市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

大同有毒スラグ問題を斬る!…クローズアップ「有害スラグ」榛東村の不法投棄事件に迫る

2015-07-03 23:23:00 | スラグ不法投棄問題

■平成27年4月26日榛東村長選挙が行われ、激戦を制した眞塩卓氏が新村長に就任しました。聞くところによると、同氏は、前村長の悪政を憂う村民の皆さんの切望に応えて出馬を決意し、熱い住民運動の末に誕生した新村長で、その高い行政能力が評価されています。

 前村長の悪政を代表的に象徴として、メガソーラー発電を隠れ蓑にした有害スラグ不法投棄事件が挙げられます。榛東村所有のゴルフ場跡地を舞台にした産業廃棄物の不法投棄事件は、その造成工事の業者選定段階から黒い影が漂っていました。なお、有害スラグについては、末尾記事で後述します。


ソフトバンク榛東ソーラーパーク。

 平成24年(2012年)7月1日に鳴り物入りで稼働し始めた「ソフトバンク榛東ソーラーパーク」と名付けられたメガソーラー発電所は、大震災による原発事故を契機に、再生可能エネルギーが脚光を浴びたため、いち早くソーラー発電事業進出を打ち出したソフトバンクのニーズに応えるべく、榛東村がゴルフ場跡地を平らに整地して誘致に成功した事業案件でした。整地した土地を同村がソフトバンクに貸して、そこにソフトバンクがメガソーラー発電所を設置しました。この事業の経緯や概要は榛東村の次のHPを参照ください↓
www.vill.shinto.gunma.jp/koho/1204/04-05.pdf

■全国各地の多数の立候補地の中から、メガソーラー発電所の誘致を勝ち取るため、榛東村としては、とにかく安く早く土地を整地して、ソフトバンクに対して、誘致の熱意と努力を伝える必要がありました。このため榛東村では、建設会社を物色したところ、佐藤建設工業が名乗りを挙げてきたのだそうです。

 スラグマネーを背景に、前村長に近寄った佐藤建設工業は、このソーラー発電所の造成・整地工事を、極めて低価格で仕上げました。更に、驚くべきことに、佐藤建設工業の手により、この発電所内に敷き込まれた砕石は、「榛東村のエコ事業のために」と称して、「なんと無料で提供された」と話題になりました。そのためか、榛東村では英雄扱いされています。なお、スラグマネーについては後述します。

 通常120万円を超える公共工事では、公平性を保つため、指名競争入札を実施するのが一般的です。榛東村の場合、事業費が250万円を超える工事は、広報で告知されており、透明性が担保されています。一例を示します↓
www.vill.shinto.gunma.jp/koho/1205/02-07.pdf

 ところが、この広報には、メガソーラー発電事業案件が見当たりません。「緊急に造成しないとソフトバンクに認めてもらえない」とばかりに、村議会を焦らして判断を狂わせ、全体の計画承認のみで進められたためと思われます。こうして、榛東村のソーラー発電事業は、有害スラグの格好の不法投棄現場と化していったのではないでしょうか。

 指名競争入札で急ぐ必要があるという状況下でも、慎重に造成工事業者を選定していれば、透明性が確保できたにちがいありません。しかし、榛東村による佐藤社長の英雄扱いを見るとき、違和感を禁じ得ないのは当会だけでしょうか? 豊富なスラグマネーを持つ佐藤社長と、前村長との不思議な関係をうかがわせる次の情報もあります。


この写真は、翌、平成25年7月に建設された白子の海ソーラーポート発電のパンフレットの裏面。ここに、なぜか、ソフトバンクソーラーの建設合意調印式の写真があり、佐藤社長が英雄として祭り上げられている。説明書きには「左から佐藤建設工業(株)佐藤社長(造成等で多大なご貢献を賜る)・・・」とある。

■平らな土地を確保する土工事だけなら、榛東村内にも建設業者はあります。ましてや、随意契約で指名されるとあれば、喜んで仕事をする業者はたくさんいることでしょう。また、村内の雇用確保・災害時の対応確保の観点から、村内業者に仕事をさせるのは必然性があります。しかし、佐藤建設工業は、渋川市小野子に所在しています。そうすると渋川市においても多大な寄付等をしているのでしょうか?

 実は、この派手な英雄扱いの裏側には、“土工事が安く仕上がると見せかけ、有害スラグの不法投棄場所を提供した”とする「事実」が隠されています。大同特殊鋼との間で有害スラグ混合路盤材販売契約書をしていたため、佐藤建設工業には、有害スラグを不法投棄するだけで販売補助として多額の収入が転がり込む仕組みになっていました。そのため、佐藤建設工業は、常に、不当投棄場所探しにやっきになっていました。たとえ無償で有害砕石を運んでも収入が得ることができるからです。

 その結果として、榛東村に有害スラグが大量に不法投棄されてしまいました。有害物質拡散という多大な不利益が村にもたらされているのに、しかも昨年末、国土交通省によるスラグの有害物質の公表を機に、群馬県の行政関係者が大騒ぎになっている中、佐藤建設工業に撤去を請求しなかった榛東村の前村長の行為は、同村に対する背任行為とも言えるものです。

■平成27年4月24日、国土交通省関東地方整備局は“鉄鋼スラグに関する土壌の分析試験結果について”と題する記者発表をしました。国土交通省の公表内容はこちら↓
http://www.ktr.mlit.go.jp/kisha/kyoku_00000682.html

 この中で国交省は、2箇所の現場について「撤去」を公表しました。どのような形で撤去が進むのか、注目されます。なぜなら、撤去作業は原因者の負担で行われなければならず、我々住民が納めた血税が一銭でも使われることがあってはならないからです。

 榛東村の有害スラグについては、原因者である佐藤建設工業に、一刻もはやく撤去を請求しなければなりません。有害スラグが不法投棄された他の自治体も、今後、撤去を表明することが予想されます。榛東村の新村長様には、ブラック企業・佐藤建設工業に対して、早期にスラグの撤去請求を出すことが期待されます。一方、納税者である同村住民は、不法投棄された有害スラグの鉄橋作業の進行状況と費用負担について、注目していかなければなりません。

 また、平成26年9月の榛東村議会における一般質問に前村長が回答していますが、そのなかで、「平成24、25年に施工された佐藤建設工業のスラグ混合砕石には、基準値を上回る有害物質は含まれていない」として、佐藤の砕石に“スラグが含まれていたことを知っていた”ことをうかがわせる答弁をしています。

 普通であれば、「まさか砕石にスラグが含まれているとは知らなかった。直ちにしかるべき対応を、群馬県等と協議する」と答弁するところです。前村長のこの発言は、その責任問題をはらんでおり、この点についても、同村住民は注目しなければならないでしょう。なお、平成26年9月の榛東村議会議事録については末尾を参照ください。

■では実際に、どのような不法投棄が行われたのでしょうか?まずはソフトバンクソーラー発電現場を検証していきましょう。


プロ野球でもおなじみソフトバンクのマークだ。


奥に水沢山が見える。標高が高いことがわかる。このゴルフ場跡地に無数に設置されてあるのはシャープ製のソーラーパネル。


気泡の様な穴があいた石が見える。有害スラグだ。


それにしても時代の先端施設に、サビ浮き石のお出ましとは驚きだ!角張っており黒光りしていることから有害スラグに間違いない。


ソーラーパネルの周りだけでなく、出口に向かって大量に有害スラグが不法投棄されている。標高1000mに有害スラグを運ぶには燃料を大量に消費するので、まずは生一本有害スラグを運び、その上に薄く隠すように天然石をまぶしたようだ。他の不法投棄現場より有害スラグが多くほぼ生一本状態だ。↑


ソフトバンクのホームページには、設置に尽力した関係者写真の方々の写真が掲載されています。
http://www.softbank.jp/corp/news/sbnews/sbnow/2012/20120711_01/
造成・整地工事を安価で請け負った英雄・佐藤社長の姿も見える。榛東村に真の貢献をするには、ただちに有毒スラグを撤去して安全な材料と入れ替えるという大事な任務を忘れてもらっては困る。


■榛東村では、ソフトバンクソーラーで得た知見やノウハウをもとに、もう一つのソーラー発電所「榛東村白子の海ソーラーポート」(出力500kW)を、平成25年7月に設置しています。


白子のり榛名工場様の看板の下に榛東村白子の海ソーラーポートの表示。


こちらは白子の海ソーラーの門、奥の白いフェンスとの間に、ソフトバンクソーラーで見たのと同じく、赤い有害砕石が見える。


門の支柱のコンクリートにサビ浮石が一つ鎮座していた。赤い砕石にはサビ浮石が多数見えるが、中に入れないのは残念。こちらも大量の生一本スラグの上に赤い天然石を薄くかぶせたように見える。


榛東村が白子の海ソーラーポートの稼働を祈念して作ったパンフレットの写真。

■それにしても、震災復興の願いの意味も込められたエコ事業を、よりによって不法投棄の場所に使うとは、あまりにも非道で許せない行為です。当会は、村民の皆様とともに徹底的にこの不法投棄の実態を明らかにし、責任の所在を明確にしてゆくことが二度とこうした非道な行為を起こさない為の必要十分条件だと確信しています。

【市民オンブズマン群馬事務局・大同有毒スラグ不法投棄特別調査チーム・この項つづく】

※参考情報
■用語解説「有害スラグ」とは
 問題となったスラグは、大手鉄鋼メーカー・大同特殊鋼(名古屋市)の渋川工場(群馬県渋川市)から排出され、その大半を渋川市の佐藤建設工業が販売または自社の工事に利用した。 スラグは鉄精製時に出る副産物で、石や砂利の形状をしている。さまざまな化学物質が残存することがあり、そのままでは廃棄物処理法上の産業廃棄物「鉱さい」となる。スラグは本来、環境基準を下回っていることを前提に道路の路盤材などに許可を得て使用できる。だが今回は、渋川市内の公園や駐車場で使われたスラグから基準を超える有害物質が次々と検出された。

■大同特殊鋼の鉄鋼スラグの「廃棄物該当性」について
 鉄鋼スラグが廃棄物に該当するか否かは、物の性状、排出の状況、通常の取り扱い形態、取引価値の有無、占有者の意思を総合的に勘案して判断するということになります。この全てにおいて、大同特殊鋼の鉄鋼スラグは産業廃棄物です。ここでは「取引価値の有無と物の性状について」を中心に説明します。
(1)取引価値の有無
 平成26年1月27日、群馬県環境森林部リサイクル課による大同特殊鋼渋川工場に立入調査が行われました。その結果、有害スラグとみられる資材を販売した際、販売額より多い費用を販売管理費などの名目で支払う「逆有償取引」と呼ばれる手法による鉄鋼スラグの取引形態が指摘され、大同特殊鋼もこの取引形態について認めています。したがって、大同特殊鋼の鉄鋼スラグに取引価値などありません。「鉱さい」という産業廃棄物であると考えられます。
参考資料1:群馬県から大同特殊鋼に対する指示書↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/html/noticefromgunmalgtodaidosteel20140422.pdf
参考資料2:群馬県から大同エコメットに対する指示書↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/html/noticefromgunmalgtodaidoecomet20140422.pdf
参考資料3:群馬県から丸太運輸に対する指示書↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/html/noticefromgunmalgtomarutaunyu20140422.pdf

2)物の性状
平成26年12月26日国土交通省より「鉄鋼スラグに関する材料の分析試験結果について」が公表され大同特殊鋼の鉄鋼スラグには有害物質が含まれていることが公にされました。従って物の性状の面からも大同特殊鋼の鉄鋼スラグは産業廃棄物です。
参考資料4:平成26年12月26日付国交省関東地方整備局の「鉄鋼スラグに関する材料の分析試験結果について」と題する記者発表資料↓
http://www.ktr.mlit.go.jp/kisha/kyoku_00000671.html
http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000614913.pdf
(3)排出の状況
 大同特殊鋼の鉄鋼スラグは、過去においても産業廃棄物として処分され現在でもサンパイの扱いが為されています。
(4)取扱い形態
 大同特殊鋼の鉄鋼スラグは、独占契約により佐藤建設工業のみしか取り扱うことができません。取引市場は存在しません。
(5)占有者の意思
 大同特殊鋼は、希釈目的で有害物質を除去せず、天然砕石に有害鉄鋼スラグを混入させていました。
――――――――――
■以上のとおり、大同特殊鋼の鉄鋼スラグは産業廃棄物であり、そのことを排出者である大同自身も認めており、産業廃棄物であることに争いはないと考えられます。加えて、佐藤建設工業や製造元の大同エコメット(大同子会社)は、「鉱さい」を処理する産業廃棄物中間処理の資格も許可も有していません、そればかりかコンクリートやアスファルトなどの“がれき類”を長期固定的に処理する許可すら得ていません。すべて無許可営業・不法投棄なのです。
 また、第187回国会の経済産業委員会第8号(平成26年11月12日)において、環境省の鎌形政府参考人は次のように述べています。当該URL参照ください↓
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/009818720141112008.htm
「スラグを希釈目的で自然砕石と混合する、このような行為は廃棄物の処理には当らないということでございまして、混合されたものにつきましては、廃棄物と廃棄物でないものを混合したものとして取り扱っていくべきもの、こういうことと解釈してございます。」
 従って砕石の中に混入された産業廃棄物である、鉄鋼スラグは希釈されたものとみなすことはできず、自然砕石と混合しても鉄鋼スラグはあくまで産業廃棄物であり、有害物質が含まれていることから生活保全上支障があり、撤去しなければならないものです。
 また、この環境省の説明によると、群馬県等が行った現場での安全性を確認するため実施した環境安全品質基準の分析試験は、“廃棄物と廃棄物でないものを混合したものを均等混合しサンプリング”して得た試験結果であり疑問が湧く分析結果ということが言えます。スラグや砕石は固体であり混ざり合うことはないため有害スラグのみを分析しなければなりません。この意味で平成26年9月榛東村議会の一般質問であったスラグの有害性の村側の回答には疑問を抱かざるを得ません。佐藤建設工業の有害スラグ混合はぞんざい・いい加減で、特にソーラーパークについては有害スラグの混合率が高いため危険な状態であるといえます。群馬県においても平成27年4月24日公表の調査結果で遂に有害基準値を超過する現場を公表しました。次のURL参照↓
https://www.pref.gunma.jp/06/h8000246.html

■スラグマネーについて
 大同特殊鋼は多額の販売補助を行っていました。販売補助は次第にエスカレートし、佐藤建設工業が1年に10台ものスラグ運搬車を購入した事実から、年間1億7千万円を超える資金が、佐藤建設工業に流れたと考えられます。これは「逆有償取引」と呼ばれ、この販売形態をとるだけでサンパイ扱いされるはずです。
 この問題は第186回国会 予算委員会 第11号(平成26年2月19日)でもとりあげられ茂木敏充経済産業大臣も認めています。
 「逆有償取引」については毎日新聞の記事が参考になりますので引用します
*****毎日新聞 2014年12月30日 東京朝刊*****
http://mainichi.jp/shimen/news/20141230ddm003040044000c.html
クローズアップ2014:広がる有害スラグ 根深いリサイクル偽装
 八ッ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)の移転代替地の整備工事などで有害物質を含む建設資材「鉄鋼スラグ」が使われていた。国土交通省が26日に公表した分析結果では、スラグ使用の疑いがある国発注の56工事のうち27工事で環境基準を超える六価クロムなどが検出された。スラグを巡っては過去にもトラブルが繰り返されており、その背景に本来は産業廃棄物であるスラグの再利用を巡る「リサイクル偽装」とも言える構造的な問題が浮かぶ。【杉本修作】
◇「手数料」付け販売
 問題となったスラグは、大手鉄鋼メーカー・大同特殊鋼(名古屋市)の渋川工場(群馬県渋川市)から排出され、その大半を渋川市の建設会社が販売または自社の工事に利用したとみられる。スラグは本来、環境基準を下回っていることを前提に道路の路盤材などに許可を得て使用できる。だが今回は、群馬県内の公園や駐車場で使われたスラグから基準を超える有害物質が次々と検出され、本来使用が認められていない宅地にも使われていた。
 スラグは鉄精製時に出る副産物で、石や砂利の形状をしている。さまざまな化学物質が残存することがあり、そのままでは廃棄物処理法上の産業廃棄物となる。一方で、建設資材などとして以前から再利用され、1991年施行の「再生資源の利用の促進に関する法律」(リサイクル法)でも指定対象となった。
 大同の渋川工場も90年代半ばからスラグの製品化を始め、最盛期で年間2万トンを建設資材として出荷した。だが、毎日新聞が入手した2009年の売買契約書によると、大同側は渋川市の建設会社に1トン当たり100円で販売しながら「販売管理費」として1トン当たり250円以上(出荷量に応じて変動)を支払っていた。製品を売る側が販売額以上の費用を別の名目で支払うこうした取引は「逆有償取引」と呼ばれる。
 スラグを廃棄物として処分するには遮水などの管理が必要で、1トン当たり2万〜3万円の費用がかかるとされるが、逆有償取引なら輸送費などを負担しても同数千円程度とみられ、格段に安価だ。一方、買い取る側は購入した分だけ逆に収入が増えるため、適正な使途のあてがないのに取引を続けることになりかねない。渋川市の建設会社OBは「大同から『スラグを取りに来い』と言われれば全て引き受けた。使い道がないから許可されていない工事にも使わざるを得なかった」と証言する。
 逆有償取引は07年、山陽特殊製鋼(兵庫県姫路市)でも発覚し、リサイクル販売とされた約10万トンのスラグが淡路島で野積みのまま放置されていた。山陽は買い取り業者に運搬費など1億数千万円を支払ったとみられるが、仮に全量を廃棄物として処分していれば20億〜30億円の費用がかかった計算だ。
 スラグは原材料の3〜4割、年間約4000万トン生成されているが、鉄鋼スラグ協会(東京都中央区)のまとめによると、99%が再利用され、廃棄物などの埋め立て処分はほとんどないとしている。再利用の約半分を占めるセメント製造は100年以上の実績がある一方、近年は路盤材などの「逆有償取引」が繰り返されている。ある製鉄関係者は「スラグを廃棄物処分すれば鉄鋼価格に反映され国際競争力は保てない」と打ち明け、「リサイクル偽装」の根深さを示唆した。
◇格安、行政にもメリット
 有害スラグの拡散を生んだ別の理由として、建設業界からは行政の不作為を指摘する声も少なくない。
 スラグを使った建設資材は元手があまりかからず、競合する別の資材と比べて価格が3〜4割ほど安いとされ、費用を抑えたい自治体にとっては「渡りに船」という。群馬県では10年6月に県内工事での使用が認められたのを機に、市町村や国の出先機関で利用が広まった。だが、行政による資材の検査は行われず、安全管理は業者任せだった。
 スラグ以外の資材を扱う業者は「あれだけ安く売られたら勝負にならない。行政もそのことを知りながら(有害物質拡散の懸念を)放置していた」と憤る。
 26日に国交省が公表した調査結果に対しては、八ッ場ダム移転代替地の住民に国への不信感ものぞく。今回調査された無許可の56工事の大半は国の管理地で、住民に分譲された土地については「調査に地権者の同意が必要」だとして、一部しか行われなかった。
 ある住民は毎日新聞が八ッ場ダムの問題を報じた8月以降、国交省八ッ場ダム工事事務所の担当者が住民説明会で「住宅地にスラグは使われていない」と強調していたと証言。宅地の下にスラグが使用されていれば土壌や住民の健康に影響を及ぼす可能性もある上、撤去も困難だ。26日の国交省関東地方整備局による記者会見でも担当者は「使われたのは家の下ではなく敷地内。庭の一部」と強調し、影響を最小限に抑えたいとの思惑が垣間見える。長野原町の70代男性は「国が調査結果を公表しても、それだけでスラグの使用がとどまるとは思えない。調査で幕引きしようとしている」と危機感を募らせる。
 一方、スラグを取り扱った渋川市の建設会社は、群馬県以外に長野県などで工事を受注しており、そうした工事に有害スラグが利用された可能性も否定できない。環境問題に詳しい粕谷志郎・岐阜大名誉教授(環境生態学)は「行政は安全管理を業者任せにせず、汚染防止に主体的に取り組むべきで、スラグについても問題がある以上、使用されている資材を徹底して調査すべきだ」と話している。
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◇鉄鋼スラグを巡る主な事件やトラブル
2005年
 7月 「神鋼スラグ製品」(神戸市)が親会社の神戸製鋼からスラグを買い取った価格が通常より高く、親会社に所得を移転したとして大阪国税局が所得隠しと認定していたことが発覚
10月 JFEスチール東日本製鉄所千葉地区(千葉市)で、スラグの堆積(たいせき)場から汚染水が海に流出しながら水質測定データを改ざんしたとして社員3人を水質汚濁防止法違反で略式起訴
2007年
 8月 山陽特殊製鋼(兵庫県姫路市)がスラグをリサイクル販売した形を取りながら引き取った業者に販売額以上の運搬費などを支払う「逆有償取引」を行っていたことが判明。スラグは野積みされ健康被害を訴える苦情が相次ぎ、山陽が自社で撤去
2010年
 2月 新日鉄名古屋製鉄所(愛知県東海市)でスラグを積んだ敷地内から高アルカリ水が名古屋港に流出していたことが発覚
2014年
 1月 大同特殊鋼(名古屋市)の渋川工場(群馬県渋川市)でスラグの逆有償取引が判明。群馬県が同社を立ち入り検査
 8月 八ッ場ダム(同県長野原町)の移転代替地でも大同渋川工場から出たとみられる有害スラグが使用されたことを毎日新聞が報じる
10月 名古屋市上下水道局が発注した水道管の取り換え工事で特定の数社が請け負った約220カ所で道路が盛り上がるなどのトラブルが生じていたことが判明。埋め戻し材にスラグが使われ、水を吸って膨らんだためとみられる

■<参考>平成26年第3回榛東村議会定例会会議録第1号
www.vill.shinto.gunma.jp/gikai/03kaigiroku/.../H26teirei3.pdf
平成26年9月3日
○3番(小山久利君) 皆様、おはようございます。ご苦労さまでございます。
 質問に入る前に、議長、村長からもお話しございましたが、8月19、20日に広島県で発生しました豪雨による土砂災害で亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。
 今回質問いたしますのは、八州高原と白子の海両発電所の建設資材についてですが、具体的には有害物質を含む建設資材が使われた心配はないか、訪れた方々はもちろん、近隣住民の健康を害するおそれのある物質が含まれた鉄鋼スラグの混入された砕石が使用されていないか、確認させていただきたいと思います。議長に許可をいただきましたので、貴重なお時間をいただきまして質問させていただきます。
 以降、自席に戻りまして質問を続けさせていただきます。
○議長(金井佐則君) 3番小山久利君。
〔3番 小山久利君発言〕
○3番(小山久利君) ことし3月、第1回定例会中の全員協議会で水資源機構群馬用水管理所より調査の結果、村内の群馬用水管理道路の一部から環境基準を超える六価クロムやフッ素などの有害物質が検出されたので、路盤材を入れかえるという報告がございました。これは、舗装材料として使用された大同特殊鋼渋川工場の鉄鋼スラグから有害物質が検出されたことにより、急遽検査したことによる結果だと思います。
 これに関連して、毎日新聞の8月5日付のインターネット配信、また8月6日付の上毛新聞によりますと、鉄鋼メーカー大同特殊鋼の渋川工場の有害物質を含む鉄鋼スラグが混入した砕石が八ッ場ダムの代替地整備や、生活道路の工事に使われたと報道されました。毎日新聞によれば、有害物質は環境基準の5から23倍に達し、専門家は撤去が望ましいと指摘しているそうです。ダム関連工事の関係者によると、有害物質を含む建設資材が許可なく使われたのは代替地住宅の盛り土や周辺の生活道路などで、毎日新聞では、地権者の同意を得て建設資材の砕石を採取し、環境省指定の第三者機関に鑑定を依頼しました。
 結果、有害物質フッ素が環境基準の5から23倍検出され、また環境基準の対象ではないが、植物に影響を及ぼす強アルカリ性を示したと書いてあります。
 スラグをめぐっては、大同特殊鋼の渋川工場から出た有害物質を含むスラグが、渋川市内の建設会社に販売されたときに、販売額より高額な引き取り料と見られる逆有償取引だったことが問題化しました。今回の代替地をめぐる工事にも同じ建設会社が関与しており、同社はこれまでダム関連工事十数件に参加し、大同から引き取ったスラグを天然砕石にまぜて使っていた。国交省も同様の情報から現場の砕石を採取し、スラグと見られる砕石を確認し、業者から事情を聞いていると報道されました。
 本村でもゴルフ場跡地に太陽光発電所をつくるに当たり、格安で造成工事をしていただけるということで、渋川市内の業者により平成24年1月12日から2月29日までの工事で4万9,300平方メートルの造成を終了しました。その後、平成24年4月5日から7月31日にかけて自然エネルギー施設関連安全修景整備工事として同事業者に外構工事も契約しております。そして、大雨による災害復旧工事でもこの同一業者の砕石が使われていると思います。この業者が、毎日新聞で報道された渋川市内の建設会社と同一会社であることがわかり、非常に心配しているところです。
 そこで総務課長にお尋ねいたします。
 このような報道がされたことはご存じでしょうか。
○議長(金井佐則君) 村上総務課長。
〔総務課長 村上和好君発言〕
○総務課長(村上和好君) 大同特殊鋼のスラグの関係については、前の課のときに群馬用水の関係についてはうちのほうもかかわりがありましたので、その関係については承知しているところです。
 大同特殊鋼の関係の県の工事の関係ですが、平成21年度以降、27工事で鉄鋼スラグを含む砕石を使用したことが確認されております。内訳では、県の森林部の工事が2工事、農政部が4工事、県土整備部は21工事でした。なお、施行に当たっては、県では品質規格証明書により安全性を確認しておりまして、現場で安全性を確認するため、環境安全品質基準の分析試験を実施しているところです。
 その結果、抽出されました6工事につきましては、全てこの基準値に適合していることが確認されております。
 以上です。
○議長(金井佐則君) 3番。
〔3番 小山久利君発言〕
○3番(小山久利君) そこでこの一連の発電所建設に当たる工事の中で、どのくらいの量の砕石が使われたのか教えてください。
○議長(金井佐則君) 暫時休憩します。
午前9時22分休憩
───────────────────────────────────
午前9時23分再開
○議長(金井佐則君) 会議を再開します。
村長。
〔村長 阿久澤成實君発言〕
○村長(阿久澤成實君) 私のほうからお答えさせていただきます。
 過日、議長名で設計書の情報提供の請求があり、写しを提供してある2件についてのお尋ねだと思っております。
しかしながら、造成の過程においては施工土、必要となった砕石については、無償で入れていただいたものもありますので、また外周道路についても全国議長会の視察が予定されておりまして、5月3日の集中豪雨災害箇所視察のときに、私が当業者に現地でここへ入れたらどのくらいお金がかかるんですかということで見積もりをお願いした経緯がございます。
 しかし、そのときに金額で約250万円ほどかかりますよねという見積もりをいただきまして、いろいろ精査したところ予算化できないということで、依頼をとめた経緯がございます。そして、6月末の完成時にそれを当該社長が覚えておりまして、全国の議長さん方が訪れるのに恥をかかせないという思いで、村長の意を酌んで無償で実施してくれた経緯がございます。そのような状況の中で、平成24年度、平成25年度の両年に村が発注したものについては、鉄鋼スラグは使用されておりません。
 それから、無償で提供していただいたものについては、国土交通省、県環境森林部の調査の結果、全て安全基準をクリアしているものであると報告を受けております。そのような状況の中で、村で発注したものについては、それ以上というか、量としてはちょっと把握できませんけれども、無償で入れたものもそういう状況ですので、量の確認はできないということでございます。
 ただ、面積からいいますと、外周道路のフェンス延長が約800メートルございます。それから、外周路の幅については約10メートル、それから進入路は約100メートルで道路幅は約7メートルと推定されます。厚みについては不明でございます。それから、ビジターセンター付近のものについては、造成工事は含まれておりません。
以上です。
○議長(金井佐則君) 3番。
〔3番 小山久利君発言〕
○3番(小山久利君) 工事の施工については公共事業の一般的なルールからすれば、使用材料の基準は仕様書等で定められていると思います。国交省ではダム関連工事に天然砕石を使用するよう義務づけ、渋川市の建設会社から提出された材料証明書にも「天然資材」と記入されていたそうです。
 村の工事で使用材料の基準、使用材料証明書はどうなっているのか、その辺仕様書に記載されていたのか、教えてください。
○議長(金井佐則君) 総務課長。
〔総務課長 村上和好君発言〕
○総務課長(村上和好君) 今回のうちのほうの造成工事の中では、この砕石の関係については設計書にも入っておりません。もちろん仕様書にも入っていないということでございますので、入っていないものについて証明書をとるということはしていないということです。
以上です。
○議長(金井佐則君) 3番。
〔3番 小山久利君発言〕
○3番(小山久利君) 工事の手順として基準の仕様書とか、業者からの使用証明書の提出の必要がないものでよろしいんですか。
○議長(金井佐則君) 総務課長。
〔総務課長 村上和好君発言〕
○総務課長(村上和好君) 通常の工事であれば、例えば、建設課が発注する道路工事、これにつきましては、設計書はもちろん、また設計図、また仕様書等があると思います。その中で使用材料についてうたっていると思います。ただ、今回の造成工事につきましては、設計仕様の中に入っていない、ということでございますので、それをうちのほうからあえて証明書なり、そういうものを求めるということのものはないということです。
○議長(金井佐則君) 3番。
〔3番 小山久利君発言〕
○3番(小山久利君) 証明書がないということで、発電所用地以外にビジターセンターと称する周辺施設でも同じく開発した面積とその使用した砕石の量はわかるものでしょうか。先ほど村長から外周道路とかの説明はあったんですけれども、ビジターセンター周辺ですね。その開発した面積と使用した砕石の量を教えてください。
○議長(金井佐則君) 総務課長。
〔総務課長 村上和好君発言〕
○総務課長(村上和好君) そちらのほうについても、先ほど言ったように設計図書に入っておりませんので、それの証明の関係については求めておりません。
○議長(金井佐則君) 暫時休憩します。
午前9時29分休憩
───────────────────────────────────
午前9時30分再開
○議長(金井佐則君) 会議を再開します。
総務課長。
〔総務課長 村上和好君発言〕
○総務課長(村上和好君) 余りあやふやなことを言ってしまうとあれなんですけれども、先ほど言ったように設計図書に入っていないということでございますので、面積的なものはここでは言えないということでよろしいでしょうか。
○議長(金井佐則君) 3番。
〔3番 小山久利君発言〕
○3番(小山久利君) 面積はわからないということで、当然入れた砕石の量もわからないということでよろしいんだと思います。こちらの砕石についても、仕様書や使用材料証明書はないということでよろしいんでしょうか。
○議長(金井佐則君) 総務課長。
〔総務課長 村上和好君発言〕
○総務課長(村上和好君) 先ほども言ったとおり、設計図書に入っていないということでございます。あくまで無償という形ですので、そういう証明書はありません。
○議長(金井佐則君) 3番。
〔3番 小山久利君発言〕
○3番(小山久利君) このスラグに関しては、強アルカリ性ということで一定の植物にも反応するということで、たしかあの周りにはラベンダーを植えたはずですが、今行ってみても見当たりません。影響が疑われるとすれば、この場所は榛東の上位部でもあり、環境や水質にも影響するところです。
 渋川市でも市内の11カ所で検査を実施し、環境基準を超えるフッ素などを検出したとしていますが、榛東村でも検査を実施していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○議長(金井佐則君) 村長。
〔村長 阿久澤成實君発言〕
○村長(阿久澤成實君) ラベンダーの話からさせていただきます。
ラベンダーは、もともと上記の建設会社からご寄附をいただいたものであります。そして、現地の冬場での囲いの寒冷に対しての管理が不十分であったことと、それから管理上のミス、というのは、草刈り等で刈り取ってしまったところがあります。そして、村で予算化して購入した大鉢のものはちゃんと生育しております。これは確認をしております。それから、もしということで答えさせていただくのはどうかと思うんですけれども、質問でありますので答えさせていただきます。調査をするのであれば、全村の建設箇所に該当するのではないかというふうに思っております。しかしながら、渋川市で既に実施していますが、その中で数値に異常のあった箇所も当時の環境基準に合っており、その環境基準等が変更になった平成22年度以降のものは全く異常数値を示していないことが公表されております。必要となるのは、平成21年度以前である本件のお尋ねの箇所については調査の必要はないというふうに考えております。
○議長(金井佐則君) 3番。
〔3番 小山久利君発言〕
○3番(小山久利君) 調査の必要がないということで回答をいただきました。
 次に、白子の海のソーラーポートについてお聞きします。
 この事業も自主財源の確保ということで農業用水維持管理基金から2億円を取り崩し、シャープとの随意契約で工事が行われたと記憶しています。この工事にもやはり渋川市内の建設会社が関係したと記憶しております。この工事においても砕石が使われていると思うんですが、品質を明記した仕様書等があるのか教えてください。
○議長(金井佐則君) 総務課長。
〔総務課長 村上和好君発言〕
○総務課長(村上和好君) この現場につきましても、先ほど言ったとおり同様でございまして、設計図書等に入っておりませんので、その辺の証明はございません。
○議長(金井佐則君) 3番。
〔3番 小山久利君発言〕
○3番(小山久利君) ここもないとすると、どの品質の砕石をどのくらい入れたというのも全くわからないでしょうか。
○議長(金井佐則君) 村長。
〔村長 阿久澤成實君発言〕
○村長(阿久澤成實君) 先ほどから申し上げておりますように、その骨材については、今問題になっているのは21年度の前の骨材がこうだああだというお話であって、今ご指摘のものは24年、25年にまたがった工事で採用させていただいたものでございます。これには全くそういったものの疑念はないという報告を受けております。
以上です。
○議長(金井佐則君) 3番。
〔3番 小山久利君発言〕
○3番(小山久利君) 渋川市の建設会社社長は、毎日新聞社の取材に対し、スラグが誤ったことはあるかもしれないが、故意に入れたことはない。仮に出てきたとしても混入がわずかであれば、有害物質の影響は低いから障害はないと説明したそうです。
 しかし、鑑定結果では、環境基準の5から23倍という数値が検出されています。誤ってスラグが混入したことがあるかもしれないと発言していることがあるわけです。また、同社の砕石が使われた可能性も高いわけですから、やはりこれは検査する必要があると思いますが、どうでしょうか。
○議長(金井佐則君) 村長。
〔村長 阿久澤成實君発言〕
○村長(阿久澤成實君) 社長がどういうふうにおっしゃったかわかりませんけれども、先ほどから申し上げておりますように、疑問を持たれている骨材については、21年度前のものについてもそこの当時はクリアしていたと。22年度からその基準が違ってきたというものであって、村で発注しております24年、25年の骨材については、ないというふうに私は思っております。
 それから、先ほど課長のほうからも話されましたように、群馬県では平成21年以降、27工事で大同特殊鋼の鋼材スラグを含む砕石を使用した箇所を確認した中で分析結果をしたところ、基準以内であるという報告を受けておりますので、またインターネットでも出ておりますので、そのことを私たちは信じて、ないというふうに思っております。
○議長(金井佐則君) 3番。
〔3番 小山久利君発言〕
○3番(小山久利君) 白子さんも非常に協力的に快く土地を貸していただき、また榛東村でも数少ない食品を扱う大手の企業ですから、この先も友好な関係を保つという観点からもぜひ検査をしていただき、公表していただくことで安心できると思います。
 次に、八州高原の榛東ソーラーパークの第2の目的であります観光の拠点ということで、ことし桜の苗木を植えました。ふだんゲートで閉ざされているこの周辺に今後も投資をして観光開発をしていくのか、お聞かせください。
***以下略***
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