地震学者たちは、反省すべきところは反省し、今回の大震災で思考を180度方向転換した。
今まで私は、学者という方々は、確立した自分の理論、信念を曲げたがらない方々だと思っていたがm(_ _!)m、やはり、真実の追求、理念の全うのためには、大いなる反省と方向転換は、案外簡単なのかもしれない。
静岡県でも、今後策定する第4次地震対策計画では、新たに富士山の噴火、浜岡原発災害への対応も盛り込むことになった。
今回の東日本大震災を機に、日本はリセットし、地震、原発、エネルギー政策などなど、あらゆるものをゼロベースからあらためて見直し始めたと考えたい。
しかし、ここで比べるのも悪いが、今回の大震災で反省すべき方々は、地震学者ではなく、原発関係者なのかもしれない。
そんな原発関係者は、はたして反省して今までの方針、見解を180度転換するような大英断をしているだろうか・・・。
原子力安全保安院は、過去からのやらせとか電力企業との癒着とかを指摘されているにもかかわらず、今も存在し、原発のストレステストの評価などをしている。
この4月に組織が変わるようだが、今までの国の組織替えでは、名称、外観は変わっても中身が変わらないことが多い。
仏作って魂入れず、である。そうならないように改編してほしい。
あるいは、中部電力が浜岡原発について震災後真っ先にしたことは、原発の海に面する前面を18メートルという高さで、かつ1キロメートルにもわたる防波壁の設置を決定、現在、もうその工事に取りかかっている。
このことを良く解釈すると、いつ来るかわからない東海地震により発生する津波への緊急措置ととらえ、迅速な対応をしているとも考えられる。
今浜岡原発はすべての原子炉が停止しているが、燃料棒は数千本とあり、また使用済み燃料もまだ施設内で常に冷却して保管し、その最終処理は目途が立っていない。
だから冷却をストップさせないためのあらゆる手段を講じることは、発電していなくても最重要事項である。
しかし、1千億円余の莫大な投資をし、巨大な規模の人工物で自然を相手に抵抗するにしては、あまりにも性急すぎる工事と見えてならない。
この防波壁が津波にどのくらい耐えられるか、何を根拠にその規模で大丈夫と判断するのか・・・。
しかも、この工事が始まった以降に先ほどの東海地震3連動説が掲げられ、それへの想定に軸足を変える静岡県防災計画を今後策定しようとしている時でもある。
この大工事で浜岡原発は、東海地震ほかの3連動地震に耐えてほしい。
いや耐えられるだろう。
鉄骨を組みそれをさらに直径5cmの鉄筋で幾重にも囲みそれをコンクリートで固めた高さ十数メートルの巨大構造物が、実は地中に埋め込む基礎部分の一つであるとのこと。
こんなものを何個となく土台にして建てる防波壁は、どんな津波のエネルギーにでも耐えるだろう。
そのくらい驚くほどの頑丈な構築物である。
しかし、さすがに3連動地震の規模、あるいはまだまだ不明な東日本大震災、原発災害の実態を十分確認、検証していないまま工事に取りかかる防波壁は、耐久力はあるかもしれないが、高さ、延長の有効性は不明と考えるのは無用な杞憂か!?
ただ、私がこんなに懐疑的になるのは、その防波壁そのものではなく、中部電力の今回の大震災に対する姿勢に、なんとなくすっきりしないものがあるからなのかもしれない。
地震学者は素直に自分たちの過去の研究成果の無力を吐露した。そして、地震への新たな姿勢を打ち出した。
比較することは適切ではないかもしれないが、中部電力も過去原発建設当初からの経緯と企業経営の検証、反省を素直に表すことが必要ではないか。
ましてや、使用済み燃料の処理計画など、国から求められている報告すら、現在のところ行っていないという。
そして、地域住民が明るく豊かな生活を容易に想像できるような新エネルギー開発の計画などを描いたらいかがか。
この当たりの姿勢が見えないので、地域住民にとって、防波壁は現在ストップする浜岡原発の再稼働に向けての事前工作だとか、余分なことを考えてしまう。
経済原理が働く電力会社にとって、エネルギー事業を180度転換ということはなかなか難しいが、少なくともそれらを十分検討しているという姿勢とその説明をもっと積極的にアピールすべきではないかと考える。
今の中部電力の姿勢を見ると、りっぱな防波壁をみせつけられても、なかなか周辺の住民にとっては浜岡原発の存在を素直に受け入れる気にはなれない。
おわり。
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