもっとも典型的作品を僕らは、尿する裸僧にみることができよう。
遺作展以来60年以上も所在不明だった作品だ。信濃デッサン館の館長が山梨で見つけたという。
ガランスつまりは茜色を使って、僧が放尿する様を描いた作品だ。
しかしこの画家の代表作といえば、国立近代美術館が持っている、バラと少女だろう。
赤いほっぺたが印象的な作品だ。
画家の名前は村山槐多、その回顧展を渋谷区立松濤美術館にみにいく。
なんとも衝撃的な展覧会だ。
一歳年下の美少年に恋したこと、それはギリシャ的なる同性愛であろうか、槐多は「ああ三なる数字よ、汝はギリシアの数字にしてー」と語っている。
また短い生涯にしては自画像を多く描いたが、自分の眉間の深いしわを「鬼の線」と呼んでひどく嫌っていたらしい。
このように文字表現も槐多は達者だった。
会場には槐多の詩もかなり展示されているが、つい最近の読売新聞によると槐多は投稿少年であったとか。
今回の展覧会図録が優れていて、槐多の詩を沢山おさめているほか、江戸川乱歩が「日本の最も優れた探偵小説の一つ」と述べた、悪魔の舌、を収録していて、僕たちは槐多の文学者としての側面を見ることができる。
画家としての側面はやはりガランスに象徴されよう。
関根正二も夭折の画家でバーミリオンで特徴つけられるが、同じ赤でもバーミリオンが鉱物系なのに対して、ガランスは植物系だ。上京して小杉未醒邸に下宿した槐多だが、家のある田端から、また後に移り住んだ代々木から神田文房堂
というところにガランスを買い求めに行っていた。当時の価格で二円だったという。
また槐多の名付け親は森鷗外だったとか、山本鼎とは親戚関係にあったとか知らないことだらけでいい展覧会でした。