「グレート・ビューティー 追憶のローマ」などで知られるイタリアの名優トニ・セルビッロが、失踪した政治家とその替え玉になった双子の兄弟を1人2役で演じたヒューマンドラマ。イタリア統一選挙を目前に控えたある日、支持率が低迷しているイタリア最大の野党の党首エンリコが、突如として行方をくらませた。困り果てたエンリコの部下アンドレアは、エンリコの双子の兄弟ジョバンニを替え玉に起用。するとジョバンニは、ウィットとユーモアに富んだ言葉で瞬く間に世間を魅了していく。一方、エンリコはパリで暮らす元恋人ダニエルの家に身を寄せていた。共演に「フォンターナ広場 イタリアの陰謀」のバレリオ・マスタンドレア、「ふたりの5つの分かれ路」のバレリア・ブルーニ・テデスキ。「そして、デブノーの森へ」のロベルト・アンドが監督を務めた。「イタリア映画祭2014」では「自由に乾杯」のタイトルで上映されている。(映画.comより)
粋な映画でしたね~。物語の筋は、よくある話なんです。人生と世の中の世知辛さに疲れた大物政治家が一時失踪。党ブレーンは、双子の兄弟を使って(なんでそんなに都合よく双子なんだ!)その場しのぎの窮策を打つが、バックグラウンドが全く違い社会的には成功していないように見える片割れが、実は人間味に溢れる人物だったため、事態は思わぬ方向へと転がってゆく・・・ね、聞いたことあるでしょう?絶対に一度や二度は映画で見たようなお話。
でも、その「よくある話」がおしゃれに仕上がっているんですね。不思議ですね、何が違うんでしょうね。主演俳優のうまさ?もちろん名優でした。でも、個人的には、過去の女性の話を絡めたのが成功のもとだったと思うのです。久しぶりに見たヴァレリア・ブルーニ・テデスキの素敵だったことったら!!もうどうしましょう、って感じです。50歳を過ぎてのあれほどの色っぽさ!丁稚奉公に行きたいくらいです(笑)。うらやましい!
人生における社会的な成功は、得てして苦痛をもたらし追い詰められるもの。それは、別に成功してなくても、生きてゆくと言うことはそういうものなのかもしれません。かの「ローマ法王・・・」だって数日逃げ出したのですから(笑)。そして同じ理屈で、気ままに生きている人間だからと言って、みなが人間味あふれる素晴らしい人だとも限りません。最後は観客をもけむに巻く不思議なオチで、なにやら置いて行かれたような感覚でした。
ヒューマニズム溢れる作品でしたが、多分それがメインではなく、私は男女の恋物語がメインだったと思いますね。「愛していたわ、どちらも。」「私は、あなたの右目と、彼の左目を愛したのよ」・・・フランス女性のエスプリ溢れる会話には感嘆するばかりです。アジア人もなにげにおしゃれでした。
大人の映画でしたね。
最後の男は、どちらだったのでしょうねぇ・・・。