俺の明日はどっちだ

50歳を迎えてなお、クルマ、映画、小説、コンサート、酒、興味は尽きない。そんな日常をほぼ日替わりで描写

「オデッセイ」 The Martian

2016年02月17日 16時02分52秒 | 時系列でご覧ください

火星にひとり取り残された宇宙飛行士のサバイバルを緻密な科学描写とともに描いた、アンディ・ウィアーのベストセラー小説「火星の人」を映画化。極限状態の中でも人間性を失わず、地球帰還への希望をもって生き続ける主人公マーク・ワトニーをマット・デイモンが演じ、「エイリアン」「ブレードランナー」などSF映画の傑作を残してきた巨匠リドリー・スコットがメガホンをとった。
火星での有人探査の最中、嵐に巻き込まれてしまったワトニー。仲間たちは緊急事態を脱するため、死亡したと推測されるワトニーを置いて探査船を発進させ、火星を去ってしまう。しかし、奇跡的に死を免れていたワトニーは、酸素は少なく、水も通信手段もなく、食料は31日分という絶望的環境で、4年後に次の探査船が火星にやってくるまで生き延びようと、あらゆる手段を尽くしていく…。

※映画.comより



以前この映画の原作を読んだとき、置いてきぼりにされた主人公マークと、ともに火星で活動していた同僚である探査船乗組員、そしてNASAを中心とする地球のさまざまな連中、といった三者三様のドラマが重層的に描かれつつも、一番の肝はやっぱり、ときに凹み、ときに自暴自棄になりかけつつも、基本ポジティヴに物事をとらえるマークの独白の部分が大きなウエイトを占め、それがとても魅力的だった。

しかしながら映画化にあたってそのあたりはやはり映像化しづらいのか、地球とコンタクトが取れるようになる過程である序盤から中盤に至る部分は、物事が簡単に進み過ぎ、加えていろんな部分が端折られているおかげで、ポジティヴな面ばかり強調され、実のところ大いに肩すかしだった。



ところがどっこい、地球とのやり取りが始まったあたりからちょっと違う解釈ながら、それぞれの人間ドラマが徐々に描かれ始め、俄然映画的面白さが膨らんできて、これはこれでなかなか楽しい作品となっていたのだ。



加えて現在の映像テクノロジーを駆使した終盤の圧倒的な映像から得られるワクワクドキドキ感は、やはり映画館で観る映画だからこそだと思うし、そのあたりの描き方はさすがリドリー・スコット、手馴れているというかお見事のひと言。



とにかく前に当ブログで

>無事に物語が進行すると見せかけて次々と起こる無理難題。
そしてそうした事態対してに冷静に状況判断をし、時として失敗を犯すものの豊かな知識と卓越した技術で次々と解決策を見出す主人公の奮闘努力ぶりは、丁寧な状況描写によって大いに説得力を持ち、いやはやワクワク、ドキドキで面白いこと、面白いこと!
なまっちょろい予定調和的で安直な見せ場づくりだけに傾注したプロットとは、ひと味もふた味も違うリアリティを感じさせてくれて、とにかく読み応え十分だし、ベースに漂う人と人との結びつきというメッセージも前面にしゃしゃり出てこない分受入れ可能というか、ついホロリ。

と、原作を読んで書いた感想 ( 詳しくは → こちらを ) とはいささか趣きは違っていたけれど、仲間を思う強い気持ちは原作よりさらに色濃く描かれていて、そうした人間味ある解釈は多分多くの人たちに支持されると思う。


そして、

物事が悪い方に向かったとする。
その時にできるのは、それを運命と受け入れるか、
諦めず問題を解決するかしかない。
よく考えて、問題を解決するんだ。
問題を一つ解決し、次の問題も解決する。
そしてまた起きる問題も一つずつ解決する。
諦めずにそれぞれを十分に乗り越えたとき初めて、家に帰れるんだ。


といったメッセージは何の躊躇もなく受け取れると思うし、なんだかんだ言いつつも娯楽映画として捉えるならば、やはり大いにオススメなのであります。
そして当然のことながら、映画館で観てこそナンボなので、是非とも劇場で観るべし! なのです。






今日の1曲  “ Don't Leave Me This Way ”  :  The Communards

劇中さんざっぱら流れ、世評的には支持されている70年代音楽に関しては、正直言ってあまり心は動かなかったけれど、マット・デイモン扮する主人公マーク・ワトニーが鎮痛剤をふりかけながらポテトを食べる時に流れていたこの曲を、( ちょうど英国にいたときにヒットしていた思い入れも含めて ) オリジナルであるコミュナーズのバージョンで。



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