市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

大同スラグ住民訴訟…7.10第1回口頭弁論が開かれた前橋地裁201号法廷の模様

2015-07-10 23:28:00 | スラグ不法投棄問題
■鉱滓ともよばれ、産業廃棄物に区分されている鉄鋼スラグですが、群馬県渋川市にある大刀特殊鋼渋川工場からも、年間2万数千トン排出されています。多くの製鋼メーカーが海岸沿いに立地していますが、群馬県の場合、内陸にあるため、これらの有害な産業廃棄物はきちんと処理、処分されないと環境汚染の元凶になってしまい、水源県でもあることから、下流の首都圏の大勢の住民への生命や健康などにも重大な影響を及ぼすことになります。にもかかわらず、農政部がこの有害な鉄鋼スラグを農業地帯である東吾妻町萩生地区で農道に大量に敷き込んだことが発覚したため、市民オンブズマン群馬では直ちに撤去を県や出先の吾妻農業事務所に要請しました。ところが、行政側はこれを無視したばかりか、その上に舗装工事で蓋をするという暴挙に出ました。そのため、当会では住民監査請求を経て住民訴訟を提起しました。その第1回口頭弁論が本日、平成27年7月10日(金)13時10分から前橋地裁201号法廷で開かれましたので、その概要を報告します。

大同スラグ不法投棄にかかる公金不正支出事件の住民訴訟第1回口頭弁論が開かれた前橋地裁。

 当日、朝9時から別件で県庁に行く用事があったため、その前に前橋地裁1階ロビーに立ち寄りました。本件の裁判長が誰かを逸早く確認したかったからです。

 地裁1階ロビーには、次の内容の張り紙がしてありました。
**********
7月10日(金)第21号法廷
開 始:13:10 終了予定:13:20
第1回弁論
事件番号:平成27年(行ウ)第7号
事件名:住民訴訟事件
当事者:原告:小川賢 外
被 告:群馬県知事大澤正明 被告代理人:関夕三郎
担 当:民事第2部合議係
    裁判長 原道子
    裁判官 吉賀朝哉
    裁判官 根岸聡知
    書記官 近藤直樹
**********

 愕然としました。懸念が的中してしまったからです。これで、この裁判の結末が見えてしまったように感じました。

■それでも気を取り直して、県庁内の各部署を回り、別のいくつかの案件について情報共有化などを行った後、12時30分ごろ地裁2階に行き、開始時間まで待機していました。

 12時50分ごろ、当会の事務局長と合流し、提出書類の確認を行いました。マスコミは2社の記者が顔を出しました。13時に201号法廷の傍聴席側のドアの鍵が開けられ、関係者がゾロゾロと入っていきました。とくに群馬県職員が大挙、公務時間を割いて押しかけました。一様に、前を向いて歩き、当会が挨拶しても視線をこちらには投げかけてもらえず、挨拶への返事も1名の職員が会釈をしただけで、いずれも緊張の面持ちで傍聴席側のドアから室内に入っていきました。

 原告である当会の代表と事務局長も、出席カードの自分の氏名欄に出席を示す○印をつけて、法廷内にある原告席に就きました。書記官が、訴状記載の原告の順番に、裁判官席に近い奥のほうから当会の代表と事務局長が着席するよう指示しました。

 前を見ると、驚いたことに、被告席には、被告・群馬県から訴訟代理人である弁護士2名(関夕三郎、笠本秀一)に加えて、指定代理人として農政部農村整備課の関係職員ら6名の合計8人が被告席に就いたことです。さらに傍聴席にも5名の県職員が陣取りました。傍聴席にはその他に、新聞記者2名と市民オンブズマン群馬の会員のかたがたが姿を見せていました。

 被告の訴訟代理人の関弁護士は、富岡市に住む当会の会員が、家の近くの河川跡の県有地に廃棄物が放置してあるのを群馬県職員に通報し、是正措置を懇願したにもかかわらず、県河川課が違法行為を黙認していた事件で、当会会員が群馬県を相手取り住民訴訟を提起した際に、被告・群馬県側の訴訟代理人だった人物です。この事件も、今回と同じ裁判長が訴訟を指揮し、被告側の本案前の主張を全面的に採用して、原告住民の当会会員は門前払いの敗訴にさせられてしまいました。当会の次のブログを参照ください。
○2014年11月4日:11年間も県有地不法占拠を指摘した住民を黙殺し違法行為者を優遇した県土整備部のコンプライアンス欠乏症↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1446.html
○2014年12月16日:富岡市内廃川敷地の不法占有者のゴネ得に屈し通報者には高飛車な群馬県県土整備部の長い物には巻かれろ主義↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1487.html
○2015年1月18日:富岡市上丹生の県有地不法占拠に係る群馬県の不作為事件第2回口頭弁論が4分半で結審・・判決1月30日↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1512.html
○2015年2月3日:行政の腐敗・怠慢を監視するどころか増長させる前橋地裁・原道子裁判長の仰天判決!
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1522.html

■そこで当会では、思わず被告席に向かって、「県の職員の方々が6名もいらっしゃいます。力が入っていますねぇ」と感想を投げたところ、被告訴訟代理人の関弁護士は「大事件ですから」と答えました。確かにその通りです。

 第1回弁論開始5分前の13時5分に、地裁の近藤書記官から「訴状の3ページに、さらにもう一か所誤記と思われる個所があるので、訂正してもよいか。27年ではなく26年だと思われる」という趣旨のコメントが有りました。たしかに、年号が間違っているので、ただちに修正し、既に提出済みの原本と副本も訂正することにしました。被告側にある訴状の副本も、当該個所に二本線を引き、6→7と訂正しました。訴状の原本も訂正すべく書記官が裁判官控室に電話をしたところ、既に控室を出発した後のようでした。

■13時10分、女性裁判長が二人の陪席裁判官を従えて入室してきました。書記官が「起立をお願いします。平成27年行ウ第7号」と事件番号を読み上げると、その場にいた全員が起立をして、裁判官席に向かって一礼しました。

 裁判長は着席後、裁判資料綴をくくりながら、「それでは先ほど読み上げられた事件の第1回口頭弁論を開始します」と宣言しました。

 次に、裁判長は原告に向かって「訴状について、訴状訂正申立てを出してもらってはいるが、誤記ではないかと思われるところがもう1箇所ある」と指摘しました。これは先ほど書記官が指摘した箇所の事を意味しているため、書記官から裁判長に、「第1回弁論開始前、訂正箇所について既に、被告が持つ訴状副本と原告の訴状控は修正済みであること、原本の訂正を行う必要があること」が伝えられました。

 そして、原本の誤記箇所も訂正が済んだのを確認してから、裁判長は、原告に向かって「訴状及び訴状訂正申立て、原告準備書面(1)、証拠説明書、甲号証、これらをいずれも陳述したことでよいか?」と確認を求めて来たので、原告は「はい」と答えました。

 それから「甲10号証について原本の確認をする」というので、原告は、あらかじめ書記官から言われて持参した、甲10号証として写しを提出した住民監査請求の原本を書記官に手渡し、裁判長らと被告側に確認をしてもらいました。

 続いて、裁判長は「甲11、12号証も同様に原本確認をする」というので、これらについても、原告らは、あらかじめ用意して持参した萩生地区の農道舗装工事と圃場整備補完3工事の入札・契約関係情報開示請求に対する県吾妻農業事務所からの、決定延長通知書2通の原本を、同様に裁判長らと被告らに見てもらいました。本来であれば、これらは被告・群馬県が発行したものですから、被告は当然こうした文書を承知している筈ですが、裁判ではわざわざ、こうした形式主義を踏襲するのが慣例となっています。

■こうして、これまで提出された裁判資料の確認が済んだあと、裁判長は原告に向かって。「以上で、訴状、訂正申立て、原告準備書面、甲号証を確認したが、このほかに陳述漏れはないか?」と確認を求めて来たので、原告は「現時点では、このほかにはありません」と答えました。

 すると裁判長は、「裁判所から、こういうことをしてきてほしいというお願いをしたい」として、今後の予定について言及しました。

 そして最初に、原告に対して、裁判長は「原告は答弁書の2ページ目に“第2 本案前の主張」というのがある。これに対しての反論があれば、今すぐでなくてもよいが、反論をすること」と具体的に訴訟指揮をしました。

 これを聞いた原告・住民は、これまで提起した数多くの住民訴訟のすべてで敗訴させられた要因のトップを占めるのが、裁判所=行政側からの「この本案前の主張」というイチャモンだったことため、今回も、本案に入れないまま、敗訴させられたのではたまりません。そのため、裁判長に対して、原告として「こちらからも裁判長にお願いがあります」として、次のメッセージを発しました。

「裁判長。この反論はしますが、こういった行政訴訟の場合、必ず住民から提訴されると、行政側は“訴訟適格”云々と言って来るのがいつものくだりです。したがって、裁判長におかれましては、このスラグ問題の重要性を鑑みて、きちっと訴訟指揮をしていただきたいと思います」

 これに対する裁判長からの反応のコメントはないまま、裁判長は「原告については、答弁書の2ページ目の本案前の主張について、反論する場合は反論すること」と改めて原告に対して、反論の意思の有無について念押しをしてきました。

■次に裁判長は被告・群馬県側に向かって、「被告は、原告準備書面(1)の3ページと4ぺージで原告が陳述している第4項と第5項の理由について反論をお願いしたいので、そのようにお願いしたい」と訴訟指揮をしました。被告の訴訟代理人は頷いただけでした。

 ちなみに、原告準備書面(1)の第4項とは、裁判所から事前に求釈明の在った5項目のうちの4番目の「4 本件舗装工事にかかる請負契約に基づきなされた公金の支出は、具体的にいかなる事実が、いかなる法に反し「違法」(訴状3頁11行目)なのか、説明されたい」という質問について、原告住民が次のように回答した内容についてです。

 原告らの回答は次のとおり。本件事件は、地方自治法第2条第1項14号、16号及び17号に該当する。参考までに、これら各号を次に示す。
14 地方公共団体は、その事務を処理するに当つては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。
16 地方公共団体は、法令に違反してその事務を処理してはならない。なお、市町村及び特別区は、当該都道府県の条例に違反してその事務を処理してはならない。
17 前項の規定に違反して行った地方公共団体の行為は、これを無効とする。

 「萩生川西地区農道舗装工事(本体舗装工事)」(以下、「本件工事」という。)工事の工事代金の支払いそのものは、財務行為として違法性はないかもしれないが、これに先行する行政行為に違法性が認められる場合には、後者の財務行為も当然違法となると考える。
 今回の事件では、「再生砕石」と詐称された有害な鉄鋼スラグ混合砕石が、廃棄物処理法で定めた中間処理業の資格を持たない訴外大同特殊鋼株式会社及び佐藤建設工業株式会社から納入され、本件工事現場に持ち込まれて使用されていた。鉄鋼スラグは、鉱さいと呼ばれる産業廃棄物であり、それを中間処理業の資格を持たないまま、訴外大同特殊鋼と佐藤建設工業が天然砕石と混ぜ合わせ、「再生砕石」と詐称して、大量に、「萩生川西地区 区画整理補完3工事」の現場に持ち込んで、道路敷等に路盤材等として使った。この「再生砕石」と詐称された産業廃棄物の所在について、群馬県は遅くとも平成26年1月28日のマスコミ報道で知り得ていたはずである(甲第13、14号証)。
また、 群馬県森林環境部が平成26年1月27日におこなった立ち入り検査の結果、平成26年4月22日廃棄物の処理に関する指示書をだし(甲第4号証)、鉄鋼スラグを産業廃棄物である「鉱さい」と認定している。農業事務所は、環境森林部に二度も確認を怠ったことになる。
 にもかかわらず、群馬県吾妻農政事務所は、原告が再三にわたり「有害スラグを撤去するのが先決で、舗装工事はその後実施するように」と要請したのを無視して、舗装工事を強行した。
 従って、その原因となる行為が法令に違反し許されない場合の財務会計上の行為も同様に違法となるのであるから、廃棄物処理法違反に該当する行政行為を知りつつ、有害スラグに蓋をするべく、群馬県が舗装工事のために業者に公金を支払ったことは、違法であるということができる。
 なお、この論理で言えば「萩生川西地区 区画整理補完3工事」の現場に持ち込まれた廃棄物処理法違反の有害な鉄鋼スラグ混合砕石(甲第15号証)についても、損害賠償請求の対象であるが、こちらは原因者負担で、追って被告により回復措置がとられるものと見られるので、今回の請求対象には含まない。


 また、原告準備書面(1)の第5項とは、「5 群馬県知事は、いかなる理由から吾妻農業事務所長に対して損害賠償請求権又は不当利得返還請求権を有するのか、説明されたい」とする裁判所からの求釈明項目です。原告住民はこれに対して次のとおり回答しました。

 原告らの回答は次のとおり。
 地方自治法第243条の2第3項は「普通地方公共団体の長は、第一項の職員が同項に規定する行為によって当該普通地方公共団体に損害を与えたと認めるときは、監査委員に対し、その事実があるかどうかを監査し、賠償責任の有無及び賠償額を決定することを求め、その決定に基づき、期限を定めて賠償を命じなければならない」と定めており、第一項で故意又は重大な過失により職員である吾妻農業事務所長が無駄な支出をしたのであるから、群馬県知事は、この職員に対して損害賠償を命じることができるはずである。


 裁判所と行政側の作戦は、まず「本案前の主張」で原告住民の訴訟適格についてイチャモンを付け、さらに次の段階では住民監査請求と住民訴訟の根拠法である地方自治法第242条の2の訴訟要件についてイチャモンを付け、2段階で敗訴に導く、というのが、これまで当会が数多く争って来た住民訴訟のパターンです。今回もそれを忠実に踏襲していると思われます。

 既に裏では、裁判所と行政との間で、この訴訟指揮内容は調整済みなのでしょうが、一応、原告の前で訴訟指揮をしないとデキレースを疑われかねないため、このように訴訟指揮をしたものと思われます。

■原告と被告の双方に訴訟指揮をした裁判長は「以上、これらが裁判所から、原告準備をお願いした事項であるが、他にこういうことを予定しているということがあれば言ってほしい」と今回の第1回口頭弁論における最後の訴訟指揮を行いました。

 そこで原告住民として次の趣旨のメッセージを裁判長に向け発信しました。

 「原告として今回は一応、住民監査請求の前置主義に基づいて、県の監査委員の貴重な時間と予算を費やして、今回の事件の経緯や背景を調べてもらいました。監査結果にはいろいろなことが書いてあるので、やはりスラグ問題の各論に入った場合、スラグの取り扱い方がどうなっていたのかについて、我々原告としては、被告側に認識してもらいたいと思っています。それに関連して、いつくか被告に対して質問を含めて、求釈明の形で出したいと思っています。その求釈明を含めて原告準備書面(2)で予定しております」

 裁判長は、「それでは原告から求釈明が出されるということだが、被告からは何かあるのか?」と被告・群馬県側に質問しました。

 被告の訴訟代理人は、臨席している6名の群馬県農政部農村整備課関係の幹部職員らのほうを見て、何かあるのかどうか、コメントを促していましたが、幹部職員らはただ黙っているだけだったため、裁判長は返事を待ちきれず「現時点では、裁判所からさきほどお願いしたとおりの対応でよいと思っているということか?」と改めて被告に質問をしました。

 これに対して被告の訴訟代理人の弁護士は「はい」と答えていました。

■続いて、今後の訴訟スケジュールについて裁判長が言及しました。

 原告としては、「原告準備書面(2)は8月末までに提出したいと思います。ただし、次回開廷がいつになるのかによりますが、多分お盆前にはならないでしょうから、その場合8月末をめどに提出します」と答えました。

 裁判長は「では、被告のほうはどうなのか?」と質問したところ、被告の訴訟代理人は「8月末でよい」と答えたので、裁判長は「では、原告、被告ともそれぞれ8月末までに準備書面を用意する事」と言いました。

 続けて裁判長は「それから原告準備書面(1)の3ページ目の下から5行目に、群馬県吾妻農政事務所とあるが、これは農業事務所の誤記と理解してよいか」と原告に質問をしてきました。

原告が当該箇所を確認したところ、確かに誤記だったので「原告準備書面(1)の3ページ目の5行目の“農政”を“農業”に訂正して陳述します」と答えました。

■最後に、次回第2回口頭弁論期日の日時について裁判長が指揮をしました。

 裁判長は、「原告準備書面(1)からすると、被告に公文書開示請求をしたが決定期間が早くても8月20日ということになっている」と原告にコメントを出しました。

そのため、原告としては「早くても8月20日に契約情報が開示された場合でも、8月末までの10日間で原告準備書面(2)を仕上げて提出するのは無理だと思われます。できれば9月10日までとしたいと思います」と答えました。

裁判長は、それを踏まえて「もし被告から8月20日に情報開示が有った場合には、原告の準備書面(2)の提出締切りは9月10日(木)までとする」と言いました。

 そして、裁判長は被告に対して「被告の準備書面提出期限は8月末でよいか。それとも更に先に延ばすのか?」と質問しました。

被告の訴訟代理人は「どちらでもよい」と答えたので、裁判長は「では、被告の準備書面提出は8月末までとする」と言いました。

 その上で裁判長は「次に原告と被告にこの裁判所に来てもらう日についてだが、9月18日はどうか?」と提案してきました。被告の訴訟代理人は「差支える」と答えました。原告は「できれば9月20日以降でお願いします」と言いました。

 裁判長は「では、10月2日(金)はどうか?」と再提案をしてきました。原告は「OKです」と答えました。被告も同意しました。

 裁判長は「時間の希望については、午前中の10時がいいか、それとも午後の1時半がよいか?」というので、原告は「午前10時ごろがいいです」と希望を伝えました。被告も異論がなさそうなので、裁判長は「では10時半でもよいか?」と具体的な時間を提示したので、原告、被告ともに同意しました。

 裁判長は「それでは、第2回弁論期日は10月2日(金)10時半にここで開廷します。原告には、被告が8月末までに準備書面として出されたものに対して反論が有れば、9月25日までに準備書面(3)として提出してもらえるか?」と言うので、原告からは「はい、わかりました」と返事をしました。

 裁判長は本日の閉廷を宣言すると、2名の陪席裁判官を伴って、201号法廷を去っていきました。

■以上で、本日の第1回口頭弁論期日が終了となりました。傍聴席の後ろ側の壁にかかっている時計を見ると13時22分を指していました。第1回目の弁論に要した時間は12分ほどだったことがわかります。

 このように行政訴訟では、行政側から裁判所に対して、あるいは裁判所から行政側に対しては、法廷内で具体的な質疑のやりとりは殆ど行われないことがわかると思います。なぜなら、裏で直接県の幹部が、あるいは訴訟代理人を通じて間接的に裁判所と連絡を密にとっているからです。

 読者のみなさんは「ではなぜオンブズマンは訴訟代理人を起用しないのか」という疑問を持たれるかもしれません。それは訴訟代理人を起用すると、たしかに手間いらずですが、弁護士も裁判官も司法試験に合格した間柄であり、司法修習生第何期ということで、先輩、後輩関係が互いに存在し、裏で密約を交わしたりして、きちんと判決を出さずに、中途半場に和解を訴訟依頼人に持ちかけるためです。和解になれば、裁判官も判決文を書かずに済ませられますし、名裁判官だとして評価も高まるそうです。

 このため、訴訟家庭における、判事と弁護士との間の密室的な取り決めをできる限り排除するには、訴訟代理人を起用しないのが費用対効果の観点からも、住民の主張を審理の過程で少しでも相手側に伝える意味でも、当会としては、本人訴訟がベストの手段だと確信しているからです。

 引き続き、この大事件の裁判の行方にご注目ください。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※上記の法廷内の口頭でのやりとりは、出席・傍聴した当会会員のメモと記憶により構成したものであり、概ね間違っていないとは思いますが、発言内容を正確に表してはありませんので、あらかじめ認識ください。
ただし、もし事実と異なっている箇所が有ると判断される場合には、FAXやメールで書面でご指摘、ご連絡いただけると幸いです。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする