田舎に住んでる映画ヲタク

「映画大好き」の女性です。一人で見ることも多いけれど、たくさんの映画ファンと意見交換できればいいなぁと思っています。

チャイルド44 森に消えた子供たち(Child 44)

2015年08月31日 07時32分23秒 | 日記

 

 2009年版「このミステリーがすごい!」海外編で1位を獲得したトム・ロブ・スミスのミステリー小説「チャイルド44」を映画化。1950年代、スターリン体制下のソ連を舞台に、子どもを狙った連続殺人事件の行く末を、リドリー・スコット製作、トム・ハーディ&ゲイリー・オールドマンの共演で描く。監督は「デンジャラス・ラン」のダニエル・エスピノーサ。53年、ソ連で9歳から14歳の子どもたちが全裸で胃を摘出され、溺死した変死体として発見される。しかし、犯罪なき理想国家を掲げるスターリン政権は、殺人事件は国家の理念に反することから、事故として処理してしまう。秘密警察の捜査官レオは、親友の息子の死をきっかけに、自らが秘密警察に追われる立場になりながらも事件の解明のため捜査を開始するが……。(映画.comより)

 

 

 少し前に「トムハ3連発」と称して(?)「マッドマックス」「チャイルド44」そして「オン・ザ・ハイウェイ」がほぼ同時に公開されていました(*都会のみ)。でも、上映館が少なかったこともあり、結局「マッドマックス」しか見れずに諦めていると、ふいに田舎に降りて来ました。時期がずれているうえに、さっさと見ないと2週間で終わってしまう、しかも2週目は夜一回上映になると言う際どさ。最初から一日2回しか上映してないのに!走る、走る。急いで見に行って来ました。

シリアスな映画でしたね。本編だけで137分の長丁場、緊張の連続でした。

冒頭は1933年の「ホロモドール大飢饉」。当時のソ連が、ウクライナに過重の税(というより根こそぎ生産物を奪っていった)をかけて人工的に起こした大飢饉です。それにより、餓死者が続出。多くの孤児が発生しました。主人公の少年も、そんな孤児。弟と共に収容されていた孤児院を一人抜け出し(食料を探しに行った?)、森の中で迷子になったあげくに警戒に当たっていたKGBに拾われ、レオという名を与えられ、兵士として生きてゆくことになります。

不敵な面構えに寡黙でがっしりとした体格。トム・ハーディ演じるレオは順当に活躍しています。そしていろんな巡りあわせから、戦争(第二次世界大戦)のヒーローとなり出世してゆきます。時はスターリン政権下。「楽園に殺人は存在しない」という究極の理想論の元、明らかに殺人と思われる子供の変死体に至るまで、闇に葬られてゆきます。親友の子供が亡くなったときですら政府の言う通りに行動していたレオはしかし、自分の妻までスパイ容疑を懸けられるに至って彼女を弁護し、地方に左遷されてしまいます。

しかし、そこでも異様な子供殺人事件が連続していることを見つけ、左遷されてこだわるものがなくなったからか、彼は俄然立ちあがります。政府の暗殺命令を受けた追っ手が迫る中、妻と二人独自の調査を続け、少しづつ真実に近づいてゆくのです。

このメインのお話に、ゲイリー・オールドマンやヴァンサン・カッセル、叱責されたことを根に持つ元部下のジョエル・キナマンなどが絡みます。

映画は重厚でよくできた話に仕上がっていました。しかし、原作とかなり違うようですね。映画にまとめるため、話を変えることはよくあることとしても、今回は重要なところを差し替えてしまっていたり、筋を追うことに一生懸命で駆け足になってしまっていたこともあり、話の焦点がぼやけてしまっているように思いました。つまり、原作を読んでいない私なんかは、結局なんだったのかがわかりにくい、ということです。

せっかくこれだけの作品を扱うのだから、もう少し上手に脚本を練ってあれば名作たりえたかもしれません。役者さんたちがみな良かっただけに、残念です。

とはいえ、よくできた作品に変わりはありません。少し長いですが、軽くない作品を見たい時は、どうぞ。

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