写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

村の鍛冶屋

2014年12月03日 | エッセイ・本・映画・音楽・絵画

 5年前に始めた岩国検定も、この1年間は週2回の定例会を積み重ねた結果、第3回の検定試験を先日無事終えることができた。誰が評価してくれるわけではないが、やり終えたという自己満足感は十分にある。

 今日3日の地元紙「日刊いわくに」の3面には、1面トップ記事の見出し「注目の山口2区は自・民・共対決」と同じくらい大きな文字で「如水釜など出題 岩国検定 40人中19人が合格」と、検定の日の様子が記事にしてあった。

 今日からは頭を切り替えて、同好会「岩国エッセイサロン」の年初に発刊する同人誌の作成準備に入った。まずは、この1年間、18人の会員が新聞に投稿した約80編のエッセイを、本の形に編集した。メールを使ってそれを会員に送付し、各人に自分が書いた作品の校閲をしてもらう。

 毎年同じことをしているが、今年は検定が終わった直後から慌ただしくその作業を始めた。メールを読んだ会員の一人から電話があった。「検定が終わったと思ったら、休む間もなく今度は同人誌の仕事ですね」という。「休む間もなく」という言葉を聞いた時、ある歌詞を思い出して言った。「そうですよ。まさに『村の鍛冶屋』さんですね。『しばしも休まず槌打つ響き』状態ですよ」と言って大笑いをした。

 電話を切ったあと、久しぶりに「村の鍛冶屋」を口ずさんでみた。歌詞の1番しか歌えない。ネットで歌詞を調べてみた。作詞者・作曲者とも不詳。1912年(大正元年)、尋常小学校歌として作られた。

 1.暫時(しばし)も止まずに槌打つ響 飛び散る火の花 はしる湯玉 
   ふゐごの風さへ息をもつがず 仕事に精出す村の鍛冶屋 
 2.あるじは名高きいつこく老爺(おやぢ) 早起き早寝の病知らず
   鐵より堅しと誇れる腕に 勝りて堅きは彼が心

 3.刀はうたねど大鎌小鎌 馬鍬に作鍬(さくぐは) 鋤よ鉈よ
   平和の打ち物休まずうちて 日毎に戰ふ 懶惰(らんだ)の敵と
 4.稼ぐにおひつく貧乏なくて  名物鍛冶屋は日日に繁昌
   あたりに類なき仕事のほまれ 槌うつ響にまして高し

 大正元年の歌詞だけあって、児童ならず今の大人にとっても難しい言葉が多いが、中でも「懶惰」は難しい。辞書を引くと「めんどうくさがり、怠けること」とある。毎日、怠慢にならないよう努力していたことが読み取れる。今の私への甘い自己評価に、似ていないこともないか。「ねっ、村の鍛冶屋さん!」