市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

勤務中にエロ動画編集作業に没頭していた県庁職員が50万円を返還せざるを得なかった事情に関する調査結果

2015-07-11 23:46:00 | 県内の税金無駄使い実態
■群馬県庁に勤める50代の男性公務員が、7か月間以上、職場のパソコンで毎日30分ほどエロ動画の編集作業に没頭していたことが発覚して、15日間の無給休暇処分のみで済まされたことについて、市民オンブズマン群馬では納税者の観点から、職務専念義務違反のこの職員に対してなぜ損害賠償請求をしないのか、疑問に感じたため、住民監査請求を行いました。ところが、群馬県監査委員の監査結果は「人事課は、パソコンで勤務中にエロ動画編集をしていたことを職務専念義務違反であることを認めたものの、自席に就いていたし、上司の指揮命令下から離れていたわけではなく、エロ動画編集時間に相当する給料額を返還請求していなかった。ところが、5月8日にこの男性職員が職務専念義務違反に相当する時間分の給与相当額として現金50万円を自主返還したので、オンブズマンの試算した約29万円の損害額より金額が上回っているので、監査を行う理由がない」という、極めて無責任な内容でした。
○住民監査請求の監査結果↓
20150528_jumin_kansaseikyu_kansakekka_adultdoga_henshujiken.pdf

 そのため、当会では、2015年6月22日付で、次の内容の公文書開示請求書を県知事に提出していました。

**********
<開示を請求する公文書の内容又は件名>
昨年4月から12月にかけて勤務時間中に公務で使用するために貸与されたパソコンを使ってエロ動画編集作業を恒常的に行っていた事件で、当時会計局に所属していた男性職員が、平成27年5月8日付けで、群馬県知事に対して、本件職員が職務専念義務に違反して本件不適正使用をしていた期間におけるその時間分の給与相当額として、現金50万円を自主的に返還する旨の上申書を提出し、同日、同額が群馬県に納付された件に関する次の情報。
①上申書の内容情報(ただし、個人名や個人の印影は除く)
②群馬県に50万円が自主返還されたことを示す証拠情報(領収書、入金通知などを含む)。
③上申書の受理に際して群馬県が作成した一切の書類(起案書、稟議書、回議書の類を含む)
④上記③にも関連するが、50万円の返還額に関して、その妥当性について協議した経緯を示す一切の情報。
**********

■この結果、上記①~③については、同7月3日付で公文書部分開示決定通知が、上記④については、同日付で公文書不存在決定通知書が県から送られてきました。
○公文書部分開示決定通知書↓


○不存在決定通知書↓



 そして、7月10日(金)午前9時に県庁2階の県民センターで①~③の情報開示を受けました。開示されたのは次の5枚の公文書です。
20150710_johokaiji_siryouissiki_adultdoga_henshujiken.pdf

*****【1.回議用紙】*****

総務事務システム
回議用紙
ファイル基準:M-366
保存期間:5
書目名:調定回議書(登録番号62-2)
決裁区分:課長先決
起案年月日:平成27年05月08日
起案者:会計課 補佐(総括)(企画推進係長)猿山隆弘(電話番号3812)
会計課長:森田
次長:今井
合議:-
(件名)給与相当額の返還に伴う雑入の歳入受入について
(伺い)このことについて、次のとおり決定してよいでしょうか。
協議の状況:協議者名:-
      協議年月日:-
決裁年月日:27.5.8
公印押印:-
施行年月日:-
県報登載:□要搭載(例規番号 第    号)
公印区分:1普通、2印影印刷、3事前押印、4公印省略
施行区分:1普通、2ファクシミリ、3電子メール、4電子掲示板、5その他(  )
    群 馬 県

*****【2.起案内容】*****

1 決定内容
 ■■■■■■■ ■■ ■■■■からの給与相当額の返還の申出に伴う歳入の調定を行うものです。
 (1)調定金額 500、000円
 (2)納期限 平成27年5月28日(木)
 (3)予算科目 14款 諸収入 7項 雑入 5日 雑入 1節 雑入 細節雑入

2 起案説明
 上記職員から任意による給与相当額の自主返還の申出「職務専念義務違反に当たる時間分の給与相当額の返還の申出について」(別紙)が提出され、調定するものです。なお、雑入で受け入れる理由は、次のとおりです。
 ・給与条例や返還請求に基づくものではなく、本人の任意の返還である。
 ・業務外のパソコンの不適正使用時間に相当する金額という考え方であるが、積算に係る根拠はない。
 ・返還額は、本人が決めたものであり、戻入として扱うことは適当でない。

【経緯】
 ・平成26年12月10日に県庁ネットワークに接続するパソコンの不適正使用が発覚。
 ・平成27年5月8日、本人から職務専念義務違反に当たる時間分の給与相当額の返還の申出が提出された。
 ・5月8日、本人に給与相当額の返還を受け入れる旨を伝える。

*****【3.給与相当額返還にかかる本人からの申出書】*****

                   平成27年5月8日
 群馬県知事 大澤正明 様
               ■■■■■■■ ■■ ■■■■■●

   職務専念義務違反に当たる時間分の給与相当額の返還の申出について
 私、■■■■は、平成26年4月末から平成26年12月10日までの間、職務専念義務に違反し勤務時間中に職務に関連しない不適正な目的で行政事務用パソコンを使用したことにより、平成27年3月10日付けで懲戒処分に付され、平成27年3月11日から15日間の停職処分となりました。
 本事案について、私自身で十分に考えた結果、おわびの意思表示として、職務専念義務違反に該当する行政事務用パソコンの不適正使用を行っていた時間分の給与に相当する現金を自主的に返還すべきであるとの結論に至り、金500、000円を返還したく、申出します。

*****【4.調定回議書】*****

          調定回議書     平成27年度
決裁日:27.5.8
収入調定者:森田  今井、猿山
本書のとおり調定したい。 平成27年5月8日
発議者:会計課 主幹 小林 純一 庁内電話(3812)
所属名:150100 会計課
調定番号:6
内訳番号:001予算所属名:150100 会計課
会計:01 一般
予定納期限(口座振替日):平成27年5月28日
科目:款   14 諸収入
   項   07 雑入
   目   05 雑入
   節   01 雑入
細節 096 雑入(会計課)
相手方:コード  ■■■■■■■■■
    郵便番号 ■■■■
    住所   ■■■■■■■■■■■■■
    氏名   ■■■■■
調定額:¥500,000*
集合件数:1件
内訳:納入通知書:500,000(1件)
口座振替:-
納入方法:納入通知書
内容:141501-03 雑入
備考:給与相当額の返還
摘要:-

*****【5.領収済通知票】*****

平成27年度 領収済通知票 群馬県税外
この用紙は折ったり汚したりピンで止めたりしないでください。
帳票区分 001
収納区分 101
個払別込 91
年度   2015
会計   01
所属   150100
標C地D 00
伝票番号 000006
内訳番号 001
収入額  000000500000
CD   0
■■■■
 ■■■■■■■■■■
 ■■■■■              様
調定所属:150100 会計課
調定番号:000006
内訳:001
会計:01
款:14
項:07
目:05
節:01
細節:096
収納区分:101
金額:500,000円
納期限:平成27年5月28日
発行日:平成27年5月8日
内容:雑入 給与相当額の返還
群馬県会計管理者あて  上記の金額を領収しました。
領収印:-補完
指定金融機関収納印:出納済27.5.8 群馬銀行 県庁4
(群馬県)
**********

■情報開示の際、説明者として出席した会計局会計課の今井次長と企画推進係長の猿井補佐から、今回の問題発生の背景と対処の経緯についてヒヤリングしました。その結果次のことが分かりました。

(1)「5月8日に当該職員から50万円の返納申出があり、その日のうちに起案し、返納について決裁手続きを完了したのは余りにも不自然だ」という当会の指摘に対して、県会計課では、「決して当該職員を誘導したり、指示を出したりしたわけではない」と釈明した。
(2)県会計課によると、4月28日に監査委員事務局による監査が実施されたという。その際、「オンブズマンの住民監査請求に関して、もし、監査委員が本人にこの件で何か聞いた時に、本人がそのことを知らないというのはまずい」と判断して、県会計課は監査の前に本人に電話で、住民監査請求が出されていることを伝えたという。
(3)県会計課では、この時、「もしかしたら、本人から職務専念義務違反に関して給料の返還があるかもしれない」と考えて、あらかじめ手続のやり方など、当然準備を行った。本人から返還があった場合、どのような処理をすべきか、という検討を内部でした。勿論金額もわからないが、そういう申し出があったらすぐ処理できるような態勢を実は整えてあった。ほんとに本人が返還するかどうか、返還してきた場合いくら支払うか、などは当方も分からなかったが、上層部と相談して返還金の入金準備をするとともに、本人にオンブズマンからの住民監査請求について伝えた」という。
(4)当該職員にこのことを伝えた際に、本人は「かなり反省している」というようなことを言っていたという。ただし、県会計課から当該職員に、「オンブズマンから住民監査請求があったことを知っているか?」と電話で聞いたところ「知らない」と言ったとのこと。そのため、県会計課から「じゃあ、いろいろオンブズマンのホームページとか、オンブズマン代表のブログをよく見て、考えろ」と当該職員に言ったという。県会計課では、「当該職員はその後、オンブズマン代表のブログを見た筈だ」という。
(5)この時まで当該職員は、オンブズマンからの住民監査請求のことは全然しらなくて、監査事務局に請求が提出されていること自体も知らず、本件についてはもう終わっている気でいたという。なぜなら、要するに処分を受けて、そこでもう決着しているものを思っていたからだが。本人は「オンブズマンのブログのことは知らない」と言っていたらしい。
(6)県会計課曰く、「そしたら、5月8日に本人が年休を取ったのかしらないが、会計課にやってきて、知事あての申出書を持参し、50万円を支払う用意があると言って来たという。県会計課では、すでに準備をしていたことから、課長と相談して、本人に“ちょっと待つように”と言って待たせ、その間に内部決裁を取って、本人に調定額の欄を空白にした書類を渡して、これに50万円を記載して支払い、その写しが開示書類に添付されている」とのこと。
(7)県会計課では、「あらかじめ、給料返還の可能性を想定して、準備をしていたが、5月8日に本人が本当にやってきて返還を申し出たので、処理を迅速に進められたのであり、本人に対してそのように誘導したり指示を出したりしてはいない。本人には“オンブズマンから住民間請求があり監査された”というようなことを伝えただけだった」ことを終始強調した。

■これに対して、当会では次の疑問を伝えました。県会計課のコメントは→以降に示してあります。

①50万円の根拠も定かでないのに、なぜ返還金を受け入れたのか?もし、当該職員からの返還金額が30万円だったり、あるいは100万円だったりしたらどういう判断をしたのか? →会計課コメント:50万円と言う金額は、本人が決めたものだから、そのことを尊重したい。
②オンブズマンは住民監査で損害金額を約29万円(正確には28万2258円)と試算しているが、県会計課は本人にこのことを伝えたのか? →会計課コメント:4月28日以降、本人がオンブズマンのブログ等を見ている筈なので、知っていると思う。
③50万円は、1週間で調達するには金額が大きすぎる。事前に金額を本人に示唆したのか? →会計課コメント:あくまで本人が決めたもの。事前に指示などはしていない。
④50万円という返還額は、オンブズマンが試算した金額より1.77倍多い。これは補佐級の基本給が、オンブズマンが想定した年間700万円よりも、1.77倍高いということなのではないか? →会計課コメント:700万円は次長の私の基本給と大差ない。だから年間700万円は概ね正しいと思われる。
⑤群馬県では職務専念義務違反などの場合の給料減額の計算式はどのようなものか? →会計課コメント:職務専念義務違反とは趣旨が異なるが、例えば欠勤の場合、つまり年休を全部使ったけれど、親が病気だとか車が動かなくて来られないとか、もう年休がないから欠勤扱いとなる場合、例えば35分欠勤すると、給料は35分引くのではなく、1時間分引くことになる。なぜなら年休は時間給で採ることになっているからだ。しかし、この場合でも正確な計算式は人事課給与係あたりでないと分からない。

■それにしても、驚いたことは、職務専念義務違反で処分された当該職員が、当会の住民監査請求のことを、監査員による実際の監査が行われる直前まで、何も知らされていなかったという事実です。

 職務専念義務違反とは、いわゆる欠勤と同じく、本来の仕事をしていないことを意味します。しかも、仕事を意図的にサボったことによる欠勤という見方ができると思います。であれば、少なくとも欠勤と同じような措置が課せられてしかるべきですが、停職15日の処分を受けた当該職員は、これだけで事が済んだと信じていたことが分かりました。

 オンブズマンが住民監査請求をしたことを元同僚から教えられて、当該職員は、ようやく事の重大性を認識したことになります。

■結局、会計局会計課との協議では、給料に関する正確な情報が分からないため、人事課と面談することにしました。県庁8階南側の人事課を訪れたところ、人事課の給与係の斉藤氏、宮下氏が面談に応じてくれました。

 人事課との協議で判明したことは次のとおりです。

1)当会から、職務専念義務違反の場合の処分として、給料の減額についてのルールをきちんと決めておくべきではないのか、と質問したところ、人事課は、今回は全て本人が自主的に金額を査定して返還したのでルールとは関係が無い、と考えていること。
2)県職員の年休は1時間単位で取得でき、1時間未満は1時間でカウントするという。基本となる給料は、職員一人一人違うが基準額は決まっているという。
3)ただし、1日30分ずつエロ動画編集作業に没頭していた今回のケースだと、毎日ごとに1時間に切り上げず、30分ずつ足し上げて月ごとの累計値を積算するという。また、1日の勤務時間数は7.75時間で、平日数は、平均的な日数で歳出するときは、1か月あたり21日を使う。
4)したがって、オンブズマンが月単位で、職務専念義務違反の時間数を30分で積み上げているのであれば、その算式で間違いない、というのが人事課の見解である。
5)そうであれば、なぜ当該職員は50万円を返還したのか、という当会からの質問に対して、県人事課では、「おそらく、オンブズマン代表のブログを見て、オンブズマンの指摘する損害額に加えて、“申し訳ない”という気持ちを込めて、いわゆる“のりしろ”的に上乗せしたのではないか?今回は県から命令して自主的に返還させたわけではないため、あくまでも本人の100%意志から判断したもの」という見解だ、という
6)これに対して、当会からは「今回の職務専念義務違反は本人も自覚していたのだから、なぜルールに基づいて給料の減額を直ちに処分に加えなかったのか?」との疑問を投げかけた。しかし県人事課は「本人の自発的な意思なので、ルールの適用はできない」という見解を変えなかった。

■以上のように、今回のエロ動画編集作業に没頭していた前・会計局審査係の職員の場合、なぜ停職15日だけの処分で済ませたのか、その根拠と、給料の減額措置をなぜ検討しなかったのか、について疑問が残る結果となりました。

 このことについては後日、大澤正明・群馬県知事あてに、申入書及び公開質問状を提出するかどうか、オンブズマンとして慎重に検討したいと思います。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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