新聞に参考となる本の広告が出ていた。「『分かりやすい表現』の技術」(藤沢晃治)というタイトルの本である。
副題として「意図を正しく伝えるための16のルール 『分かりにくい』の犯人をつきとめ、『伝える力』を身につけよ!」と書いてある。小さな文字で5つのルールが説明してあるので読んでみた。
1.おもてなしの心を持て
「受け手をお客様と考える。調理済みの情報を提供する」。
書いていることに関して、何も知らない受け手の立場に立って分かりやすいように書くということか。
2.「受け手」の熱意を見極めよ
「送り手と受け手の温度差を考慮する。熱意も関心もない受け手もいる」。受け手が、表現者と同じ熱意を持っている内容の話かどうか。自分の興味本位過ぎる内容とならないように。
3.大前提の説明を忘れるな
「表現者は自分自身の表現の評価者にはなれない。当然すぎる大前提は説明を見落とされがち」。自分にとっては当然すぎる前提が、受け手にとっては当然ではないことはよくある。
4.複数解釈を許すな
「あいまいの理由は複数解釈ができてしまうから」。全く異なる解釈ができるようなあいまいな表現はしない。
5.自然発想に逆らうな
「赤い蛇口からはお湯が出る。自然な予感、予測を裏切らないこと」。青い蛇口からは冷たい水が出る、と何となく思っている。文章でも自然な予感を裏切らないように。
こんなことが書いてある本のようである。文章を書く上で私が一番痛切に感じていることは「おもてなしの心」か。自分が書いた文章は、全く自分のことも書いている内容も知らない人が読むものだということである。
したがって、書いた文を推敲するときには、何も知らない受け手の立場に立って読んでみる。私にとっての「分かりやすい表現」のポイントはこれに尽きると思って書いているが、果たして思い通りに伝わっているだろうか。